桜が散る頃に

そういえば零

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(こんな、力いらなかった…こんな力ほしくなんかなかった)

涙を零しては、大きな屋敷が一つ燃えていた。焦げ臭い匂いと、救急車の音が鳴っている。

(暖かい…こんな、暖かい気持ちいつぶりなんだろう…)

炎の温かさに、これが人の温かさなんだ、と思えば、ゆるく笑みを浮かべた。

女の人が周りの人に焦った顔で、指示を出していた。その遠のく意識の中、誰かが呼んでいる。

「---ら、---そら、おい、如月きさらぎ!」

呼ばれた声に、はっと目を覚ました。周りを見渡せば、白い天井が目に入った。

「やっと目ぇ覚ましたか。ったく、体育の時間に急に倒れちまったから心配したんだぞ」

声のほうを見れば、金髪に青い目をしたこの男霜月翼しもつきつばさは呆れたというように、溜息をこぼしてる。じーっと見つめれば、”まだ寝ぼけてんのか!”と大きな声を出してきて、俺はその声の大きさにうるさいといわんばかりに両耳を塞ぎ眉間にしわを寄せた。

「仕方ないだろ…。あいつが急にパスしてくるとか思わなかったんだ。こっちにも心の準備というものが…」

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