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13、これが俺のやり方だ
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当初の予定では、エグベアートが俺を探しに来る前に、魔物討伐に行っていた場所――その山奥にある、観測地の浄化に向かうつもりだった。
俺たちは食堂を出ると、そのまま女将さんに教えてもらった隣の山へと登って行く。さほど険しくない山で、奥にさえ入り込まなければ、馬車もギリギリ通れるくらいの道幅もあるが……。黄昏時ってだけじゃなく、どんよりと暗く重い空気を感じた。
念のため、ルイーサは安全そうな場所で休ませ、俺とエグベアートは不快さを感じる方向へと、慎重に進むことにする。いまいち時間の感覚は掴めないが、だいぶ行った所で道がひらけた。
「なあ。ここ、だよな?」
「……ああ、そうみたいだ」
これが昼間なら、人通りもあったかもしれない。穢れが発生せず、花の咲く季節なら、湖畔からの景色はさぞ綺麗だろう。
――そう、この山には湖沼があった。
俺が召喚されて沼だと思った泉とは規模が違う。
それに、ざっくり言ってしまえば、泉が湧水なら、湖や沼は大きな水たまりだったはず。
「穢れって、そんな急激に広がるものなのか?」
「いや、多少の差はあるが……。一晩でここまで進む事例など、聞いたこともない」
さすがのエグベアートも戸惑っているみたいだ。女将さんの話では、おかしな吹き溜まりだったはず。
「まあ、考えていても仕方ないよな。さっさと浄化するか!」
俺はポイポイッと靴を脱ぎ捨てると、裸足になってヘドロ化している湖沼へ入ろうと歩き出す。
「なっ⁉︎ フーマ、待て!」
「うわぁっ⁉︎」
俺はヒョイッとエグベアートに抱き上げられてしまう。
「え、なに? エグベアート?」
「なにじゃない! フーマこそ何をするつもりだ⁉︎」
「もちろん浄化だけど?」
「浄化なら、ここでやればいいだろう!」
「え……どうやって?」
「は?」と、エグベアートは狐につままれたような顔をする。
「だって、俺が召喚された時は泉の中だったんだ。そのまま浄化したら、俺の体に触れている所から一気に綺麗になったんだけど。他にやり方知らないよ?」
てっきり、穢れに俺自身が触れないと浄化できないのかと思っていたのだが、別の方法があるのか?
山小屋を綺麗にした時も、どこかしら触れていた。
「一気に……?」
エグベアートは迷うように俺を見つめる。
迷っているって事は、他のやり方では、そんなに早く浄化出来ないのかもしれないな。
「……本当に、こんな危険な湖に入るつもりか?」
「うん。その方が手っ取り早いし、俺は平気だよ? 湖ってことは中には生物がいるから、急がないとマズいんじゃないか?」
「ならば、このまま俺も一緒に入る」
「は⁉︎ いくらエグベアートに耐性があっても、それこそ危ないだろっ。湖沼の生物が魔物化しているかもしれないし」
「嫌だ。フーマと共に行く。俺を置いて行かないでくれ」
あまりにも切実で、真剣なエグベアートの瞳から目を逸らすことが出来ない。余裕も無いのか、エグベアートの一人称も『私』じゃなくなっているし……。
縦抱っこされているせいか、顔がめちゃくちゃ近くて、切なさが痛いほど伝わってくる。
エグベアートは、置いていかれる事にトラウマでもあるのだろうか? 俺自身、置いていかれる辛さをよく知っている。
こんなの、拒否できるわけがない。
「あー‼︎ もう、わかったよ! だけど、抱っこされたままじゃ無理。俺を下ろして、手を繋ぐか腰を支えるかにしてくれ! 俺自身がヘドロに浸からなきゃ浄化出来ないだろ」
「……わかった。でも絶対に離さないからな」
「好きにしてくれ……」
結局、湖に入る直前まで抱っこで移動し、ようやくヘドロの中にとぷんと浸かった。遠くで異形の魚が跳ねるが無視だ。
『――浄化――』
俺は間髪入れずに唱えると、一気に浄化が進む。背後から、俺の腰を抱きしめるよう立つエグベアートの腕に力が入る。
「エグベアート、大丈夫?」
「これは凄いな……」
浄化され、澄んだ湖沼に月が映り込む。
「だから平気だって言っただろ」
「ああ、フーマが無事で良かった」
エグベアートは、抱きついたまま俺の肩に顔を埋めて、ぼそりと言う。
そんなエグベアートの頭を、ついつい撫でてしまったのは、俺が年上だから仕方ないよな?
