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第一章「無自覚チート《概念編集》と訳あり聖女の逃避行」
第21話「浄化の儀」
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「行くわよ、カイ!」
ルミナが叫ぶと同時に、彼女の全身から、これまで見たこともないほどの強烈な聖なる光があふれ出した。それはまるで、小さな太陽が生まれたかのようだった。
「聖域解放(ホーリーフィールド)!」
彼女を中心に、純白の光のドームが形成され、襲い来る瘴気の腕を薙ぎ払っていく。ジュウジュウと音を立てて瘴気が浄化されていくが、ルミナの顔からは急速に血の気が失われていくのが分かった。全魔力を、この一瞬に注ぎ込んでいるのだ。
「はあああああっ!」
ルミナは歯を食いしばり、光のドームを押し広げ、呪いの核である黒水晶へと続く一本の道を、こじ開けた。
「今よ! 行って!」
「ルミナ!」
「私のことは心配しないで! あなたを信じてる!」
彼女の悲痛な叫びに背中を押され、俺は光の道へと飛び込んだ。瘴気の壁が左右から迫るが、ルミナの聖域がそれをかろうじて押しとどめている。
走る。走る。走る。
数秒が、永遠のように感じられた。
そして、ついに俺は黒水晶の目の前にたどり着いた。
手を伸ばせば、届く距離。しかし、水晶から放たれる圧倒的な負のオーラが、俺の全身を押しつぶそうとする。脳内に、再び憎悪と苦痛の声が鳴り響き、意識が遠のきそうになる。
『しっかりしろ、俺! ルミナが、未来を繋いでくれたんだ!』
俺は奥歯を噛みしめ、最後の力を振り絞って、震える右手を黒水晶へと伸ばした。
指先が、水晶に触れた。
その瞬間、俺の意識は、真っ暗な憎悪の奔流に飲み込まれた。
――何百年も、何千年も、宇宙をさまよい続けた孤独。
――ようやく見つけた安息の地(この大樹)を、異物として拒絶された怒り。
――ただ、存在したいだけなのに、それを許されない悲しみ。
これが、この核の正体か。邪悪なだけじゃない。悲しみと、孤独の塊なんだ。
『お前も、一人だったのか……』
同情が、俺の心に芽生える。だが、それに飲み込まれてはいけない。俺は、この悲しみの連鎖を、ここで断ち切るんだ。
俺は、意識の奥底で、力の核心に触れた。
《概念編集》を発動させる。
『この「孤独と憎悪に満ちた、呪いの核」を……』
イメージを、塗り替える。
『「生命を育む、優しさに満ちた、祝福の核」に!』
世界が、反転するような感覚。
凄まじい抵抗が、俺の精神を内側から引き裂こうとする。全身の血管が切れ、目や鼻から血が噴き出すのが分かった。だが、俺は決して手を離さなかった。
ルミナの顔が、エリアスの顔が、脳裏に浮かぶ。
『俺はもう、一人じゃない!』
「うおおおおおおおおっ!」
魂の底からの絶叫と共に、俺の指先から、金色の光がほとばしった。
光は黒水晶に流れ込み、その黒い色を、内側から侵食していく。黒が白に、紫が翠に。憎悪の脈動が、穏やかな鼓動へと変わっていく。
やがて、黒水晶は完全にその姿を変え、まばゆい翠色の輝きを放つ、美しい宝石へと変貌を遂げた。
同時に、俺たちを苛んでいた瘴気と精神攻撃が、嘘のように霧散する。
俺は、その場に崩れ落ちた。全身から力が抜け、指一本動かせない。
「……やった、のか?」
かろうじて顔を上げると、光の道を維持しきって倒れていたルミナが、薄っすらと目を開けてこちらを見ていた。彼女もまた、魔力を使い果たし、限界だった。
俺たちは、お互いの顔を見て、弱々しく、しかし確かに、笑い合った。
俺たちの、勝利だった。
ルミナが叫ぶと同時に、彼女の全身から、これまで見たこともないほどの強烈な聖なる光があふれ出した。それはまるで、小さな太陽が生まれたかのようだった。
「聖域解放(ホーリーフィールド)!」
彼女を中心に、純白の光のドームが形成され、襲い来る瘴気の腕を薙ぎ払っていく。ジュウジュウと音を立てて瘴気が浄化されていくが、ルミナの顔からは急速に血の気が失われていくのが分かった。全魔力を、この一瞬に注ぎ込んでいるのだ。
「はあああああっ!」
ルミナは歯を食いしばり、光のドームを押し広げ、呪いの核である黒水晶へと続く一本の道を、こじ開けた。
「今よ! 行って!」
「ルミナ!」
「私のことは心配しないで! あなたを信じてる!」
彼女の悲痛な叫びに背中を押され、俺は光の道へと飛び込んだ。瘴気の壁が左右から迫るが、ルミナの聖域がそれをかろうじて押しとどめている。
走る。走る。走る。
数秒が、永遠のように感じられた。
そして、ついに俺は黒水晶の目の前にたどり着いた。
手を伸ばせば、届く距離。しかし、水晶から放たれる圧倒的な負のオーラが、俺の全身を押しつぶそうとする。脳内に、再び憎悪と苦痛の声が鳴り響き、意識が遠のきそうになる。
『しっかりしろ、俺! ルミナが、未来を繋いでくれたんだ!』
俺は奥歯を噛みしめ、最後の力を振り絞って、震える右手を黒水晶へと伸ばした。
指先が、水晶に触れた。
その瞬間、俺の意識は、真っ暗な憎悪の奔流に飲み込まれた。
――何百年も、何千年も、宇宙をさまよい続けた孤独。
――ようやく見つけた安息の地(この大樹)を、異物として拒絶された怒り。
――ただ、存在したいだけなのに、それを許されない悲しみ。
これが、この核の正体か。邪悪なだけじゃない。悲しみと、孤独の塊なんだ。
『お前も、一人だったのか……』
同情が、俺の心に芽生える。だが、それに飲み込まれてはいけない。俺は、この悲しみの連鎖を、ここで断ち切るんだ。
俺は、意識の奥底で、力の核心に触れた。
《概念編集》を発動させる。
『この「孤独と憎悪に満ちた、呪いの核」を……』
イメージを、塗り替える。
『「生命を育む、優しさに満ちた、祝福の核」に!』
世界が、反転するような感覚。
凄まじい抵抗が、俺の精神を内側から引き裂こうとする。全身の血管が切れ、目や鼻から血が噴き出すのが分かった。だが、俺は決して手を離さなかった。
ルミナの顔が、エリアスの顔が、脳裏に浮かぶ。
『俺はもう、一人じゃない!』
「うおおおおおおおおっ!」
魂の底からの絶叫と共に、俺の指先から、金色の光がほとばしった。
光は黒水晶に流れ込み、その黒い色を、内側から侵食していく。黒が白に、紫が翠に。憎悪の脈動が、穏やかな鼓動へと変わっていく。
やがて、黒水晶は完全にその姿を変え、まばゆい翠色の輝きを放つ、美しい宝石へと変貌を遂げた。
同時に、俺たちを苛んでいた瘴気と精神攻撃が、嘘のように霧散する。
俺は、その場に崩れ落ちた。全身から力が抜け、指一本動かせない。
「……やった、のか?」
かろうじて顔を上げると、光の道を維持しきって倒れていたルミナが、薄っすらと目を開けてこちらを見ていた。彼女もまた、魔力を使い果たし、限界だった。
俺たちは、お互いの顔を見て、弱々しく、しかし確かに、笑い合った。
俺たちの、勝利だった。
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