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第二章「最強になった俺と聖女様、世界の真の黒幕を倒しに行きます。」
第74話「嘆きの谷の決戦」
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夜明けと共に、俺たちはついに『嘆きの谷』にたどり着いた。
そこは大地が巨大な爪で抉り取られたかのような不毛の渓谷だった。
空気はよどみ、草木一本生えていない。
地面は黒く変色し、邪悪な瘴気がそこかしこから噴き出していた。
谷の中心には巨大な魔法陣が描かれ、その中央でゲルドが高々と第五の楔を掲げていた。
「……来たか、小僧ども!」
ゲルドは俺たちの姿を認めると、狂気に満ちた笑みを浮かべた。
彼の周囲には残った数十名の教団兵士が布陣している。
「遅かったな! 儀式はすでに最終段階に入っている! 間もなくこの地に眠る、偉大なる邪神様の御力の一部が復活なされるのだ!」
魔法陣は楔から吸い上げた魔力で不気味な紫色の光を放ち、谷全体が地震のように激しく揺れ動いている。
「やめろ、ゲルド!」
「やめぬ! この腐った世界を一度無に帰し、邪神様のもとに新たな千年王国を築くのだ! そのための尊い礎となれ!」
ゲルドはもはや正気ではなかった。
彼はザルヴァーク以上の狂信者と化していた。
「……問答無用、ね!」
ルミナが杖を構える。
「ああ! 全力で行くぞ!」
俺は剣を抜き放ち、最後の戦いへと身を投じた。
「邪魔をさせるな! 奴らをここで殺せ!」
ゲルドの号令一下、教団の兵士たちが一斉に襲いかかってくる。
だが、今の俺たちにとって彼らはもはや敵ではなかった。
「道を開けろおおおっ!」
俺の剣が嵐を巻き起こす。
真空の刃が敵の陣形をいともたやすく切り裂いていく。
「聖なる光よ、悪しき者たちを打ち払え!」
ルミナの魔法が天罰の光となって降り注ぐ。
俺たちはもはや止まらない。
怒りと使命感が、俺たちの限界を超えた力を引き出していた。
わずか数分。
数十名いたはずの教団兵士たちは、誰一人立っている者はいなかった。
残るは儀式を続けるゲルド、ただ一人。
「……おのれ……おのれ、小僧どもがあっ!」
ゲルドは憎悪に満ちた目で俺たちを睨みつけると儀式を中断し、自ら戦うことを選んだ。
「よかろう! 我がこの手で貴様らを葬り去ってくれるわ!」
彼は楔を自らの胸に突き立てた。
「ぐおおおおおっ!」
楔の力が彼の体に流れ込む。
その肉体はオルダスのように悪魔へと変貌し、その剛腕は岩をも砕く巨大な爪へと変化した。
「死ねええええっ!」
邪神の力をその身に宿した最後の敵。
俺とゲルドの一騎打ちが始まった。
彼の攻撃はオルダスとは比べ物にならないほど重く、洗練されていた。
純粋な武人としての技量。
それに邪神の力が加わっている。
俺は防戦一方に追い込まれた。
ガキン!
ついに俺の剣が彼の爪に弾き飛ばされる。
がら空きになった俺の胸に、ゲルドの必殺の一撃が迫る。
「終わりだ、小僧!」
誰もがそう思った、その瞬間。
俺は笑っていた。
「……ああ、終わりだ。お前の、な」
俺はわざと剣を弾かせたのだ。
この一瞬を作るために。
俺は無防備な体を彼の懐へとさらに踏み込ませた。
そして俺の右手が、彼の胸――楔が突き刺さっているその心臓部へと突き込まれた。
《概念編集》。
その対象は楔でもゲルドでもない。
二つをつないでいる、その「理」そのもの。
『その「歪んだ契約」を……「無」に!』
「……な……に……?」
ゲルドの動きがぴたりと止まった。
彼の体から邪神の力が急速に抜けていく。
楔はただの美しい宝玉へと戻り、彼の胸からぽろりとこぼれ落ちた。
「……馬鹿な……我が力が……」
彼は信じられないという顔で自分の手を見つめている。
俺はその隙を見逃さなかった。
背後に回り込み、彼の首筋に手刀を叩き込む。
「……ぐ……」
ゲルドは白目をむき、その場に崩れ落ちた。
……静寂。
俺たちはついに勝ったのだ。
俺は祭壇に落ちた第五の楔を拾い上げる。
その時だった。
儀式は中断されたはずなのに。
魔法陣の輝きが消えない。
いや、むしろ先ほどよりもさらに強く輝きを増している。
「……カイ、見て! あれ……!」
ルミナが空を指さす。
谷の上空の空間がガラスのようにひび割れ、そこから巨大な『何か』がゆっくりと姿を現そうとしていた。
「嘘だろ……。儀式は邪神の力を呼び覚ますためのものじゃなかったのか……!?」
ゲルドの儀式は陽動だった。
本当の目的は、この地に異次元へとつながる『門』を開くこと。
そして、その門の向こうから二つの人影が現れた。
シンとレン。
「……ご苦労だったな、ゲルド。お前は最後の最後まで我らのためによく働いてくれた」
シンは倒れているゲルドを、虫けらでも見るように見下した。
「そしてイレギュラー。お前たちもだ。お前たちがゲルドをここまで追い詰めてくれたおかげで、門を開くための最後のエネルギーが溜まった」
全てはこいつらが描いた筋書き。
俺たちはゲルドさえも駒として利用した、彼らの壮大な罠に嵌められていたのだ。
「さあ、始めようか。我らが主をお迎えするための最後の儀式を」
シンとレンが両手を広げる。
