【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。

airria

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懐妊編

セーラとの再会

「セーラ!」

「リリアナ!」

笑顔で抱き合い、2人は久々の再会を喜んだ。

「リリアナ、やっと直接言えるわ!妊娠おめでとう!」

「ありがとう。セーラは、今日はお子さんは?」

「ふふ、テディのこと?うちのリトルモンスターは今日はパパに任せてるの。もうすぐ1歳6ヶ月になるわ」

「まあ、会えなくて残念だわ」

「冗談!あの子を王宮になんて連れてきたら、寄り道ばかりでいつまで経ってもここまで辿り着けないわよ。ちょこまか歩き回って、少しも目を離せないもの。」

そう言って、セーラはカラカラと笑う。

セイラムと共にセーラの結婚式に参列したのが、つい昨日のようなのに、あの時お腹にいた子どもが、もう歩き回っているなんて。

リリアナは自分のお腹をそっと撫でた。

「リリアナは?元気にしてるの?」

「ええ、悪阻も軽くて、助かってるわ」

その後、互いの近況で話が盛り上がった。

「リリアナは、産後はどうするつもりなの?王族ともなると、子育ても私たちとは違うのでしょう?」

「それが…迷っているの…初めは、出来るだけ早く執務に復帰しようって、そう思っていたんだけれど…」

歴代の王妃は、概ね産後3か月ほどで執務に戻っていた。

リリアナもそれに習い、産んだら、すぐに執務に戻り、遅れを取り戻すつもりでいた。

執務は大切な、自分の役割だから。

国を左右するそれは、当然母の役割よりも優先されるものだと、そう思っていた。この子がお腹を蹴るまでは。

初めて胎動を感じたあの日。

お腹の中に、紛れもなく人が1人入っているのだ、と思い知らされた気がした。

リリアナが夜寝ようとした時に限って、ポコポコとお腹を蹴り出すので、気になって寝付けなかったり。

それまではポコポコと騒がしく動いていたくせに、セイラムがお腹に手を当てると途端に動かなくなったり。

まだお腹の中にいる段階で、この子はこんなにも私たちを笑わせて、困らせて、どうしようもなく愛おしくさせる。

この子が無事に生まれてきたとして、自分はきっと母として戸惑うことばかりだろう。

母になりきれてもいないだろうに、3ヶ月経ったから、と頭を切り替えて執務に戻る?

果たして、そんなことが可能なのか・・母としても王太子妃としても、中途半端になってしまわないだろうか?

「セーラは・・どうだった?」

表情を曇らせたまま、リリアナは尋ねた。

そうねぇ、とセーラは少し考えてから、話し出した。

「私は、出産して半年で復帰したわ。復帰する直前はとっても憂鬱だったけど・・半年で復帰することは産む前から決めてて、もう仕事もそのつもりで調整しちゃってたから、復帰しないわけにはいかなかったし。復帰して最初の頃は胸も張るから、定期的に母乳を絞りにお手洗いに行ったり、ね。大変だったけど、結果としては満足してるわ。私の支援事業の対象には、母親も多いの。テディを産む前よりも、自分の仕事の意義を感じられるし、この事業を始めて良かった、って改めて思えた。」

ただね、とセーラは少し寂しげに笑った。

「仕事の間、テディは乳母に任せてたんだけど、初めて1人で立った時も、初めて歩いた時も、私は見れなかった。全部、乳母伝いに聞くことになっちゃって。今更だけど、なんか勿体無いことしちゃったなって。だからね、私、もし次に子供が生まれるなら、次はゆっくり休もうかと思っているの。」

私がいなくても仕事を任せられるように、色々頑張らなきゃいけないけどね、と笑う。

「ねぇリリアナ、早く仕事に復帰するのも、長めに休んで育児を優先するのも、その人なりに仕事も育児も大切にしている結果だと私は思う。だから、リリアナに今迷う気持ちがあるのなら、その気持ちを大切にしてほしいの。伝統もあるだろうから、もしかしたら変えることは難しいのかもしれないけれど、殿下はきっと力になってくださるわ」

「セーラ・・」

ありがとう、と呟いてリリアナは胸に手を当てた。

セイラムと、産後のことを具体的に話したことは、まだない。

いつも躊躇してしまって、自分からは話しだせなかった。

だが、セーラの話を聞いてリリアナの気持ちは固まった。

足踏みするだけの時期はもう終わりなのだ。

そういえば、国王陛下も、力になると約束してくれた。

「私、殿下とお話ししてみるわ」

「ふふ、そうして?うちも、テディができてから、あの無口なホークスとよく話すようになったわ。大変なこともあるけれど、大切なものが増えるって、とっても素敵なことよ!ベビーにも、ママになったリリアナに会えるのも、楽しみで仕方ないわ」

そうだそうだとでも言うように、ポコポコお腹を蹴る我が子が愛おしい。

「ありがとう・・セーラと話せてよかった」

リリアナは晴れやかに微笑んだ。

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