異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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120 出陣

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 結論から言うと、セレスとアンソニーの姉弟は実に重宝な人材だった。

 ウチのパーティって、こと戦闘にかけてはどこにもひけをとらない自信がある。が、裏方というか、経理やら事務仕事やらといった方面が壊滅的だったのだ。

 これまでは根拠地も持たずその日暮らしでやってきたので特に困ることもなかったのだが、根城を持って組織として運用していこうとすると、様々な粗が出てきてしまっていたのだ。

 その欠けたピースにこの姉弟がぴったりはまったのだ。

 二人の親は行商人だったとのことで、幼い頃から手伝いをしていたセレスは自然と経理の基礎知識を身につけており、わずか三日でウチの経理上の問題点を洗い出し、その解決策まで提示して見せた。

 これにリーダーのカズサさんが感激し、その場でセレスを事務長に任命した。

 更に、アンソニーは類い稀なる料理センスの持ち主だった。

 アンソニーの作った肉料理を一口食べた瞬間、シルヴィアが弟子入りを志願し、カズサさんとユキノさんが絶対に逃がすまいと両腕をがっちりとホールドしたほど美味かった。

 こうして新しい仲間を迎えた俺たちのパーティだが、只今出動準備の真っ只中であった。

 対魔族用に部隊が編成され、俺たちはそこに組み込まれたのだ。魔族相手の特殊部隊という位置づけだ。

「私たちが魔族に単独で勝てるって、本当なの?」

「転位者でブートキャンプ参加者ならいけると思います。俺が何の補助もなくいけましたんで」

「うーん……」

 そう言われても不安があるのだろう。とりあえず俺とカズサさん、リョウさんとユキノさんがコンビを組むことになった。シルヴィアとミネルヴァはツブラについて、遊撃隊的位置づけだ。

「…で、本当に行くのか?」

「あたりまえだ。こういう時に先頭に立たない者に民がついてくるものか」

 おお、ブライト王子がカッコよく見える。

「俺だってブートキャンプで鍛えられたんだ。それなりにはやってみせるさ」

「万が一のことがあったら困るだろ」

「その時はその時だ。そこで斃れるようなら俺もそこまでだったってことだ」

「いいのかよ、それで」

 個人としての気持ちはそれでいいのかもしれないが、国としては問題あるだろ。

「それを言い出したら、ミネルヴァはどうなる?   あいつを戦場に出す方が問題ないか?」

 それを言われると、返す言葉がなくなる。

 俺にできるのは、ツブラにブライト王子が無茶をしないように、それとなく気配りしてくれるように頼むことくらいだった。

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