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第二章「最強になった俺と聖女様、世界の真の黒幕を倒しに行きます。」
第76話「二人が紡いだ未来」
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俺はルミナの手を握りしめたまま、最後の言葉を紡いだ。
『俺とルミナ、二人の存在を……「世界そのものを修復し、調和させる光の理(ことわり)」に!』
それはもはや物質の情報を書き換えるレベルの力ではない。
概念そのものを、世界の法則そのものを創造する神の領域の御業。
俺とルミナの体がまばゆい光に包まれた。
ルミナの聖なる力、五つの楔に宿る世界の理を司る力、そして俺の全てをつなぎ紡ぎ直す《概念編集》の力。
その全てが一つに溶け合っていく。
俺たちの意識は個を失い、この世界そのものと一体化していくのを感じた。
世界の声が聞こえる。
風の囁き、大地の鼓動、海の歌、生命の息吹。
そして人々の喜び、悲しみ、怒り、愛……。
不完全で矛盾だらけで、だけどだからこそどこまでも愛おしい、この世界の全ての想い。
『……そうだ。これが世界なんだ』
俺たちの光は、原初の虚無と静かに対峙した。
破壊の力と創造の光がぶつかり合う。
だが、そこに轟音も衝撃もなかった。
俺たちの光は虚無を攻撃するのではない。
ただ優しく包み込んでいく。
『お前も一人だったんだな』
俺は虚無の魂に触れた。
そこにあったのは邪悪ではない。
ただ永遠の孤独。
全てが存在する以前から、ただ一人そこにあり続けた寂しさ。
だから全てを自分と同じ『無』に還したかった。
『もう一人じゃない』
俺たちの光が、虚無の孤独を温かく満たしていく。
光の中にシンとレンの魂が現れた。
彼らもまたこの世界に居場所を見つけられなかった孤独な魂だった。
『お前たちの居場所もここにある』
俺たちの光は彼らの魂も優しく包み込んだ。
やがて全てを飲み込もうとしていた漆黒の虚無は、その色を失いまばゆい光の奔流へと変わっていった。
そしてその光は嘆きの谷に開いた『門』を閉じるのではなく、世界中に降り注いでいった。
それは傷ついた大地を癒し、枯れた森を蘇らせ、汚れた川を清めていく祝福の光。
世界が再生していく。
矛盾を消し去るのではない。
全ての矛盾を受け入れ認め合い、それでも共に未来を紡いでいく新たな調和の世界へ。
俺の最後の《概念編集》は、世界を救ったのだ。
***
……どれくらいの時が経ったのだろうか。
俺がふと意識を取り戻すと、そこは懐かしい始まりの森の、木漏れ日が差す小さな丘の上だった。
隣にはルミナが静かに眠っていた。
俺たちの体はもう光には包まれていない。
ただの普通の人間の姿に戻っていた。
だが、確かに何かが変わっていた。
俺の《概念編集》の力はもう世界の理を無理やり書き換えるような異質なものではなくなっていた。
それはこの世界の一部として完全に調和していた。
ルミナの聖なる力もまた聖女としての特別な力ではなく、世界に満ちる慈愛の心そのものになっていた。
俺たちはもう英雄でも聖女でもない。
ただこの世界を愛する一人の男の子と一人の女の子になったのだ。
「……ん……」
ルミナがゆっくりと目を開けた。
「……カイ……?」
「……おう」
俺たちは互いの顔を見て、どちらからともなく微笑み合った。
戦いは終わった。
俺たちは全てを終わらせたのだ。
「……これから、どうする?」
俺が尋ねると、ルミナは幸せそうに俺の肩に頭をこてんと乗せた。
「……そうね。まずはお腹が空いたから、美味しいものが食べたいな」
「ははっ。そうだな」
「それからソフィアラお祖母様やエリアスさんにも報告しないと」
「ああ」
「リリスさんやシルティスの族長さんにも会いに行きたいな」
「そうだな」
「それから、それからね……」
彼女は未来のささやかで、しかし幸せに満ちた計画を楽しそうに語り続ける。
俺はそんな彼女の話をただ黙って聞きながら、どこまでも青く澄み渡った異世界の空を見上げていた。
俺の居場所はここにある。
愛する人と、この美しい世界と共に。
俺たちの旅は終わった。