ひび割れた空間の向こうから、絶望的なまでに巨大で邪悪な気配がこの世界へとあふれ出してきた。
俺たちの本当の最後の戦いが、今、始まろうとしていた。
そこは大地が巨大な爪で抉り取られたかのような不毛の渓谷だった。
空気はよどみ、草木一本生えていない。
地面は黒く変色し、邪悪な瘴気がそこかしこから噴き出していた。
谷の中心には巨大な魔法陣が描かれ、その中央でゲルドが高々と第五の楔を掲げていた。
「……来たか、小僧ども!」
ゲルドは俺たちの姿を認めると、狂気に満ちた笑みを浮かべた。
彼の周囲には残った数十名の教団兵士が布陣している。
「遅かったな! 儀式はすでに最終段階に入っている! 間もなくこの地に眠る、偉大なる邪神様の御力の一部が復活なされるのだ!」
魔法陣は楔から吸い上げた魔力で不気味な紫色の光を放ち、谷全体が地震のように激しく揺れ動いている。
「やめろ、ゲルド!」
「やめぬ! この腐った世界を一度無に帰し、邪神様のもとに新たな千年王国を築くのだ! そのための尊い礎となれ!」
ゲルドはもはや正気ではなかった。
彼はザルヴァーク以上の狂信者と化していた。
「……問答無用、ね!」
ルミナが杖を構える。
「ああ! 全力で行くぞ!」
俺は剣を抜き放ち、最後の戦いへと身を投じた。
「邪魔をさせるな! 奴らをここで殺せ!」
ゲルドの号令一下、教団の兵士たちが一斉に襲いかかってくる。
だが、今の俺たちにとって彼らはもはや敵ではなかった。
「道を開けろおおおっ!」
俺の剣が嵐を巻き起こす。
真空の刃が敵の陣形をいともたやすく切り裂いていく。
「聖なる光よ、悪しき者たちを打ち払え!」
ルミナの魔法が天罰の光となって降り注ぐ。
俺たちはもはや止まらない。
怒りと使命感が、俺たちの限界を超えた力を引き出していた。
わずか数分。
数十名いたはずの教団兵士たちは、誰一人立っている者はいなかった。
残るは儀式を続けるゲルド、ただ一人。
「……おのれ……おのれ、小僧どもがあっ!」
ゲルドは憎悪に満ちた目で俺たちを睨みつけると儀式を中断し、自ら戦うことを選んだ。
「よかろう! 我がこの手で貴様らを葬り去ってくれるわ!」
彼は楔を自らの胸に突き立てた。
「ぐおおおおおっ!」
楔の力が彼の体に流れ込む。
その肉体はオルダスのように悪魔へと変貌し、その剛腕は岩をも砕く巨大な爪へと変化した。
「死ねええええっ!」
邪神の力をその身に宿した最後の敵。
俺とゲルドの一騎打ちが始まった。
彼の攻撃はオルダスとは比べ物にならないほど重く、洗練されていた。
純粋な武人としての技量。
それに邪神の力が加わっている。
俺は防戦一方に追い込まれた。
ガキン!
ついに俺の剣が彼の爪に弾き飛ばされる。
がら空きになった俺の胸に、ゲルドの必殺の一撃が迫る。
「終わりだ、小僧!」
誰もがそう思った、その瞬間。
俺は笑っていた。
「……ああ、終わりだ。お前の、な」
俺はわざと剣を弾かせたのだ。
この一瞬を作るために。
俺は無防備な体を彼の懐へとさらに踏み込ませた。
そして俺の右手が、彼の胸――楔が突き刺さっているその心臓部へと突き込まれた。
《概念編集》。
その対象は楔でもゲルドでもない。
二つをつないでいる、その「理」そのもの。
『その「歪んだ契約」を……「無」に!』
「……な……に……?」
ゲルドの動きがぴたりと止まった。
彼の体から邪神の力が急速に抜けていく。
楔はただの美しい宝玉へと戻り、彼の胸からぽろりとこぼれ落ちた。
「……馬鹿な……我が力が……」
彼は信じられないという顔で自分の手を見つめている。
俺はその隙を見逃さなかった。
背後に回り込み、彼の首筋に手刀を叩き込む。
「……ぐ……」
ゲルドは白目をむき、その場に崩れ落ちた。
……静寂。
俺たちはついに勝ったのだ。
俺は祭壇に落ちた第五の楔を拾い上げる。
その時だった。
儀式は中断されたはずなのに。
魔法陣の輝きが消えない。
いや、むしろ先ほどよりもさらに強く輝きを増している。
「……カイ、見て! あれ……!」
ルミナが空を指さす。
谷の上空の空間がガラスのようにひび割れ、そこから巨大な『何か』がゆっくりと姿を現そうとしていた。
「嘘だろ……。儀式は邪神の力を呼び覚ますためのものじゃなかったのか……!?」
ゲルドの儀式は陽動だった。
本当の目的は、この地に異次元へとつながる『門』を開くこと。
そして、その門の向こうから二つの人影が現れた。
シンとレン。
「……ご苦労だったな、ゲルド。お前は最後の最後まで我らのためによく働いてくれた」
シンは倒れているゲルドを、虫けらでも見るように見下した。
「そしてイレギュラー。お前たちもだ。お前たちがゲルドをここまで追い詰めてくれたおかげで、門を開くための最後のエネルギーが溜まった」
全てはこいつらが描いた筋書き。
俺たちはゲルドさえも駒として利用した、彼らの壮大な罠に嵌められていたのだ。
「さあ、始めようか。我らが主をお迎えするための最後の儀式を」
シンとレンが両手を広げる。
ひび割れた空間の向こうから、絶望的なまでに巨大で邪悪な気配がこの世界へとあふれ出してきた。
俺たちの本当の最後の戦いが、今、始まろうとしていた。
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