それから――。
俺たちは広い湖畔で野営をする事にした。
不穏な気配も消えたから、エグベアートがルイーサを魔道具の笛で呼ぶ。
え? ルイーサは確か綱で繋いであったよな?
だが、そんな俺の不安もよそに、暫くするとご機嫌なルイーサが、ドドドッと足音を響かせ勢いよく走って来た。繋いであった樹を、根っこごと引き摺りながら――。
あ―、うん。力持ちなんだな、ルイーサは。
※※※
テキパキと、エグベアートは慣れた手つきで野営の準備をする。
エグベアートが支給されている騎士団の野営テントは、なかなかに立派だった。ベッドもエグベアートの体格に合わせてあるようで、簡易とは思えないサイズだ。騎士団長って、みんなデカいのかな?
ただ、問題は一人用ということ。
まあ、予備の普通サイズの寝袋があるから、そっちを俺が使えばいいのだが。
「狭くて、すまない。野営は極力するつもりが無かったから……」
「別にいいって。このテント全然狭くないよ。寝袋もあるし、俺は床でも眠れるから」
疲れてるし、爆睡できる自信がある。なのに――。
「駄目だ。それでは、フーマの疲れが取れない。私が寝袋を使うから、フーマはベッドを使ってくれ」
この寝袋、エグベアートには絶対小さいだろ。
「いやいや、俺はルイーサにただ乗っているだけだし。浄化はそんな疲れないよ? エグベアートの方がずっと休み無しだったし、ベッド使ってよ。俺、そこまで図々しい奴じゃないぞ」
そう胸を張って言うと、エグベアートは逡巡する。
「ならば……一緒にベッドを使おう」
「はい?」
「フーマがベッドを使わないなら、私も使わない」
なぜそうなる? 寝袋は一つだ。
「意味がわからないんだけど?」
「私と一緒では嫌か?」
でた、大型犬しょぼん! このやり取りも、デジャブだ……。
「ああ! もうっ、そんな顔するなって! エグベアートと一緒は嫌じゃないから!」
で。
結局、また一緒にベッドを使うことになってしまった。
ピンと立った耳と、ぶんぶん揺れる尻尾が見える気がするのは……目の錯覚か?
だが、俺は成長し続けるオッサンだ。
ベッドを使うにあたり、条件をつけさせてもらう事にした。先に治癒魔法で、エグベアートの疲労をしっかり回復させてもらうこと。
俺の精神衛生上、疲れマラは困るからな!
俺たちは食堂を出ると、そのまま女将さんに教えてもらった隣の山へと登って行く。さほど険しくない山で、奥にさえ入り込まなければ、馬車もギリギリ通れるくらいの道幅もあるが……。黄昏時ってだけじゃなく、どんよりと暗く重い空気を感じた。
念のため、ルイーサは安全そうな場所で休ませ、俺とエグベアートは不快さを感じる方向へと、慎重に進むことにする。いまいち時間の感覚は掴めないが、だいぶ行った所で道がひらけた。
「なあ。ここ、だよな?」
「……ああ、そうみたいだ」
これが昼間なら、人通りもあったかもしれない。穢れが発生せず、花の咲く季節なら、湖畔からの景色はさぞ綺麗だろう。
――そう、この山には湖沼があった。
俺が召喚されて沼だと思った泉とは規模が違う。
それに、ざっくり言ってしまえば、泉が湧水なら、湖や沼は大きな水たまりだったはず。
「穢れって、そんな急激に広がるものなのか?」
「いや、多少の差はあるが……。一晩でここまで進む事例など、聞いたこともない」
さすがのエグベアートも戸惑っているみたいだ。女将さんの話では、おかしな吹き溜まりだったはず。
「まあ、考えていても仕方ないよな。さっさと浄化するか!」
俺はポイポイッと靴を脱ぎ捨てると、裸足になってヘドロ化している湖沼へ入ろうと歩き出す。
「なっ⁉︎ フーマ、待て!」
「うわぁっ⁉︎」
俺はヒョイッとエグベアートに抱き上げられてしまう。
「え、なに? エグベアート?」
「なにじゃない! フーマこそ何をするつもりだ⁉︎」
「もちろん浄化だけど?」
「浄化なら、ここでやればいいだろう!」
「え……どうやって?」
「は?」と、エグベアートは狐につままれたような顔をする。
「だって、俺が召喚された時は泉の中だったんだ。そのまま浄化したら、俺の体に触れている所から一気に綺麗になったんだけど。他にやり方知らないよ?」
てっきり、穢れに俺自身が触れないと浄化できないのかと思っていたのだが、別の方法があるのか?
