2 / 16
第1話「目覚めれば荒野、握りしめた一粒の大豆」
土の匂いがした。
懐かしく、少しだけ湿った、生命の始まりを予感させる豊かな香り。
私はゆっくりとまぶたを持ち上げた。視界に飛び込んできたのは、見慣れたビニールハウスの天井ではなく、抜けるように青い空と、どこまでも続く赤茶けた大地だった。
体を起こそうとして、指先に硬い感触を覚える。
視線を落とすと、そこには干からびた土の塊と、一粒の豆があった。
「これは……大豆、か」
私の声は、乾いた風に吸い込まれて消えた。
記憶がぼんやりとしている。確か私は、実家の倉で節分の準備をしていたはずだ。大量の炒り豆を升に入れ、今年の恵方はどちらだったかとスマホで確認しようとして、そのまま足元の古い板が割れ、落下した感覚だけが残っている。
だというのに、今はどうだ。
見渡す限り、荒れ果てた荒野。草木一本生えていない、死の世界のような光景が広がっていた。
私は立ち上がり、服についた砂を払った。着ている服は、なぜか麻のような素材の質素なチュニックとズボンに変わっている。足元は編み上げの粗末なブーツだ。
状況が理解できない。夢にしては、日差しのジリジリとした熱さがリアルすぎる。喉の渇きも、空腹感も、あまりに現実的だった。
ふと、視界の隅に半透明の文字が浮かび上がった。
『スキル:【節分】が覚醒しました』
『固有アビリティ:【鬼は外】【福は内】を獲得しました』
ゲームのような表示に、私は思わず瞬きをした。
「節分……? なんだそれは」
つぶやいた瞬間、頭の中に情報の波が流れ込んでくる。この世界のこと、言葉のこと、そして私が置かれた状況。
どうやら私は、異世界に放り出されたらしい。それも、植物が育たなくなり、人々が飢えに苦しむ終わりのような世界に。
ここは大地の魔力がなくなり、「赤鬼」と呼ばれる魔物がうろつく辺境の地。
私は、手のひらにある一粒の大豆を見つめた。白っぽく乾燥した、なんの変哲もない大豆。だが、私にはわかった。これがただの豆ではないことが。
農家の息子として育った直感が告げている。この豆には、失われた生命力が詰まっているのだと。
「まずは、水だな」
私は歩き出した。スキルとかアビリティとか、今はどうでもいい。生き残るためには、水と食料が必要だ。
荒野を歩くこと数十分。遠くに、ボロボロになった石造りの建物が見えてきた。かつては村だったのだろうか。屋根は落ち、壁は崩れ、人の気配はまったくない。
だが、建物の陰に、わずかに緑色が残っている場所があった。
近づいてみると、古井戸の周りだけ、雑草がしがみつくように生えている。
私は井戸の中を覗き込んだ。底の方に、わずかだが水面が光っている。つるべ桶は壊れていたが、ロープはまだ使えそうだった。
自分のチュニックの裾を破り、ロープの先に結びつけて井戸に降ろす。布に染み込ませた水を絞って飲むという、原始的な方法で渇きを癒やした。
泥臭いが、これほど美味い水は飲んだことがない。
「生き返った……」
一息つくと、改めて周囲を観察する。
この廃村には、かつて畑だったと思われる区画があった。今はただの荒れ地だが、土を触ってみると、完全に死んでいるわけではないようだった。
「クワがあれば、耕せるかもしれないな」
そう思った瞬間、背筋に冷たいものが走った。
殺気だ。
反射的に振り返ると、崩れた壁の陰から、赤い肌をした異形の怪物が姿を現した。
身長は2メートル近い。額からねじれた角が生え、腰に粗末な毛皮を巻いている。手には錆びついた鉄の棒を持っていた。
「グルルルゥ……」
低い唸り声とともに、怪物がこちらを睨みつける。その目は血走っており、明らかな敵意に満ちていた。
あれが、「赤鬼」か。
記憶と共に流れ込んできた知識が、警報を鳴らす。赤鬼はこの世界の作物を食い荒らし、土地の魔力を吸い尽くす害獣だ。人間を見れば襲いかかってくる。
逃げなければ。
しかし、足がすくんで動かない。手元にある武器といえば、落ちていた石ころくらいだ。こんなもので、あの巨体に勝てるわけがない。
赤鬼が鉄棒を振り上げ、雄たけびを上げた。
「ガアアアアッ!」
地面を蹴る音が響く。距離が一瞬で縮まる。
死ぬ。
そう思ったとき、私のポケットの中で、あの大豆が熱を帯びた。
『アビリティ:【鬼は外】を発動しますか?』
脳内に響く機械的な声。
私は迷わず、心の中で「イエス」と叫んだ。
瞬間、私の体が勝手に動いた。
ポケットからあの大豆を取り出し、迫りくる赤鬼に向かって、全力で投げつけたのだ。
「鬼はぁ、外ぉっ!」
口をついて出たのは、日本の伝統的な掛け声だった。
私の指先から放たれた一粒の大豆は、黄金色の光をまとい、弾丸のような速度で赤鬼の額に吸い込まれていく。
パァンッ!
