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感情の女
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「期待してるぞ。結花」
期待に答えなくてはならない。
そう、私は皆の中心に立ちたいんだ。
注目されたいんだ。
「結花ー!行ったよー!!!」
「........へ、?」
頭に長い間見つめてきたそれがぶつかり跳ね返る。
「大丈夫?結花?」
「うん、大丈夫。」
「ぼーっとしてた?休む?」
「ううん、大丈夫」
バレーをはじめて6年
小学生の時には全国に行き、たくさんの成績を納めてきた。
中学校に上がり、一段と強くなっている敵に備え練習ももっときつくなる。
期待されるのも当然だった。
私はそれでかまわない。目立ちたがり屋、なんて言葉じゃ私の事は表せない。自覚はないけどね。
生徒会総選挙
中学2年生の終わりに次の生徒会を決める選挙が行われた。
もちろんの立候補。バレーの顧問の先生からの推薦もあったが、その前での推薦だ。
私は就任する自信しかなかった。後輩からの絶大な支持、同級生からの支持。
私の他に立候補してる人を見れば、私が就任するのは決まったも同然だったのだ。
そして私は当然かのように生徒会書記へ就任した。
まもなく春休みが訪れ、いよいよ中学校生活最後の年である中学3年生の新学期が訪れた。
朝早く、クラス表を見に行くと
「結花!!!!一緒のクラスだよ!!」
そう話しかけて来たのは、2年生の時からぼちぼち仲の良かった田村杏。
「ほんとだ!一緒だね!よろしく!」
杏と仲良くなったのはいつだったか覚えていない。でも杏は私にとって恩人でもある存在なのだ。
中学1年生 秋
「付き合ってください」
そうLINEに広げられた文字。同じクラスだった酒井奏太くんからのメッセージだった。
周りからはいつ付き合うのかと、それくらい分かりきった文字だった。
「うん!ありがとう。これからよろしく」
それから2年生の夏下旬まで、約1年間お付き合いをさせてもらった。
順風満帆。上手くいっていたのだ。
しかし、その頃から少しずつ喧嘩が増えてきた。
といっても可愛らしい意地の張り合いみたいなものですぐに仲直りできていた。
その頃相談相手になってもらっていたのがこの田村杏である。
杏は私の知っている限りでは3人と付き合い別れている。
それもあって相談していたのだろう。
2年生で私と奏太のクラスは離れていた。その代わり、杏と奏太が一緒であったためクラスでの状況も聞き出せたし、共通の友達であったからあっちの相談を流してくれたりもした。
でも、事実を知るのにそう時間はかからなかった。
「ねぇ、そのシャーペンさ........」
「え、あぁ。ちょっと借りてるの。借りてるだけ」
たまたま合同の授業で杏と隣の席になった時、杏の手にあったのはまぎれもなく奏太のシャーペンだった。
ただ借りているだけ。私はそんなの違うって分かっていたのだ。
部活で一緒のさらに奏太と杏と同じ2組の木下愛からこんな話を聞いていたからだ。
「最近、杏と奏太がやけに仲良くしてるよ?いいの?」
私の中でその言葉を聞いていただけでこのシャーペン事件は重く捉えてしまっているのだ。
それから数日後、杏は私の前で私の手を掴んで必死に謝っていた。
「ごめんねゆいちゃん。ほんとにごめんね。」
それ以上謝るな。こっちが惨めになるのもわからないのか。
昨夜、奏太から別れのメッセージが届いた。
しかも、その頃には杏と付き合っていたのだ。
その時、私の怒りははじめてピークになったのだろう。
負けていた。
とっくに杏に負けていた。
なによりも嫌いな場面だったのだ。
期待され愛され続けた私だからこそこの場面は人生で最悪であったのだ。
それから別れて、杏と奏太はそう長くは続かなかった。
原因は知らないが、それからだった。
杏が休み時間、逆さまの本を1人で読み始めたのは。
杏は奏太とのどん底別れ話を私にしてくれた。
「ごめんね、バチがあたったんだよ。」
私はその話を聞いてやっとあの負け地獄からぬけたのだ。
その別れ話はなんとも辛くて悲惨で奏太のクズさが滲み出ていた。それがどこまで真実なのか聞かなくてもわかる。少々話をもっていたとしてもそれは真実であった。
なぜなら私と付き合っている時のこととも関係があったからだ。
別れていてよかった相手なのだ。
その時のことを、クズ男だったからいいよと許すわけでもないが今となっては気にしていない。笑い事だ。
やっと試合が終わった。
それから私達は少しずつ仲良くなったのだ。
「教室いこっか」
杏と同じクラスのことが分かってとても嬉しかったし、安心した。
その後、3年2組全員が集結した。
