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第15章:二つの国の選択と、未来への誓い
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偽りの聖女の断罪劇という衝撃的な事件は、瞬く間に両国に知れ渡った。指導者である王太子と、国の象徴であった聖女が同時に失墜したエルドラド王国は、未曾有の大混乱に陥った。
残された貴族たちは緊急の議会を開き、国の行く末を協議した。その結果、元凶である聖女マリアと、彼女を妄信し国を傾けた王太子エドワードを、国境に近い辺境の修道院へ事実上の終身刑として幽閉することが満場一致で決定された。
そして、彼らは国を飢饉から救う唯一の道として、三度、私に助けを求めることを選択した。もちろん、今度は前回のような尊大な態度ではない。国の重鎮である宰相自らが代表となり、数々の貢物と共に、ローゼンベルク領へとやってきた。
宰相は、私の前で深く、深く頭を下げた。
「リリアーナ様。これまでのエルドラド王国の非礼、そして愚かな行いのすべてを、国を代表して心よりお詫び申し上げる。まことに、申し訳ございませんでした」
その謝罪に、嘘は感じられなかった。
「つきましては、甚だ虫の良い願いとは承知の上で、伏してお願い申し上げる。どうか、この国をお救いいただきたい。食糧支援を……そして、叶うならば、エルドラド王国へお戻りいただき、我々を導いてはいただけないだろうか」
それは、事実上の女王就任の要請にも等しい、最大限の懇願だった。
しかし、私の答えは、最初から決まっていた。
私は、隣に立つアレンの手を固く握り、エルドラドの使者の前に、ローゼンベルク領の代表として、そして一人の人間として、はっきりと宣言した。
「お顔を上げてください、宰相閣下。謝罪は受け入れましょう。過去は、もう水に流します」
私の言葉に、宰相の顔に安堵の色が浮かぶ。だが、私は続けた。
「食糧支援に関しましては、人道的な見地、そして隣国としての誼を考え、対価を支払っていただけるというのであれば、前向きに検討させていただきます。我がローゼンベルクは、もはやそれだけの力を持つ領地となりましたので」
その言葉には、かつての公爵令嬢としての立場ではなく、一人の領主の伴侶としての自信と誇りが満ちていた。隣のアレンが、誇らしげに私の肩を抱き寄せる。
「ですが」
私は、きっぱりとした口調で言った。
「わたくしがエルドラドに帰ることは、決してありません。わたくしの故郷は、わたくしが生きるべき場所は、今やこのローゼンベルクなのですから」
私の揺るぎない決意を前に、宰相はそれ以上何も言えなかった。彼は、自分が失ったものがどれほど大きく、そして取り返しのつかないものであったかを、改めて痛感しただろう。
こうして、二つの国の未来は、大きくその道筋を分けた。
エルドラド王国は、自らが犯した過ちの大きな代償を払いながら、他国からの支援を受け、自力で再建の道を歩むことを余儀なくされた。それは、長く、険しい道のりになるだろう。
一方、賢明で愛情深い指導者を得たローゼンベルク領は、大陸でも類を見ないほどの速さで発展を遂げ、平和と豊かさを享受する、輝かしい未来へと力強く歩み出すことになった。
国境を挟んで、二つの国の明暗は、くっきりと分かれた。そして私は、愛する人と、愛する民と共に、この選んだ道を生きていくことを、心に固く誓ったのだった。
残された貴族たちは緊急の議会を開き、国の行く末を協議した。その結果、元凶である聖女マリアと、彼女を妄信し国を傾けた王太子エドワードを、国境に近い辺境の修道院へ事実上の終身刑として幽閉することが満場一致で決定された。
そして、彼らは国を飢饉から救う唯一の道として、三度、私に助けを求めることを選択した。もちろん、今度は前回のような尊大な態度ではない。国の重鎮である宰相自らが代表となり、数々の貢物と共に、ローゼンベルク領へとやってきた。
宰相は、私の前で深く、深く頭を下げた。
「リリアーナ様。これまでのエルドラド王国の非礼、そして愚かな行いのすべてを、国を代表して心よりお詫び申し上げる。まことに、申し訳ございませんでした」
その謝罪に、嘘は感じられなかった。
「つきましては、甚だ虫の良い願いとは承知の上で、伏してお願い申し上げる。どうか、この国をお救いいただきたい。食糧支援を……そして、叶うならば、エルドラド王国へお戻りいただき、我々を導いてはいただけないだろうか」
それは、事実上の女王就任の要請にも等しい、最大限の懇願だった。
しかし、私の答えは、最初から決まっていた。
私は、隣に立つアレンの手を固く握り、エルドラドの使者の前に、ローゼンベルク領の代表として、そして一人の人間として、はっきりと宣言した。
「お顔を上げてください、宰相閣下。謝罪は受け入れましょう。過去は、もう水に流します」
私の言葉に、宰相の顔に安堵の色が浮かぶ。だが、私は続けた。
「食糧支援に関しましては、人道的な見地、そして隣国としての誼を考え、対価を支払っていただけるというのであれば、前向きに検討させていただきます。我がローゼンベルクは、もはやそれだけの力を持つ領地となりましたので」
その言葉には、かつての公爵令嬢としての立場ではなく、一人の領主の伴侶としての自信と誇りが満ちていた。隣のアレンが、誇らしげに私の肩を抱き寄せる。
「ですが」
私は、きっぱりとした口調で言った。
「わたくしがエルドラドに帰ることは、決してありません。わたくしの故郷は、わたくしが生きるべき場所は、今やこのローゼンベルクなのですから」
私の揺るぎない決意を前に、宰相はそれ以上何も言えなかった。彼は、自分が失ったものがどれほど大きく、そして取り返しのつかないものであったかを、改めて痛感しただろう。
こうして、二つの国の未来は、大きくその道筋を分けた。
エルドラド王国は、自らが犯した過ちの大きな代償を払いながら、他国からの支援を受け、自力で再建の道を歩むことを余儀なくされた。それは、長く、険しい道のりになるだろう。
一方、賢明で愛情深い指導者を得たローゼンベルク領は、大陸でも類を見ないほどの速さで発展を遂げ、平和と豊かさを享受する、輝かしい未来へと力強く歩み出すことになった。
国境を挟んで、二つの国の明暗は、くっきりと分かれた。そして私は、愛する人と、愛する民と共に、この選んだ道を生きていくことを、心に固く誓ったのだった。
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