追放された悪役令嬢は、辺境の地で『豊穣の聖女』と呼ばれています~慰謝料代わりの土地を前世知識で穀倉地帯に変えたら、辺境伯様が溺愛してきます~

黒崎隼人

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エピローグ:黄金色の未来へと続く道

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 リリアーナとアレンの結婚から、数年の歳月が流れた。
 ローゼンベルク領は、今や大陸でも有数の、豊かで平和な独立領としてその名を知られている。
 そして、二人の間には、新たな命が誕生していた。アレンにそっくりな黒い髪と、リリアーナ譲りの好奇心に満ちた灰色の瞳を持つ、愛らしい男の子だった。
「レオン、高い高いー!」
「きゃっきゃっ!」
 かつては堅物で鳴らした辺境伯アレンは、今やすっかり息子を溺愛する、ただの父親になっていた。息子のレオンを軽々と抱き上げ、その笑顔に自身の顔もほころばせている。その光景を、私はテラスから微笑ましく眺めていた。
 私は、領主夫人として、そしてこの土地の農業技術顧問として、変わらず忙しい毎日を送っている。私が設立した学校からは、次々と優秀な人材が育ち、彼らが領地のさらなる発展を支えてくれていた。衛生的な街、豊かな食料、そして何より、人々の笑顔。この土地は、私がかつて夢に見た理想郷そのものになっていた。
 ある晴れた日の午後、私たちは家族三人で、思い出の丘の上にピクニックに来ていた。
 眼下には、どこまでも広がる黄金色の麦畑と、活気にあふれた美しい街並みが広がっている。それは、私とアレン、そしてこの地の皆で、一から築き上げた宝物だった。
「ねえ、アレン様」
「ん?」
「わたくし、ここに来て、本当によかった」
 私の心からの呟きに、隣に座るアレンは優しく微笑んだ。そして、私の肩と、私の膝の上ではしゃいでいる息子のレオンを、大きな腕でまとめて力強く抱きしめた。
「俺もだ。君たちがいてくれる。それだけで、俺の人生は完璧だ」
 追放された悪役令嬢の物語は、ここで一つのハッピーエンドを迎えた。でも、私たちの人生は、物語は、ここで終わりじゃない。
 この豊穣の地で、愛する家族と、愛すべき人々と共に、これからもずっと、ずっと続いていく。
 どこまでも広がる青い空と、風に揺れる黄金色の大地が、私たちの輝かしい未来を、優しく祝福してくれているようだった。
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