そしてここから、俺たちの新しい、どこにでもあるありふれた、だけど何よりもかけがえのない日常という名の物語が始まるのだ。
『俺とルミナ、二人の存在を……「世界そのものを修復し、調和させる光の理(ことわり)」に!』
それはもはや物質の情報を書き換えるレベルの力ではない。
概念そのものを、世界の法則そのものを創造する神の領域の御業。
俺とルミナの体がまばゆい光に包まれた。
ルミナの聖なる力、五つの楔に宿る世界の理を司る力、そして俺の全てをつなぎ紡ぎ直す《概念編集》の力。
その全てが一つに溶け合っていく。
俺たちの意識は個を失い、この世界そのものと一体化していくのを感じた。
世界の声が聞こえる。
風の囁き、大地の鼓動、海の歌、生命の息吹。
そして人々の喜び、悲しみ、怒り、愛……。
不完全で矛盾だらけで、だけどだからこそどこまでも愛おしい、この世界の全ての想い。
『……そうだ。これが世界なんだ』
俺たちの光は、原初の虚無と静かに対峙した。
破壊の力と創造の光がぶつかり合う。
だが、そこに轟音も衝撃もなかった。
俺たちの光は虚無を攻撃するのではない。
ただ優しく包み込んでいく。
『お前も一人だったんだな』
俺は虚無の魂に触れた。
そこにあったのは邪悪ではない。
ただ永遠の孤独。
全てが存在する以前から、ただ一人そこにあり続けた寂しさ。
だから全てを自分と同じ『無』に還したかった。
『もう一人じゃない』
俺たちの光が、虚無の孤独を温かく満たしていく。
光の中にシンとレンの魂が現れた。
彼らもまたこの世界に居場所を見つけられなかった孤独な魂だった。
『お前たちの居場所もここにある』
俺たちの光は彼らの魂も優しく包み込んだ。
やがて全てを飲み込もうとしていた漆黒の虚無は、その色を失いまばゆい光の奔流へと変わっていった。
そしてその光は嘆きの谷に開いた『門』を閉じるのではなく、世界中に降り注いでいった。
それは傷ついた大地を癒し、枯れた森を蘇らせ、汚れた川を清めていく祝福の光。
世界が再生していく。
矛盾を消し去るのではない。
全ての矛盾を受け入れ認め合い、それでも共に未来を紡いでいく新たな調和の世界へ。
俺の最後の《概念編集》は、世界を救ったのだ。
***
……どれくらいの時が経ったのだろうか。
俺がふと意識を取り戻すと、そこは懐かしい始まりの森の、木漏れ日が差す小さな丘の上だった。
隣にはルミナが静かに眠っていた。
俺たちの体はもう光には包まれていない。
ただの普通の人間の姿に戻っていた。
だが、確かに何かが変わっていた。
俺の《概念編集》の力はもう世界の理を無理やり書き換えるような異質なものではなくなっていた。
それはこの世界の一部として完全に調和していた。
ルミナの聖なる力もまた聖女としての特別な力ではなく、世界に満ちる慈愛の心そのものになっていた。
俺たちはもう英雄でも聖女でもない。
ただこの世界を愛する一人の男の子と一人の女の子になったのだ。
「……ん……」
ルミナがゆっくりと目を開けた。
「……カイ……?」
「……おう」
俺たちは互いの顔を見て、どちらからともなく微笑み合った。
戦いは終わった。
俺たちは全てを終わらせたのだ。
「……これから、どうする?」
俺が尋ねると、ルミナは幸せそうに俺の肩に頭をこてんと乗せた。
「……そうね。まずはお腹が空いたから、美味しいものが食べたいな」
「ははっ。そうだな」
「それからソフィアラお祖母様やエリアスさんにも報告しないと」
「ああ」
「リリスさんやシルティスの族長さんにも会いに行きたいな」
「そうだな」
「それから、それからね……」
彼女は未来のささやかで、しかし幸せに満ちた計画を楽しそうに語り続ける。
俺はそんな彼女の話をただ黙って聞きながら、どこまでも青く澄み渡った異世界の空を見上げていた。
俺の居場所はここにある。
愛する人と、この美しい世界と共に。
俺たちの旅は終わった。
そしてここから、俺たちの新しい、どこにでもあるありふれた、だけど何よりもかけがえのない日常という名の物語が始まるのだ。
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