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第15話:崩壊する勇者たち
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アレスたち勇者パーティーは、もはやパーティーとしての体を成していなかった。
彼らはどのダンジョンに挑んでも、中層にすらたどり着けずに撤退を繰り返していた。
装備はボロボロで、修理する金もない。
食料はいつも尽きかけ、野営の夜は空腹と寒さに震えた。
ポーションは高価で買えず、少しの怪我でも治すのに何日もかかるようになった。
かつての栄光は見る影もなく、彼らはただ消耗していくだけだった。
「もう……無理よ」
ある夜、ついにリリアナが泣き崩れた。
「こんな生活、もう耐えられない! 毎日泥にまみれて、お腹を空かせて……。アレス様、私たちは勇者パーティーなのよ!?」
「うるさい! 俺だってわかってる!」
アレスは苛立ちをぶつけるように怒鳴った。だが、彼にもどうすればいいのか、もうわからなかった。
全てが上手くいかない。レオを追放してから、何もかもが狂ってしまった。
その時、今まで黙っていた聖女セシリアが、おずおずと口を開いた。
「あの……アレスさん」
「なんだ!」
「今からでも……レオ君を、連れ戻すべきではないでしょうか?」
その言葉に、アレスとリリアナは凍りついた。
レオ。
彼らが切り捨てた、役立たずの荷物持ちの名前。
セシリアは続けた。
「彼がいれば、少なくとも荷物の問題は解決します。食料が傷むことも、ポーションが足りなくなることもありませんでした。彼がいた頃は、こんなことには……」
セシリアの言葉は、的を射ていた。
誰もが、心のどこかでその事実に気づいていた。だが、認めたくなかったのだ。自分たちが、あの役立たずと見下していた男に、どれだけ依存していたのかを。
「馬鹿を言うな!」
アレスが、プライドを守るために絶叫した。
「あんな役立たずに頭を下げろって言うのか!? 俺は勇者だぞ! 追放した奴に、今更『戻ってきてくれ』だと? ふざけるな!」
「でも、このままではパーティーは……!」
「黙れ! 俺のやり方に文句があるなら、お前たちも出ていけ!」
そのアレスの言葉が、決定打だった。
リリアナは、信じられないという顔でアレスを見つめた。あれほど心酔していた勇者の、あまりにも器の小さい姿に、彼女の中で何かがプツリと切れた。
「……もう、あなたにはついていけません」
彼女はそう言うと、静かに立ち上がり、アレスに背を向けた。
「リリアナ!?」
「私もです」
セシリアも、静かにリリアナの後に続いた。
「お前たち……待て! 俺を一人にする気か!」
アレスの悲痛な叫びも、二人には届かなかった。
こうして、勇者パーティーは事実上、解散した。
残されたのは、プライドだけにしがみつく、空っぽの勇者ただ一人。
彼は、自分が犯した過ちの大きさを、骨身に染みて理解することになる。だが、それは全てが手遅れになった後のことだった。
彼らはどのダンジョンに挑んでも、中層にすらたどり着けずに撤退を繰り返していた。
装備はボロボロで、修理する金もない。
食料はいつも尽きかけ、野営の夜は空腹と寒さに震えた。
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かつての栄光は見る影もなく、彼らはただ消耗していくだけだった。
「もう……無理よ」
ある夜、ついにリリアナが泣き崩れた。
「こんな生活、もう耐えられない! 毎日泥にまみれて、お腹を空かせて……。アレス様、私たちは勇者パーティーなのよ!?」
「うるさい! 俺だってわかってる!」
アレスは苛立ちをぶつけるように怒鳴った。だが、彼にもどうすればいいのか、もうわからなかった。
全てが上手くいかない。レオを追放してから、何もかもが狂ってしまった。
その時、今まで黙っていた聖女セシリアが、おずおずと口を開いた。
「あの……アレスさん」
「なんだ!」
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「彼がいれば、少なくとも荷物の問題は解決します。食料が傷むことも、ポーションが足りなくなることもありませんでした。彼がいた頃は、こんなことには……」
セシリアの言葉は、的を射ていた。
誰もが、心のどこかでその事実に気づいていた。だが、認めたくなかったのだ。自分たちが、あの役立たずと見下していた男に、どれだけ依存していたのかを。
「馬鹿を言うな!」
アレスが、プライドを守るために絶叫した。
「あんな役立たずに頭を下げろって言うのか!? 俺は勇者だぞ! 追放した奴に、今更『戻ってきてくれ』だと? ふざけるな!」
「でも、このままではパーティーは……!」
「黙れ! 俺のやり方に文句があるなら、お前たちも出ていけ!」
そのアレスの言葉が、決定打だった。
リリアナは、信じられないという顔でアレスを見つめた。あれほど心酔していた勇者の、あまりにも器の小さい姿に、彼女の中で何かがプツリと切れた。
「……もう、あなたにはついていけません」
彼女はそう言うと、静かに立ち上がり、アレスに背を向けた。
「リリアナ!?」
「私もです」
セシリアも、静かにリリアナの後に続いた。
「お前たち……待て! 俺を一人にする気か!」
アレスの悲痛な叫びも、二人には届かなかった。
こうして、勇者パーティーは事実上、解散した。
残されたのは、プライドだけにしがみつく、空っぽの勇者ただ一人。
彼は、自分が犯した過ちの大きさを、骨身に染みて理解することになる。だが、それは全てが手遅れになった後のことだった。
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