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第一章「無自覚チート《概念編集》と訳あり聖女の逃避行」
第30話「影の教団、襲来」
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警鐘の音はエルドラナの穏やかな空気を引き裂いた。
都のあちこちから人々の緊張した声が聞こえ、武装したエルフの援軍たちが慌ただしく持ち場へと散っていく。
俺とルミナはソフィアラやエリアスと共に、都を見下ろす最も高い見張り台へと駆け上がった。
「来たか……!」
エリアスが忌々しげに吐き捨てる。
彼の視線の先、虹の飛泉が作り出す結界の外側に、おびただしい数の黒い影が集結していた。
その数百は下らないだろう。
影の教団がその総力を挙げて押し寄せてきたのだ。
軍勢の中心には禍々しい紫色のオーラを放つ、巨大な攻城兵器のようなものが鎮座している。
それは捻じくれた枯れ木と、おぞましい魔物の骨を組み合わせて作られた巨大な破城槌だった。
「あれは……『邪神の鉄槌』! 古文書にあった、聖なる結界を破壊するためだけの兵器……!」
ルミナが顔を青ざめさせて叫ぶ。
「まずいわ。今の世界樹の結界では、あの一撃を防ぎきれないかもしれない……!」
ソフィアラの言葉に緊張が走る。
「教団の連中、どこから我らの場所を……?」
エリアスの疑問に、教団の軍勢の中から一人の人物がゆっくりと前に進み出た。
その人物を見て俺は息をのんだ。
以前俺たちを追い詰めた『影の双刃』のシンとレン。
そしてその二人に付き従うように、リムベルの町で遭遇した顔に傷のある男の姿もあった。
だが彼らの中心に立つ人物は、明らかに格が違った。
漆黒のローブをまとい、顔は銀色の仮面で覆われている。
その全身から放たれるプレッシャーは、これまで俺たちが戦ってきたどんな敵とも比較にならないほど強大で邪悪だった。
「久しぶりだな、聖女の末裔よ」
仮面の男の声が魔力によって増幅され、結界の内側まで響き渡る。
「そしてイレギュラーの小僧。お前たちのつまらない逃避行も、これで終わりだ」
「お前は……誰だ!」
俺が叫ぶと仮面の男は、クツクツと喉の奥で笑った。
「我は影の教団を束ねる大司教、ザルヴァーク。偉大なる邪神様の忠実なる僕よ」
ザルヴァークと名乗った男は、ゆっくりと片手を上げた。
「全軍、攻撃を開始せよ! 聖域を穢し、聖女を我らが手に! 邪神復活の礎となせ!」
その号令を合図に、教団の兵士たちから一斉に雄叫びが上がった。
そして巨大な破城槌『邪神の鉄槌』が、おびただしい量の黒い魔力を溜め込み不気味な光を放ち始める。
大地がごごごと揺れた。
「総員、防御態勢! 何としても結界を守り抜け!」
エリアスがエルフの戦士たちに檄を飛ばす。
ルミナとソフィアラも残された一族の者たちと共に、世界樹に向かって祈りを捧げ結界の力を最大限に高めようとしていた。
俺も剣を抜き放ち、見張り台の縁に立つ。
今こそ修行の成果を見せる時だ。
この見張り台を、エルドラナの城壁を、『どんな攻撃にも耐えうる金剛石の砦』に!
俺の《概念編集》によって、白亜の都の壁が淡い光を帯びてその強度を増していく。
だが、それでも足りるかどうか。
ドクン、と邪神の鉄槌が大きく脈動し、その先端に凝縮された黒い魔力が一点に収束していく。
「来るぞ!」
次の瞬間、漆黒の破壊光線が轟音と共に放たれた。
光線は虹の飛泉の結界に激突する。
ズゥゥゥゥゥゥン!
