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40 ミノタウロス
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「最近モンスターが活性化してると思うのは俺だけか?」
ある日、常連の冒険者がそんなことを言い出した。
「あ、それ、俺も思った」
「うん、間違いないね。数も種類も増えてるよ」
賛同の意見があちこちから上がる。
「もしかしてスタンピードの前兆だったりするのか?」
「だとしたらマズいな」
「ああ、備えはしておいた方がいいな」
何やらみんな深刻な顔をしている。
「スタンピードって?」
俺が訊くと、一瞬だけ驚かれたが、すぐにみんな納得顔になった。
「増えすぎたモンスターが暴走して町や村を襲うんだよ。規模によっては甚大な被害が出ることがある」
「そいつぁ大事だな」
ヤバい話であるのはわかった。だがひとつ解せない部分がある。
「ここらへんじゃあモンスターは結構狩られてないか? 自分で言うのもなんだが、俺、かなり食材として使ってるぞ」
「それはわかってる。最近増えてるのは、今までこの近辺では見かけなかった類いのモンスターなんだ」
「そうそう。ミノタウロスなんてこのへんじゃついぞ見かけたことのないモンスターだよな」
「ミノタウロスって、牛頭のモンスターだっけ?」
「そう。帝国の方ではよく見たんだけど」
「美味いのかな?」
「「「そこかよ!?」」」
総ツッコミを受けたが、ツッコまれる場所じゃないだろ。
むしろそれ以外に何がある?
そこが何よりも大事だろう。
豚のオークは豚肉だった。じゃあ牛のミノタウロスは牛肉なんじゃないか?
そう思い立ったら、じっとしてなどいられなくなった。
魔牛肉食べたい。
普通の牛は存在するので牛肉も普通に流通しているが、似たものであればモンスターの肉の方が美味いというのは定説になりつつある。
これまで牛に似たモンスターは見たことがなかったのだが、これは俺にとっては朗報以外の何物でもない。
焼肉のレベルが上がるのも嬉しいし、ハンバーグが更に美味くできそうだな。
頭が魔牛肉一色に染まっていく。
「狩りに行こう」
そう言うと、カレンさんが苦笑するのが見えた。
でも、反対はされなかった。多分カレンさんも期待してくれてるんだと思う。
早速討伐隊を編成し、狩場へ向かう。一人で行っても良かったんだが、スタンピードに関する調査もあったので、それなりの大人数になった。
「おいおい……」
予想をはるかに超えるミノタウロスの群れに、思わず絶句してしまう。
「百どころじゃねえな」
「明らかに異常発生だ。本当にスタンピードに繋がりかねんぞ」
「ってことは、狩り尽くすぐらいの勢いでいっちゃっていいってことかな?」
「いけるのか? オークとは格が違うぞ」
「多分何とかなると思います」
厄介なのは数だけだな。それほど強そうには見えん。
「とりあえず突っ込んで無双しますんで、討ちもらしをお願いできますか?」
「わかった」
簡単に打ち合わせた後、俺はミノタウロスの群れにカチこんだ。
結果として、俺は大量のミノ肉のゲットに成功した。
ある日、常連の冒険者がそんなことを言い出した。
「あ、それ、俺も思った」
「うん、間違いないね。数も種類も増えてるよ」
賛同の意見があちこちから上がる。
「もしかしてスタンピードの前兆だったりするのか?」
「だとしたらマズいな」
「ああ、備えはしておいた方がいいな」
何やらみんな深刻な顔をしている。
「スタンピードって?」
俺が訊くと、一瞬だけ驚かれたが、すぐにみんな納得顔になった。
「増えすぎたモンスターが暴走して町や村を襲うんだよ。規模によっては甚大な被害が出ることがある」
「そいつぁ大事だな」
ヤバい話であるのはわかった。だがひとつ解せない部分がある。
「ここらへんじゃあモンスターは結構狩られてないか? 自分で言うのもなんだが、俺、かなり食材として使ってるぞ」
「それはわかってる。最近増えてるのは、今までこの近辺では見かけなかった類いのモンスターなんだ」
「そうそう。ミノタウロスなんてこのへんじゃついぞ見かけたことのないモンスターだよな」
「ミノタウロスって、牛頭のモンスターだっけ?」
「そう。帝国の方ではよく見たんだけど」
「美味いのかな?」
「「「そこかよ!?」」」
総ツッコミを受けたが、ツッコまれる場所じゃないだろ。
むしろそれ以外に何がある?
そこが何よりも大事だろう。
豚のオークは豚肉だった。じゃあ牛のミノタウロスは牛肉なんじゃないか?
そう思い立ったら、じっとしてなどいられなくなった。
魔牛肉食べたい。
普通の牛は存在するので牛肉も普通に流通しているが、似たものであればモンスターの肉の方が美味いというのは定説になりつつある。
これまで牛に似たモンスターは見たことがなかったのだが、これは俺にとっては朗報以外の何物でもない。
焼肉のレベルが上がるのも嬉しいし、ハンバーグが更に美味くできそうだな。
頭が魔牛肉一色に染まっていく。
「狩りに行こう」
そう言うと、カレンさんが苦笑するのが見えた。
でも、反対はされなかった。多分カレンさんも期待してくれてるんだと思う。
早速討伐隊を編成し、狩場へ向かう。一人で行っても良かったんだが、スタンピードに関する調査もあったので、それなりの大人数になった。
「おいおい……」
予想をはるかに超えるミノタウロスの群れに、思わず絶句してしまう。
「百どころじゃねえな」
「明らかに異常発生だ。本当にスタンピードに繋がりかねんぞ」
「ってことは、狩り尽くすぐらいの勢いでいっちゃっていいってことかな?」
「いけるのか? オークとは格が違うぞ」
「多分何とかなると思います」
厄介なのは数だけだな。それほど強そうには見えん。
「とりあえず突っ込んで無双しますんで、討ちもらしをお願いできますか?」
「わかった」
簡単に打ち合わせた後、俺はミノタウロスの群れにカチこんだ。
結果として、俺は大量のミノ肉のゲットに成功した。
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