このメンバーならやっていけるかな、その頃の私はこのクラスの卒業までの日々を桜色に描いていたのだ。
期待に答えなくてはならない。
そう、私は皆の中心に立ちたいんだ。
注目されたいんだ。
「結花ー!行ったよー!!!」
「........へ、?」
頭に長い間見つめてきたそれがぶつかり跳ね返る。
「大丈夫?結花?」
「うん、大丈夫。」
「ぼーっとしてた?休む?」
「ううん、大丈夫」
バレーをはじめて6年
小学生の時には全国に行き、たくさんの成績を納めてきた。
中学校に上がり、一段と強くなっている敵に備え練習ももっときつくなる。
期待されるのも当然だった。
私はそれでかまわない。目立ちたがり屋、なんて言葉じゃ私の事は表せない。自覚はないけどね。
生徒会総選挙
中学2年生の終わりに次の生徒会を決める選挙が行われた。
もちろんの立候補。バレーの顧問の先生からの推薦もあったが、その前での推薦だ。
私は就任する自信しかなかった。後輩からの絶大な支持、同級生からの支持。
私の他に立候補してる人を見れば、私が就任するのは決まったも同然だったのだ。
そして私は当然かのように生徒会書記へ就任した。
まもなく春休みが訪れ、いよいよ中学校生活最後の年である中学3年生の新学期が訪れた。
朝早く、クラス表を見に行くと
「結花!!!!一緒のクラスだよ!!」
そう話しかけて来たのは、2年生の時からぼちぼち仲の良かった田村杏。
「ほんとだ!一緒だね!よろしく!」
杏と仲良くなったのはいつだったか覚えていない。でも杏は私にとって恩人でもある存在なのだ。
中学1年生 秋
「付き合ってください」
そうLINEに広げられた文字。同じクラスだった酒井奏太くんからのメッセージだった。
周りからはいつ付き合うのかと、それくらい分かりきった文字だった。
「うん!ありがとう。これからよろしく」
それから2年生の夏下旬まで、約1年間お付き合いをさせてもらった。
順風満帆。上手くいっていたのだ。
しかし、その頃から少しずつ喧嘩が増えてきた。
といっても可愛らしい意地の張り合いみたいなものですぐに仲直りできていた。
その頃相談相手になってもらっていたのがこの田村杏である。
杏は私の知っている限りでは3人と付き合い別れている。
それもあって相談していたのだろう。
2年生で私と奏太のクラスは離れていた。その代わり、杏と奏太が一緒であったためクラスでの状況も聞き出せたし、共通の友達であったからあっちの相談を流してくれたりもした。
でも、事実を知るのにそう時間はかからなかった。
「ねぇ、そのシャーペンさ........」
「え、あぁ。ちょっと借りてるの。借りてるだけ」
たまたま合同の授業で杏と隣の席になった時、杏の手にあったのはまぎれもなく奏太のシャーペンだった。
ただ借りているだけ。私はそんなの違うって分かっていたのだ。
部活で一緒のさらに奏太と杏と同じ2組の木下愛からこんな話を聞いていたからだ。
「最近、杏と奏太がやけに仲良くしてるよ?いいの?」
私の中でその言葉を聞いていただけでこのシャーペン事件は重く捉えてしまっているのだ。
それから数日後、杏は私の前で私の手を掴んで必死に謝っていた。
「ごめんねゆいちゃん。ほんとにごめんね。」
それ以上謝るな。こっちが惨めになるのもわからないのか。
昨夜、奏太から別れのメッセージが届いた。
しかも、その頃には杏と付き合っていたのだ。
その時、私の怒りははじめてピークになったのだろう。
負けていた。
とっくに杏に負けていた。
なによりも嫌いな場面だったのだ。
期待され愛され続けた私だからこそこの場面は人生で最悪であったのだ。
それから別れて、杏と奏太はそう長くは続かなかった。
原因は知らないが、それからだった。
杏が休み時間、逆さまの本を1人で読み始めたのは。
杏は奏太とのどん底別れ話を私にしてくれた。
「ごめんね、バチがあたったんだよ。」
私はその話を聞いてやっとあの負け地獄からぬけたのだ。
その別れ話はなんとも辛くて悲惨で奏太のクズさが滲み出ていた。それがどこまで真実なのか聞かなくてもわかる。少々話をもっていたとしてもそれは真実であった。
なぜなら私と付き合っている時のこととも関係があったからだ。
別れていてよかった相手なのだ。
その時のことを、クズ男だったからいいよと許すわけでもないが今となっては気にしていない。笑い事だ。
やっと試合が終わった。
それから私達は少しずつ仲良くなったのだ。
「教室いこっか」
杏と同じクラスのことが分かってとても嬉しかったし、安心した。
その後、3年2組全員が集結した。
このメンバーならやっていけるかな、その頃の私はこのクラスの卒業までの日々を桜色に描いていたのだ。
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