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47 まずはごはんをたべなくちゃ!
手入れを怠ったばさばさの髪。長さがばらばらだし、それが肩につくほどのびている。くしも通してなくて乱れるがままだ。
以前は、不器用ながら自分で切って整えていたのに。それにところどころに混じる白いのは白髪だろうか。俺はまだ十代だぞ。
顔色もひどい。白過ぎる。いや、青白い。不健康な印象だ。目の下にはクマができている。
体は瘦せ衰えていた。あばらの形が透けて見える。
まるで幽鬼のようだった。
「シノ!!」
俺はベッドに戻って、眠りについているシノを揺さぶった。
「シノ!!シノ!!」
揺り起こされたシノは億劫そうに上体を起こした。
「ああ…何…おはよう…タクト」
「おはようじゃない!!俺…は…!なんで!こんな…っ!」
怒鳴るにも息切れするほどだ。いつの間にこんなに衰弱していたんだろう。
よく見ると、シノも顔色が悪い。
「何を騒いでいるんだ…僕はもう行かなければ…仕事が…」
「……」
俺はなんと言ったらいいのかわからなくなった。
シノは身支度を整えて、部屋を出ていった。
俺はその姿を見送ると、ベッドに入って時間がたつのを待った。
どのくらい待っただろうか。ノックがあって、返事をするとレイジュが現れた。
「タクト…!朝飯…」
「食べる!!今日は何がある?いっぱい食べるから!!」
「お、おう…っ!もらってくる…!」
レイジュが持って来てくれた朝食に俺はがっついた。食べなければ…食べなければ…!
レイジュと、後から来たリクは目を丸くして俺を見ていた。
盆に乗った朝食を半分ほど平らげたところで、急に吐き気を催した。抑えようとしたが耐えきれず、トイレへ駆け込み、あらかた吐いてしまった。
「ううえ…はあっ…はあっ…はあっ…」
リクが背中をさすってくれる。
「大丈夫?タクト…」
「ずっと食べなかったのに、急にそんなに食べるから…」
「はあ…はあ…ごめん…」
「お粥、作ってもらってくるよ」
レイジュが厨房へ向かった。
俺は口をぬぐって、ベッドへ戻った。力が入らない。
リクが水の入ったコップを手渡してくれて、それを少しずつ飲んだ。だんだん落ち着いてきた。
「リクは…」
「何?」
「リクはシノのことが好き…?」
「…うん…!」
「そっか…シノはさ…昔…」
俺はリクにシノの過去のことを話してしまった。
「シノ様にはそんなことが…」
「うん…それでさ…シノはさ…俺にめちゃくちゃにして欲しいって言うん…だけど…」
「えっ?ど、どういう意味…?」
「よく、わかんない…あいつは…本心では…本心では、自分で自分を…消してしまいたいのかもしれない…」
「そんな…!」
しゃべりながら、俺は気づいた。そうだ。あいつは破滅したいんだ。くそ…。それも、俺を道連れにして…!そうはいくか。
間もなく、レイジュが粥を持って戻ってきて、俺は熱いそれを慎重に少しずつ、少しずつ食べた。今度は吐き戻したりしないように。
まずは体力をつけるんだ。
お粥は美味しかった。
だけど、何か物足りない。
ああ、そうだ。あの甘いヨルカオ酒が飲みたい…。
以前は、不器用ながら自分で切って整えていたのに。それにところどころに混じる白いのは白髪だろうか。俺はまだ十代だぞ。
顔色もひどい。白過ぎる。いや、青白い。不健康な印象だ。目の下にはクマができている。
体は瘦せ衰えていた。あばらの形が透けて見える。
まるで幽鬼のようだった。
「シノ!!」
俺はベッドに戻って、眠りについているシノを揺さぶった。
「シノ!!シノ!!」
揺り起こされたシノは億劫そうに上体を起こした。
「ああ…何…おはよう…タクト」
「おはようじゃない!!俺…は…!なんで!こんな…っ!」
怒鳴るにも息切れするほどだ。いつの間にこんなに衰弱していたんだろう。
よく見ると、シノも顔色が悪い。
「何を騒いでいるんだ…僕はもう行かなければ…仕事が…」
「……」
俺はなんと言ったらいいのかわからなくなった。
シノは身支度を整えて、部屋を出ていった。
俺はその姿を見送ると、ベッドに入って時間がたつのを待った。
どのくらい待っただろうか。ノックがあって、返事をするとレイジュが現れた。
「タクト…!朝飯…」
「食べる!!今日は何がある?いっぱい食べるから!!」
「お、おう…っ!もらってくる…!」
レイジュが持って来てくれた朝食に俺はがっついた。食べなければ…食べなければ…!
レイジュと、後から来たリクは目を丸くして俺を見ていた。
盆に乗った朝食を半分ほど平らげたところで、急に吐き気を催した。抑えようとしたが耐えきれず、トイレへ駆け込み、あらかた吐いてしまった。
「ううえ…はあっ…はあっ…はあっ…」
リクが背中をさすってくれる。
「大丈夫?タクト…」
「ずっと食べなかったのに、急にそんなに食べるから…」
「はあ…はあ…ごめん…」
「お粥、作ってもらってくるよ」
レイジュが厨房へ向かった。
俺は口をぬぐって、ベッドへ戻った。力が入らない。
リクが水の入ったコップを手渡してくれて、それを少しずつ飲んだ。だんだん落ち着いてきた。
「リクは…」
「何?」
「リクはシノのことが好き…?」
「…うん…!」
「そっか…シノはさ…昔…」
俺はリクにシノの過去のことを話してしまった。
「シノ様にはそんなことが…」
「うん…それでさ…シノはさ…俺にめちゃくちゃにして欲しいって言うん…だけど…」
「えっ?ど、どういう意味…?」
「よく、わかんない…あいつは…本心では…本心では、自分で自分を…消してしまいたいのかもしれない…」
「そんな…!」
しゃべりながら、俺は気づいた。そうだ。あいつは破滅したいんだ。くそ…。それも、俺を道連れにして…!そうはいくか。
間もなく、レイジュが粥を持って戻ってきて、俺は熱いそれを慎重に少しずつ、少しずつ食べた。今度は吐き戻したりしないように。
まずは体力をつけるんだ。
お粥は美味しかった。
だけど、何か物足りない。
ああ、そうだ。あの甘いヨルカオ酒が飲みたい…。
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