乾いた破裂音が響いた。
豆が当たった瞬間、赤鬼の動きがピタリと止まる。そして、次の瞬間、巨体が弾け飛ぶように後ろへ吹き飛ばされた。
「ギャアアアアアッ!」
赤鬼は苦痛の悲鳴を上げながら、地面を転げ回る。その体からは黒い煙が立ち上り、まるで浄化されるように消えていった。
後には、一粒の大豆だけが残された。
私は呆然と立ち尽くした。
「……なんだ、今の威力は」
ただの乾燥大豆だぞ? ショットガンでも撃ったかのような衝撃だった。
私は恐る恐る、落ちている豆を拾い上げた。豆は傷一つなく、むしろ先ほどよりも艶を増しているように見える。
『魔物討伐を確認。経験値を獲得しました』
『土地の浄化を確認。土壌レベルが上昇しました』
再びのアナウンス。
私は足元の土を見た。赤鬼が消えた場所を中心に、赤茶けた土が、黒く豊かな土へと変化している。
「魔物を倒すと、土地が豊かになるのか……?」
だとしたら、これはとんでもないことだ。
私は農家の息子だ。良い土を見れば、そこに何かを植えたくてたまらなくなる。
この世界で農業をする。それは無謀な挑戦かもしれない。だが、この「豆」と「節分」の力があれば、あるいは。
私は決意を込めて、その大豆を強く握りしめた。
ここから、私の異世界農業生活が始まるのだ。
懐かしく、少しだけ湿った、生命の始まりを予感させる豊かな香り。
私はゆっくりとまぶたを持ち上げた。視界に飛び込んできたのは、見慣れたビニールハウスの天井ではなく、抜けるように青い空と、どこまでも続く赤茶けた大地だった。
体を起こそうとして、指先に硬い感触を覚える。
視線を落とすと、そこには干からびた土の塊と、一粒の豆があった。
「これは……大豆、か」
私の声は、乾いた風に吸い込まれて消えた。
記憶がぼんやりとしている。確か私は、実家の倉で節分の準備をしていたはずだ。大量の炒り豆を升に入れ、今年の恵方はどちらだったかとスマホで確認しようとして、そのまま足元の古い板が割れ、落下した感覚だけが残っている。
だというのに、今はどうだ。
見渡す限り、荒れ果てた荒野。草木一本生えていない、死の世界のような光景が広がっていた。
私は立ち上がり、服についた砂を払った。着ている服は、なぜか麻のような素材の質素なチュニックとズボンに変わっている。足元は編み上げの粗末なブーツだ。
状況が理解できない。夢にしては、日差しのジリジリとした熱さがリアルすぎる。喉の渇きも、空腹感も、あまりに現実的だった。
ふと、視界の隅に半透明の文字が浮かび上がった。
『スキル:【節分】が覚醒しました』
『固有アビリティ:【鬼は外】【福は内】を獲得しました』
ゲームのような表示に、私は思わず瞬きをした。
「節分……? なんだそれは」
つぶやいた瞬間、頭の中に情報の波が流れ込んでくる。この世界のこと、言葉のこと、そして私が置かれた状況。
どうやら私は、異世界に放り出されたらしい。それも、植物が育たなくなり、人々が飢えに苦しむ終わりのような世界に。
ここは大地の魔力がなくなり、「赤鬼」と呼ばれる魔物がうろつく辺境の地。
私は、手のひらにある一粒の大豆を見つめた。白っぽく乾燥した、なんの変哲もない大豆。だが、私にはわかった。これがただの豆ではないことが。
農家の息子として育った直感が告げている。この豆には、失われた生命力が詰まっているのだと。
「まずは、水だな」
私は歩き出した。スキルとかアビリティとか、今はどうでもいい。生き残るためには、水と食料が必要だ。
荒野を歩くこと数十分。遠くに、ボロボロになった石造りの建物が見えてきた。かつては村だったのだろうか。屋根は落ち、壁は崩れ、人の気配はまったくない。
だが、建物の陰に、わずかに緑色が残っている場所があった。
近づいてみると、古井戸の周りだけ、雑草がしがみつくように生えている。
私は井戸の中を覗き込んだ。底の方に、わずかだが水面が光っている。つるべ桶は壊れていたが、ロープはまだ使えそうだった。
自分のチュニックの裾を破り、ロープの先に結びつけて井戸に降ろす。布に染み込ませた水を絞って飲むという、原始的な方法で渇きを癒やした。
泥臭いが、これほど美味い水は飲んだことがない。
「生き返った……」
一息つくと、改めて周囲を観察する。
この廃村には、かつて畑だったと思われる区画があった。今はただの荒れ地だが、土を触ってみると、完全に死んでいるわけではないようだった。
「クワがあれば、耕せるかもしれないな」
そう思った瞬間、背筋に冷たいものが走った。
殺気だ。
反射的に振り返ると、崩れた壁の陰から、赤い肌をした異形の怪物が姿を現した。
身長は2メートル近い。額からねじれた角が生え、腰に粗末な毛皮を巻いている。手には錆びついた鉄の棒を持っていた。
「グルルルゥ……」
低い唸り声とともに、怪物がこちらを睨みつける。その目は血走っており、明らかな敵意に満ちていた。
あれが、「赤鬼」か。
記憶と共に流れ込んできた知識が、警報を鳴らす。赤鬼はこの世界の作物を食い荒らし、土地の魔力を吸い尽くす害獣だ。人間を見れば襲いかかってくる。
逃げなければ。
