俺のスキルは頭文字C

オフィス景

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12 持つべき者

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 目が覚めたら自分の部屋だった。

「あれ?」

 何で俺寝てるんだ?   確かオークの大群と戦ってたんじゃなかったっけ?

 少々混乱していると、部屋の扉が開いて、ナディアが入ってきた。

「あ、ケイジ!」

 瞬間移動と見紛うような勢いでナディアが駆け寄ってきた。

「大丈夫!?   どっか痛いところない!?   何があったか覚えてる!?」

「お?   おお……?」

 その勢いで詰め寄られると、思わず引いてしまう。が、身体は思うようにと言うか、全然動かない。

「あれ?   俺、どうしたんだ?」

「魔力が枯渇したのよ。それで意識を失ったのよ」

「そうだったんか……」

 無茶をした自覚はあったので、素直に納得した。

「あんまり無茶しないで。ケイジにもしものことがあったらーー」

「心配かけてごめん。でも、あそこは男としては頑張らなきゃいけないとこだろ?」

「うーー」

 言葉に詰まったナディアは少し顔を赤らめた。

「そ、そりゃ、ほ、ほんの少しはカッコよかったけど……」

「え?」

 聞き間違えたか?   ナディアに褒められたように聞こえたんだが。

「な、何よ」

「い、いや、今もしかして褒めてくれた?」

「それでどうしてそんなに驚くのよ」

 ナディアは憮然としている。

「い、いや、ナディアからはいっつもダメ出しばっかりだったから」

「そ、それは……」

 一瞬口ごもったナディアだったが、しかる後、盛大にブチギレた。

「うるさいうるさいうるさーい!」

「え?」

 なぜここでキレる?

「大体ね、ケイジがシャキッとしないのがいけないのよ!   決めるところは最後まできちっと決めなさいよ!!」

「…何で俺怒られてるんだ?」

「ケイジも大概だけど、ナディアもさすがにそれはないんじゃないか?」

「むー」

 アーノルドに苦笑混じりに言われてナディアはぶすくれた。

 だよな。でも、俺も大概ってどういうことだよ。俺、何もしてないぞ。

 そう思いはしたものの、口には出さない。これで何か言おうものならまたナディアがキレるだろう。避けられる面倒事は避けるべきだろう。

「まあ、とりあえず変な後遺症とかもなさそうでよかったよ」

 アーノルドがそつなく話を軌道修正する。

「で、あれもCなのか?   あんなん初めて見たけど」

「まあ、そういうことだ。ところで、あれはどうなった?」

「おまえがぶっ倒れるのと同時に跡形もなく消えちまったぞ」

「そうか」

 正直ホッとした。あれはこの世界で使っちゃいけないもののような気がするからな。

「しかし、こうなってみると、ケイジのスキルって一番反則級なんじゃないか?」

「使いこなせればな」

「いやいや、今の状態で既にとんでもないぞ」

「そうよね。あたしの四属性魔法やアーノルドの剣豪スキルを当たりだとすれば、ケイジのは大当たりよね」

「……」

 なぜだろう。持ち上げられるとものすごく居心地が悪い。

 二人の言うとおりこれが大当たりのスキルだとすれば、俺みたいに使いこなせない人間が持ってちゃいけない気がする。

 それを言うと、ナディアが失笑した。

「何言ってるのよ。ケイジだからいいんじゃない。あたしたちが持ってたってそのアルファベットそのものがわからないんだから、それこそ宝の持ち腐れになるわよ」

「そう言われればそうか」

 深く納得できてしまった。

 であれば、このトンデモスキル、活かすも殺すも俺次第ということか。

 何となく神妙な気分になった。

    
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感想 3

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みんなの感想(3件)

疾走する魔法使い

とうとうキャノンが出たか。
一人軍隊とか出来そうですね。(´ω`)

キャノンはどんなタイプなんだろう?
近代的なやつ?中世的なやつ?

2019.10.11 オフィス景

自分のイメージは中世的なタイプです。もしかしたら今後進化するかもしれませんが。

解除
疾走する魔法使い

が、がんばれ主人公!Cには反則クラスの言葉も山盛りだぞ!(;´∀`)9

2019.06.15 オフィス景

そうなんですよね。使い方を間違えると話がつまらなくなってしまいそうな……

よく考えたいと思います。

解除
疾走する魔法使い

思わず頭文字Cの英単語を調べてしまった。(笑)
そしたら色々とヤバイ単語もあって化けそうなスキルだなー、と思った。
続き楽しみにしてます。(*´∀`)

2019.05.26 オフィス景

感想ありがとうございます。
Cはとても発展性のある頭文字です。
問題は主人公の頭の出来ですかね😅

解除

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