山小屋を綺麗にした時も、どこかしら触れていた。
「一気に……?」
エグベアートは迷うように俺を見つめる。
迷っているって事は、他のやり方では、そんなに早く浄化出来ないのかもしれないな。
「……本当に、こんな危険な湖に入るつもりか?」
「うん。その方が手っ取り早いし、俺は平気だよ? 湖ってことは中には生物がいるから、急がないとマズいんじゃないか?」
「ならば、このまま俺も一緒に入る」
「は⁉︎ いくらエグベアートに耐性があっても、それこそ危ないだろっ。湖沼の生物が魔物化しているかもしれないし」
「嫌だ。フーマと共に行く。俺を置いて行かないでくれ」
あまりにも切実で、真剣なエグベアートの瞳から目を逸らすことが出来ない。余裕も無いのか、エグベアートの一人称も『私』じゃなくなっているし……。
縦抱っこされているせいか、顔がめちゃくちゃ近くて、切なさが痛いほど伝わってくる。
エグベアートは、置いていかれる事にトラウマでもあるのだろうか? 俺自身、置いていかれる辛さをよく知っている。
こんなの、拒否できるわけがない。
「あー‼︎ もう、わかったよ! だけど、抱っこされたままじゃ無理。俺を下ろして、手を繋ぐか腰を支えるかにしてくれ! 俺自身がヘドロに浸からなきゃ浄化出来ないだろ」
「……わかった。でも絶対に離さないからな」
「好きにしてくれ……」
結局、湖に入る直前まで抱っこで移動し、ようやくヘドロの中にとぷんと浸かった。遠くで異形の魚が跳ねるが無視だ。
『――浄化――』
俺は間髪入れずに唱えると、一気に浄化が進む。背後から、俺の腰を抱きしめるよう立つエグベアートの腕に力が入る。
「エグベアート、大丈夫?」
「これは凄いな……」
浄化され、澄んだ湖沼に月が映り込む。
「だから平気だって言っただろ」
「ああ、フーマが無事で良かった」
エグベアートは、抱きついたまま俺の肩に顔を埋めて、ぼそりと言う。
そんなエグベアートの頭を、ついつい撫でてしまったのは、俺が年上だから仕方ないよな?
それから――。
俺たちは広い湖畔で野営をする事にした。
不穏な気配も消えたから、エグベアートがルイーサを魔道具の笛で呼ぶ。
え? ルイーサは確か綱で繋いであったよな?
だが、そんな俺の不安もよそに、暫くするとご機嫌なルイーサが、ドドドッと足音を響かせ勢いよく走って来た。繋いであった樹を、根っこごと引き摺りながら――。
あ―、うん。力持ちなんだな、ルイーサは。
※※※
テキパキと、エグベアートは慣れた手つきで野営の準備をする。
エグベアートが支給されている騎士団の野営テントは、なかなかに立派だった。ベッドもエグベアートの体格に合わせてあるようで、簡易とは思えないサイズだ。騎士団長って、みんなデカいのかな?
ただ、問題は一人用ということ。
まあ、予備の普通サイズの寝袋があるから、そっちを俺が使えばいいのだが。
「狭くて、すまない。野営は極力するつもりが無かったから……」
「別にいいって。このテント全然狭くないよ。寝袋もあるし、俺は床でも眠れるから」
疲れてるし、爆睡できる自信がある。なのに――。
「駄目だ。それでは、フーマの疲れが取れない。私が寝袋を使うから、フーマはベッドを使ってくれ」
この寝袋、エグベアートには絶対小さいだろ。
「いやいや、俺はルイーサにただ乗っているだけだし。浄化はそんな疲れないよ? エグベアートの方がずっと休み無しだったし、ベッド使ってよ。俺、そこまで図々しい奴じゃないぞ」
そう胸を張って言うと、エグベアートは逡巡する。
「ならば……一緒にベッドを使おう」
「はい?」
「フーマがベッドを使わないなら、私も使わない」
なぜそうなる? 寝袋は一つだ。
「意味がわからないんだけど?」
「私と一緒では嫌か?」
でた、大型犬しょぼん! このやり取りも、デジャブだ……。
「ああ! もうっ、そんな顔するなって! エグベアートと一緒は嫌じゃないから!」
で。
結局、また一緒にベッドを使うことになってしまった。
ピンと立った耳と、ぶんぶん揺れる尻尾が見える気がするのは……目の錯覚か?
だが、俺は成長し続けるオッサンだ。
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