しかし、足がすくんで動かない。手元にある武器といえば、落ちていた石ころくらいだ。こんなもので、あの巨体に勝てるわけがない。
赤鬼が鉄棒を振り上げ、雄たけびを上げた。
「ガアアアアッ!」
地面を蹴る音が響く。距離が一瞬で縮まる。
死ぬ。
そう思ったとき、私のポケットの中で、あの大豆が熱を帯びた。
『アビリティ:【鬼は外】を発動しますか?』
脳内に響く機械的な声。
私は迷わず、心の中で「イエス」と叫んだ。
瞬間、私の体が勝手に動いた。
ポケットからあの大豆を取り出し、迫りくる赤鬼に向かって、全力で投げつけたのだ。
「鬼はぁ、外ぉっ!」
口をついて出たのは、日本の伝統的な掛け声だった。
私の指先から放たれた一粒の大豆は、黄金色の光をまとい、弾丸のような速度で赤鬼の額に吸い込まれていく。
パァンッ!
乾いた破裂音が響いた。
豆が当たった瞬間、赤鬼の動きがピタリと止まる。そして、次の瞬間、巨体が弾け飛ぶように後ろへ吹き飛ばされた。
「ギャアアアアアッ!」
赤鬼は苦痛の悲鳴を上げながら、地面を転げ回る。その体からは黒い煙が立ち上り、まるで浄化されるように消えていった。
後には、一粒の大豆だけが残された。
私は呆然と立ち尽くした。
「……なんだ、今の威力は」
ただの乾燥大豆だぞ? ショットガンでも撃ったかのような衝撃だった。
私は恐る恐る、落ちている豆を拾い上げた。豆は傷一つなく、むしろ先ほどよりも艶を増しているように見える。
『魔物討伐を確認。経験値を獲得しました』
『土地の浄化を確認。土壌レベルが上昇しました』
再びのアナウンス。
私は足元の土を見た。赤鬼が消えた場所を中心に、赤茶けた土が、黒く豊かな土へと変化している。
「魔物を倒すと、土地が豊かになるのか……?」
だとしたら、これはとんでもないことだ。
私は農家の息子だ。良い土を見れば、そこに何かを植えたくてたまらなくなる。
この世界で農業をする。それは無謀な挑戦かもしれない。だが、この「豆」と「節分」の力があれば、あるいは。
私は決意を込めて、その大豆を強く握りしめた。
ここから、私の異世界農業生活が始まるのだ。
あなたにおすすめの小説
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~
黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。
待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金!
チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。
「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない!
輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる!
元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!
出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた
黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆
毎日朝7時更新!
「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」
過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。
絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!?
伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!?
追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
農業機器無双! ~農業機器は世界を救う!~
あきさけ
ファンタジー
異世界の地に大型農作機械降臨!
世界樹の枝がある森を舞台に、農業機械を生み出すスキルを授かった少年『バオア』とその仲間が繰り広げるスローライフ誕生!
十歳になると誰もが神の祝福『スキル』を授かる世界。
その世界で『農業機器』というスキルを授かった少年バオア。
彼は地方貴族の三男だったがこれをきっかけに家から追放され、『闇の樹海』と呼ばれる森へ置き去りにされてしまう。
しかし、そこにいたのはケットシー族の賢者ホーフーン。
彼との出会いで『農業機器』のスキルに目覚めたバオアは、人の世界で『闇の樹海』と呼ばれていた地で農業無双を開始する!
芝刈り機と耕運機から始まる農業ファンタジー、ここに開幕!
たどり着くは巨大トラクターで畑を耕し、ドローンで農薬をまき、大型コンバインで麦を刈り、水耕栽培で野菜を栽培する大農園だ!
米 この作品はカクヨム様でも連載しております。その他のサイトでは掲載しておりません。
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています