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第11話「知識と魔法の協奏曲」
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バルフォア子爵が雇った偽の山賊たちが街道を封鎖している。
このままではヴァーミリオン王国へ作物を運ぶことができない。
普通に考えれば騎士団を派遣して力ずくで突破するのが定石だろう。しかし、それでは相手の思う壺だ。下手に争いになれば、それを口実にバルフォア子爵が介入してくる可能性がある。
「ならば、奴らが予想もしない方法でこの状況を打開するしかない」
俺は領内の地図を広げ、仲間たちと共に対策会議を開いた。
「カイ、一体どうするつもりですの?」
セレスティアが不安と期待の入り混じった表情で俺を見る。
俺は地図の一点を指さした。
そこは街道から大きく外れた、険しい山脈地帯だった。
「ここを越えます」
「なっ……! 無茶ですわ! この『竜の背骨山脈』はあまりの険しさから、誰も越えることができないと言われている難所ですのよ!?」
セレスティアが驚愕の声を上げる。
その通りだ。だからこそ、敵は完全に油断している。
「もちろん、ただ越えるんじゃありません。俺の知識とセレスティアの魔法。そしてモグロンの能力を合わせれば、不可能じゃありません」
俺の作戦はこうだ。
まず、モグロンの土を操る能力で山脈に仮設の道を作る。
次に、俺の持つ土木技術の知識とモグロンの『硬化液』でその道を補強し、馬車が通れるレベルにまで整備する。
そして道中の危険な魔物や障害は、セレスティアの魔法と騎士としての武力で排除する。
前代未聞の山脈越えキャラバン計画だった。
「……面白いですわね」
セレスティアは最初は呆れていたが、俺の具体的な説明を聞くうちにその目に挑戦的な輝きを宿し始めた。
「やってやりましょう。カイ。その竜の背骨とやらを、私たちの手で飼いならしてやろうではありませんか」
作戦は直ちに実行に移された。
俺たちの挑戦に領内の若者たちも奮って参加してくれた。
モグロンはまるでこの作戦の重要性を理解しているかのように、いつも以上に張り切って地面を掘り進めていく。「モギュー!」という彼の力強い鳴き声が山中にこだました。
「もっと右だ! そこは地盤が弱い!」「斜面の角度は三十度を維持しろ!」
俺は前世でかじった土木工事の知識をフル活用し、現場監督として的確な指示を飛ばす。若者たちは改良された農具を手に、見事な連携で道を作り上げていく。
そしてセレスティアの活躍は圧巻だった。
道を塞ぐ巨大な岩石は、彼女の放つ風の魔法で粉々に砕かれ、巣食っていた凶暴な魔物の群れはその華麗な剣技の前に、なすすべもなく切り伏せられていく。
「はあああっ!」
彼女が剣を振るうたびに翠の閃光が走り、魔物たちが悲鳴を上げて倒れていく。その姿は、まさに戦場の女神だった。
知識と魔法、そしてもふもふ。
異なる力が一つになった時、不可能だと思われた道は驚くべき速さで切り開かれていった。
数日後。
俺たちのキャラバンはついに竜の背骨山脈を越え、ヴァーミリオン王国の国境へと到達した。
街道で待ちぼうけを食らっていたバルフォア子爵の私兵たちは、俺たちが山を越えて現れたと知り、呆然とするしかなかっただろう。
ヴァーミリオン王国側ではセレスティアの連絡を受けていた国境警備隊が、俺たちを盛大に出迎えてくれた。
俺たちが運び込んだポポイモやサンティマは、その品質の高さと量の多さでヴァーミリオンの役人たちを驚愕させた。
「素晴らしい! これほどの食料があれば、我が国の民は飢えずに冬を越せる!」
交易は大成功だった。
俺たちは莫大な利益を手にすると共に、ヴァーミリオン王国との強固な友好関係を築くことに成功した。
山越えの帰り道。
夕焼けに染まる竜の背骨山脈を眺めながら、セレスティアが俺の隣でつぶやいた。
「……カイ。あなたといると退屈しませんわね。不可能が可能に変わる瞬間を、何度も見せてくれる」
その横顔はいつになく穏やかだった。
「あんたの魔法こそ反則級だったけどな。まるで映画のヒロインみたいだったぞ」
「ふ、ふん! おだてても何も出ませんことよ!」
彼女はぷいとそっぽを向くが、その耳がほんのり赤く染まっているのを俺は見逃さなかった。
危機を共に乗り越えたことで、俺たちの間には確かな絆が生まれていた。
だが、これで終わりではない。
俺たちの作物を奪おうとし、流通を妨害し、命まで狙ってきた連中に、きっちりと落とし前をつけてもらわなければ。
俺は不敵な笑みを浮かべた。
反撃の狼煙は上がった。次は悪党どもを完膚なきまでに叩き潰す番だ。
このままではヴァーミリオン王国へ作物を運ぶことができない。
普通に考えれば騎士団を派遣して力ずくで突破するのが定石だろう。しかし、それでは相手の思う壺だ。下手に争いになれば、それを口実にバルフォア子爵が介入してくる可能性がある。
「ならば、奴らが予想もしない方法でこの状況を打開するしかない」
俺は領内の地図を広げ、仲間たちと共に対策会議を開いた。
「カイ、一体どうするつもりですの?」
セレスティアが不安と期待の入り混じった表情で俺を見る。
俺は地図の一点を指さした。
そこは街道から大きく外れた、険しい山脈地帯だった。
「ここを越えます」
「なっ……! 無茶ですわ! この『竜の背骨山脈』はあまりの険しさから、誰も越えることができないと言われている難所ですのよ!?」
セレスティアが驚愕の声を上げる。
その通りだ。だからこそ、敵は完全に油断している。
「もちろん、ただ越えるんじゃありません。俺の知識とセレスティアの魔法。そしてモグロンの能力を合わせれば、不可能じゃありません」
俺の作戦はこうだ。
まず、モグロンの土を操る能力で山脈に仮設の道を作る。
次に、俺の持つ土木技術の知識とモグロンの『硬化液』でその道を補強し、馬車が通れるレベルにまで整備する。
そして道中の危険な魔物や障害は、セレスティアの魔法と騎士としての武力で排除する。
前代未聞の山脈越えキャラバン計画だった。
「……面白いですわね」
セレスティアは最初は呆れていたが、俺の具体的な説明を聞くうちにその目に挑戦的な輝きを宿し始めた。
「やってやりましょう。カイ。その竜の背骨とやらを、私たちの手で飼いならしてやろうではありませんか」
作戦は直ちに実行に移された。
俺たちの挑戦に領内の若者たちも奮って参加してくれた。
モグロンはまるでこの作戦の重要性を理解しているかのように、いつも以上に張り切って地面を掘り進めていく。「モギュー!」という彼の力強い鳴き声が山中にこだました。
「もっと右だ! そこは地盤が弱い!」「斜面の角度は三十度を維持しろ!」
俺は前世でかじった土木工事の知識をフル活用し、現場監督として的確な指示を飛ばす。若者たちは改良された農具を手に、見事な連携で道を作り上げていく。
そしてセレスティアの活躍は圧巻だった。
道を塞ぐ巨大な岩石は、彼女の放つ風の魔法で粉々に砕かれ、巣食っていた凶暴な魔物の群れはその華麗な剣技の前に、なすすべもなく切り伏せられていく。
「はあああっ!」
彼女が剣を振るうたびに翠の閃光が走り、魔物たちが悲鳴を上げて倒れていく。その姿は、まさに戦場の女神だった。
知識と魔法、そしてもふもふ。
異なる力が一つになった時、不可能だと思われた道は驚くべき速さで切り開かれていった。
数日後。
俺たちのキャラバンはついに竜の背骨山脈を越え、ヴァーミリオン王国の国境へと到達した。
街道で待ちぼうけを食らっていたバルフォア子爵の私兵たちは、俺たちが山を越えて現れたと知り、呆然とするしかなかっただろう。
ヴァーミリオン王国側ではセレスティアの連絡を受けていた国境警備隊が、俺たちを盛大に出迎えてくれた。
俺たちが運び込んだポポイモやサンティマは、その品質の高さと量の多さでヴァーミリオンの役人たちを驚愕させた。
「素晴らしい! これほどの食料があれば、我が国の民は飢えずに冬を越せる!」
交易は大成功だった。
俺たちは莫大な利益を手にすると共に、ヴァーミリオン王国との強固な友好関係を築くことに成功した。
山越えの帰り道。
夕焼けに染まる竜の背骨山脈を眺めながら、セレスティアが俺の隣でつぶやいた。
「……カイ。あなたといると退屈しませんわね。不可能が可能に変わる瞬間を、何度も見せてくれる」
その横顔はいつになく穏やかだった。
「あんたの魔法こそ反則級だったけどな。まるで映画のヒロインみたいだったぞ」
「ふ、ふん! おだてても何も出ませんことよ!」
彼女はぷいとそっぽを向くが、その耳がほんのり赤く染まっているのを俺は見逃さなかった。
危機を共に乗り越えたことで、俺たちの間には確かな絆が生まれていた。
だが、これで終わりではない。
俺たちの作物を奪おうとし、流通を妨害し、命まで狙ってきた連中に、きっちりと落とし前をつけてもらわなければ。
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