世界が揺れた。
耳をつんざくような衝撃音と共に結界がガラスのように激しくきしみ、おびただしい数の亀裂が走る。
「ぐっ……!」
結界を維持していたルミナやソフィアラが、苦悶の声を上げて膝をついた。
結界はかろうじて持ちこたえた。
だが完全に破壊されるのは、時間の問題だった。
「次弾、放て!」
ザルヴァークの非情な声が響く。
絶望的な戦いの火蓋が、今切って落とされた。
都のあちこちから人々の緊張した声が聞こえ、武装したエルフの援軍たちが慌ただしく持ち場へと散っていく。
俺とルミナはソフィアラやエリアスと共に、都を見下ろす最も高い見張り台へと駆け上がった。
「来たか……!」
エリアスが忌々しげに吐き捨てる。
彼の視線の先、虹の飛泉が作り出す結界の外側に、おびただしい数の黒い影が集結していた。
その数百は下らないだろう。
影の教団がその総力を挙げて押し寄せてきたのだ。
軍勢の中心には禍々しい紫色のオーラを放つ、巨大な攻城兵器のようなものが鎮座している。
それは捻じくれた枯れ木と、おぞましい魔物の骨を組み合わせて作られた巨大な破城槌だった。
「あれは……『邪神の鉄槌』! 古文書にあった、聖なる結界を破壊するためだけの兵器……!」
ルミナが顔を青ざめさせて叫ぶ。
「まずいわ。今の世界樹の結界では、あの一撃を防ぎきれないかもしれない……!」
ソフィアラの言葉に緊張が走る。
「教団の連中、どこから我らの場所を……?」
エリアスの疑問に、教団の軍勢の中から一人の人物がゆっくりと前に進み出た。
その人物を見て俺は息をのんだ。
以前俺たちを追い詰めた『影の双刃』のシンとレン。
そしてその二人に付き従うように、リムベルの町で遭遇した顔に傷のある男の姿もあった。
だが彼らの中心に立つ人物は、明らかに格が違った。
漆黒のローブをまとい、顔は銀色の仮面で覆われている。
その全身から放たれるプレッシャーは、これまで俺たちが戦ってきたどんな敵とも比較にならないほど強大で邪悪だった。
「久しぶりだな、聖女の末裔よ」
仮面の男の声が魔力によって増幅され、結界の内側まで響き渡る。
「そしてイレギュラーの小僧。お前たちのつまらない逃避行も、これで終わりだ」
「お前は……誰だ!」
俺が叫ぶと仮面の男は、クツクツと喉の奥で笑った。
「我は影の教団を束ねる大司教、ザルヴァーク。偉大なる邪神様の忠実なる僕よ」
ザルヴァークと名乗った男は、ゆっくりと片手を上げた。
「全軍、攻撃を開始せよ! 聖域を穢し、聖女を我らが手に! 邪神復活の礎となせ!」
その号令を合図に、教団の兵士たちから一斉に雄叫びが上がった。
そして巨大な破城槌『邪神の鉄槌』が、おびただしい量の黒い魔力を溜め込み不気味な光を放ち始める。
大地がごごごと揺れた。
「総員、防御態勢! 何としても結界を守り抜け!」
エリアスがエルフの戦士たちに檄を飛ばす。
ルミナとソフィアラも残された一族の者たちと共に、世界樹に向かって祈りを捧げ結界の力を最大限に高めようとしていた。
俺も剣を抜き放ち、見張り台の縁に立つ。
今こそ修行の成果を見せる時だ。
この見張り台を、エルドラナの城壁を、『どんな攻撃にも耐えうる金剛石の砦』に!
俺の《概念編集》によって、白亜の都の壁が淡い光を帯びてその強度を増していく。
だが、それでも足りるかどうか。
ドクン、と邪神の鉄槌が大きく脈動し、その先端に凝縮された黒い魔力が一点に収束していく。
「来るぞ!」
次の瞬間、漆黒の破壊光線が轟音と共に放たれた。
光線は虹の飛泉の結界に激突する。
ズゥゥゥゥゥゥン!
世界が揺れた。
耳をつんざくような衝撃音と共に結界がガラスのように激しくきしみ、おびただしい数の亀裂が走る。
「ぐっ……!」
結界を維持していたルミナやソフィアラが、苦悶の声を上げて膝をついた。
結界はかろうじて持ちこたえた。
だが完全に破壊されるのは、時間の問題だった。
「次弾、放て!」
ザルヴァークの非情な声が響く。
絶望的な戦いの火蓋が、今切って落とされた。
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