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第11章:王国の食糧危機と無能な聖女
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アッシュベリー領が黄金色の発展を続ける一方、セレスティーナを追放したアストライア王国は、深刻な暗闇へと沈み込んでいた。数年にわたって続いた天候不順と、王太子アルフォンスの場当たり的で無能な政策が祟り、ついに王国全土を巻き込む大規模な食糧危機が発生したのだ。
特に王都では、パンの価格が日ごとに高騰し、民衆の間には飢えへの恐怖と、王家に対する不満と不安が黒い渦となって渦巻いていた。
「聖女さま! どうか奇跡のお力で、我々をお救いください!」
民衆は最後の望みを託して聖女リリアンに奇跡を求めるが、彼女の力でどうにかなる問題ではなかった。彼女が得意なのは、王太子に甘えて贅沢な宝飾品をねだることだけだ。作物を実らせることなどできるはずもない。
焦ったアルフォンスは、リリアンに「聖なる力で王都近郊の畑を祝福してほしい」と無理を承知で頼み込んだ。リリアンは断り切れず、仕方なく畑の前でそれらしい祈りのポーズをとってみせる。しかし、その結果は悲惨なものだった。彼女が祈りを捧げた畑は、数日後、逆に原因不明の謎の病害虫に襲われ、見るも無残に全滅してしまったのだ。
実は、彼女の持つ力は清浄な魔力などではなく、周囲の魔力バランスを微妙に崩すだけの、不安定でむしろ有害なものだった。
この一件は、リリアンへの最後の信頼を打ち砕く決定打となった。
「あの聖女さまは、本物なのか?」
「いや、偽物だ! あの女が来てから、ろくなことがない!」
民衆だけでなく、これまで彼女を持ち上げていた貴族たちの間ですら、リリアンへの疑念と失望が急速に広まり始める。
さらに、アルフォンスは食糧危機対策として近隣諸国から高値で食料を輸入しようとするが、完全に足元を見られ、ただでさえ傾きかけていた国の財政をさらに圧迫するばかり。事態は悪化の一途をたどっていた。
そんな八方塞がりの状況の中、ある大臣が国王に進言した。
「陛下、一つ、報告が。辺境のアッシュベリー領は、近年稀に見る大豊作が続いていると聞き及んでおります。彼らから食料を供出させるのです。それこそが、王国の臣下としての務めでございましょう」
その言葉に、アルフォンスは藁にもすがる思いで飛びついた。彼は、自分がセレスティーナを理不尽に追放したことなど都合よく忘れ去り、アッシュベリー領が王国に食料を献上するのは当然の義務だと考えたのだ。
彼はカインに対し、王太子としての権威を振りかざした、一方的で傲慢極まりない命令書を送りつけた。
『王国の危機である。アッシュベリー領が備蓄する食料のすべてを、無償で王都へ輸送せよ。これは王命である』
その理不尽な要求が書かれた書簡を読み終えたカインは、静かにそれを暖炉の火にくべた。燃え上がる炎の中で、彼の銀の瞳はかつてないほどの静かな怒りに燃えている。
隣でその一部始終を見ていたセレスティーナもまた、かつて自分をゴミのように切り捨てた国からの、あまりにも身勝手な要求に、決意を新たにしていた。
「私たちは、私たちの民を守らなければなりません」
彼女たちの戦いは、もはや領地の発展のためだけではない。理不尽な権力から、自分たちが愛し、築き上げたすべてを守るための戦いへと、そのステージを変えようとしていた。
特に王都では、パンの価格が日ごとに高騰し、民衆の間には飢えへの恐怖と、王家に対する不満と不安が黒い渦となって渦巻いていた。
「聖女さま! どうか奇跡のお力で、我々をお救いください!」
民衆は最後の望みを託して聖女リリアンに奇跡を求めるが、彼女の力でどうにかなる問題ではなかった。彼女が得意なのは、王太子に甘えて贅沢な宝飾品をねだることだけだ。作物を実らせることなどできるはずもない。
焦ったアルフォンスは、リリアンに「聖なる力で王都近郊の畑を祝福してほしい」と無理を承知で頼み込んだ。リリアンは断り切れず、仕方なく畑の前でそれらしい祈りのポーズをとってみせる。しかし、その結果は悲惨なものだった。彼女が祈りを捧げた畑は、数日後、逆に原因不明の謎の病害虫に襲われ、見るも無残に全滅してしまったのだ。
実は、彼女の持つ力は清浄な魔力などではなく、周囲の魔力バランスを微妙に崩すだけの、不安定でむしろ有害なものだった。
この一件は、リリアンへの最後の信頼を打ち砕く決定打となった。
「あの聖女さまは、本物なのか?」
「いや、偽物だ! あの女が来てから、ろくなことがない!」
民衆だけでなく、これまで彼女を持ち上げていた貴族たちの間ですら、リリアンへの疑念と失望が急速に広まり始める。
さらに、アルフォンスは食糧危機対策として近隣諸国から高値で食料を輸入しようとするが、完全に足元を見られ、ただでさえ傾きかけていた国の財政をさらに圧迫するばかり。事態は悪化の一途をたどっていた。
そんな八方塞がりの状況の中、ある大臣が国王に進言した。
「陛下、一つ、報告が。辺境のアッシュベリー領は、近年稀に見る大豊作が続いていると聞き及んでおります。彼らから食料を供出させるのです。それこそが、王国の臣下としての務めでございましょう」
その言葉に、アルフォンスは藁にもすがる思いで飛びついた。彼は、自分がセレスティーナを理不尽に追放したことなど都合よく忘れ去り、アッシュベリー領が王国に食料を献上するのは当然の義務だと考えたのだ。
彼はカインに対し、王太子としての権威を振りかざした、一方的で傲慢極まりない命令書を送りつけた。
『王国の危機である。アッシュベリー領が備蓄する食料のすべてを、無償で王都へ輸送せよ。これは王命である』
その理不尽な要求が書かれた書簡を読み終えたカインは、静かにそれを暖炉の火にくべた。燃え上がる炎の中で、彼の銀の瞳はかつてないほどの静かな怒りに燃えている。
隣でその一部始終を見ていたセレスティーナもまた、かつて自分をゴミのように切り捨てた国からの、あまりにも身勝手な要求に、決意を新たにしていた。
「私たちは、私たちの民を守らなければなりません」
彼女たちの戦いは、もはや領地の発展のためだけではない。理不尽な権力から、自分たちが愛し、築き上げたすべてを守るための戦いへと、そのステージを変えようとしていた。
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