最強賢者の転生譚~転生したら世界のルールが変わっていて村人に! それでも過去の己を倒すために最強を目指す~

凛音 麻利

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プロローグ

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 辺り一帯に火が立ち込めている。

 その中には生き物だったものの残骸が転がっている。
 黒く炭化している部分もあるが、元の色が黒い事もあり詳しくはわからない。


「はぁ、弱い。弱すぎるのぅ」


 落胆の色を滲ませながら呟いた。

 目の前にある残骸は"ダークネス・エンジェリック"と呼ばれるモンスターの死体だ。

 白と黒のツートンカラーで構成されているのが特徴のモンスター。

 その様から天使と悪魔をを合体させたようだ、などと言われる。
 それ故に名前がダークネス・エンジェリックとなっている。

 こいつはかつて世界を征服しようとした奴が使っていた駒の一体だ。
 既に首謀者は倒され… というか儂が倒した。

 ダークネス・エンジェリックは一体で国一つとやりあえると言われる程の力を持っている。
 だが、今の儂にとっては物足りない相手だ。


「わざわざ封印を解いて戦ってみたはいいが…」


 はぁ、と再びため息をついた。


 ルーク=アーヴェン。
 それが儂の名前だ。

 今年で四百二十だったかのぅ。

 この世界では賢者なんかと言われている。
 正直そんな称号なんぞどうでもいい。

 儂が欲するのは対等にやりあえる相手だ。
 いつからだったか、まともにやりあえる相手がいなくなったのは…

  魔法で延命をしつつ対等な敵を探す生活をして早数百年だったか。
 儂と対等に戦える相手は見つからなかった。

 そこで過去に戦った奴と戦ってみようと封印を解いた訳だが結果は圧勝だった。

 ダークネス・エンジェリックを使役していた奴がいればもしかしたらもっとまともな…

 いやないかのぅ。

 所詮ダークネス・エンジェリック如きじゃ数秒死ぬのが遅くなるくらいしじゃろうて。

 世界征服の首謀者と戦ってみたいとも思うのじゃが、当時の儂では加減が出来なかった。

 圧倒的とかではなく、単に死闘だったのだ。
 故に封印などしていない。

 本気の殺し合い。

 生と死。

 互いにそれらを賭けて戦った。

 懐かしいものじゃ。

 あの頃のようにもう一度本気で戦える相手が欲しいものじゃなぁ。

 そんな存在はいないと分かっていながらも望まずにはいられない。

 求むものが手に入らない渇きを何百年も感じていた。

 だが、儂は既に答えに辿り着いた。


 敵がいないのであれば儂自身が敵になればいいのでは?――と。


 つまるところ転生して、未来の儂自身と現在の儂を戦わせるのだ。

 その考えに至ってからは転生の研究を開始した。

 そして遂に昨日完成しだのだ。

 今日は、この世最後の日として記念にダークネス・エンジェリックを倒した。
 もしかしたらまだ対等に戦えるかも… 

 なんて淡い希望も抱いていたが、結局は無駄だった。

 落胆したが、それでも今の儂にとっては瑣末なことじゃ。
 なんせこれから未来の儂が過去の儂を超えるのだから。

 そうすればこの満たされない気持ちも救われよう。


「さて、早速帰って転生の準備をしなくてはのぅ」

 炎に魔法で水をかけて消火する。

 シュゥゥゥと煙があがる。
 その中で転移するための術式を構築、発動した。


「さらばじゃ、ダークネス・エンジェリックよ。物足りなかったが次生ではまた厄介になろう。その時は頼むぞ」


 聞こえてはいないだろう。
 だが、次生では鍛えるためにこやつの仲間とは闘うこともあろう。
 故に挨拶だ。

 楽しみだ。
 これから転生することが。
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