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第11章:真の収穫
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邪神が浄化され、世界は本来の輝きを取り戻した。
紫色の瘴気に覆われていた空は、どこまでも澄んだ青色に戻り、暖かい太陽の光が、再び大地を優しく照らし始めた。邪神の消滅と共に降り注いだ光の雨は、枯れた草花を蘇らせ、病に苦しんでいた人々の体を癒した。
世界を救った英雄として、俺と仲間たちは、王都で盛大な祝勝パレードで迎えられた。人々は俺たちの名前を呼び、感謝の言葉を叫んでいる。
王宮で開かれた祝賀会で、国王は改めて、俺に最高の栄誉を与えようとした。
「藤田耕作殿。君は、まぎれもなくこの世界を救った救世主だ。公爵の位と、望むだけの領地を与えよう。どうか、これからも王国の中枢で、その力を振るってほしい」
貴族たちも、以前のように俺を馬鹿にする者は一人もいない。誰もが尊敬と、少しばかりの畏怖の念を込めた眼差しを向けてくる。人々は、いつしか俺のことを、農業の神、『農神』と呼ぶようになっていた。
だが、俺の気持ちは決まっていた。
「陛下。そのお話、大変光栄です。ですが、俺はやはり、ただの農民でいたいのです」
俺は深々と頭を下げた。
「俺がやったことは、種を蒔き、作物を育て、収穫した……ただそれだけです。俺の居場所は、豪華な宮殿ではなく、土の匂いがする畑にあります」
俺の答えに、国王や貴族たちは驚きの顔をしたが、リネット王女だけは、優しく微笑んでいた。彼女は、俺がそういう人間だと分かっていたのだろう。
「……そうか。君らしい答えだな」
国王は、少し寂しそうに、しかし俺の意志を尊重してくれた。
「分かった。君がそう望むなら、無理強いはすまい。だが、覚えておきたまえ。アストリア王国は、そしてこの世界は、君という最高の農民の恩を、永遠に忘れない」
こうして俺は、王国から与えられたすべての名誉と地位を返上し、王都を去ることにした。
もちろん、一人ではない。
「耕作が行くところに、私も行くわ。あなたの育てる作物の販売ルートを確保しなきゃだし、経理の仕事もあるし……まあ、色々よ!」
そう言って頬を染めるミーヤ。
「俺も、コウサク殿の護衛兼、一番弟子として、お供させていただきます! 畑仕事の奥深さ、ぜひご教授願いたい!」
鍬を誇らしげに掲げるガルム。
彼らもまた、それぞれの地位を捨てて、俺についてきてくれることになったのだ。
リネット王女は、王族としての立場があるため、一緒には来られない。彼女は、別れの際に俺の手を強く握りしめた。
「いつでも、王都に顔を見せに来てくださいね。あなたの作る美味しい野菜、いつでも待っていますから」
その瞳が潤んでいたのを、俺は見逃さなかった。
俺たちは、王都の喧騒を離れ、かつて俺が最初に農民としての一歩を踏み出した、あの辺境のアルム村へと戻ることにした。俺にとっての真の収穫は、名声や富ではない。このかけがえのない仲間たちとの絆と、土を耕す平和な日常。それこそが、俺が命を懸けて守りたかったものなのだ。
アルム村に続く道を歩きながら、俺は大きく深呼吸をした。懐かしい土の香りが、肺いっぱいに広がる。
空には、邪神との戦いで生まれた『世界樹』が、その巨大な枝葉を広げ、世界全体を優しく見守っているようだった。あの世界樹は、これからもずっと、この世界の平和と豊穣のシンボルとして、あり続けるのだろう。
「さあ、帰ろう。俺たちの畑へ」
俺の言葉に、ミーヤとガルムは力強く頷いた。
農神? 救世主? そんな大層な呼び名は、俺には似合わない。俺は、藤田耕作。ただの農民だ。
そして、そのことに、今、心の底から誇りを感じていた。
紫色の瘴気に覆われていた空は、どこまでも澄んだ青色に戻り、暖かい太陽の光が、再び大地を優しく照らし始めた。邪神の消滅と共に降り注いだ光の雨は、枯れた草花を蘇らせ、病に苦しんでいた人々の体を癒した。
世界を救った英雄として、俺と仲間たちは、王都で盛大な祝勝パレードで迎えられた。人々は俺たちの名前を呼び、感謝の言葉を叫んでいる。
王宮で開かれた祝賀会で、国王は改めて、俺に最高の栄誉を与えようとした。
「藤田耕作殿。君は、まぎれもなくこの世界を救った救世主だ。公爵の位と、望むだけの領地を与えよう。どうか、これからも王国の中枢で、その力を振るってほしい」
貴族たちも、以前のように俺を馬鹿にする者は一人もいない。誰もが尊敬と、少しばかりの畏怖の念を込めた眼差しを向けてくる。人々は、いつしか俺のことを、農業の神、『農神』と呼ぶようになっていた。
だが、俺の気持ちは決まっていた。
「陛下。そのお話、大変光栄です。ですが、俺はやはり、ただの農民でいたいのです」
俺は深々と頭を下げた。
「俺がやったことは、種を蒔き、作物を育て、収穫した……ただそれだけです。俺の居場所は、豪華な宮殿ではなく、土の匂いがする畑にあります」
俺の答えに、国王や貴族たちは驚きの顔をしたが、リネット王女だけは、優しく微笑んでいた。彼女は、俺がそういう人間だと分かっていたのだろう。
「……そうか。君らしい答えだな」
国王は、少し寂しそうに、しかし俺の意志を尊重してくれた。
「分かった。君がそう望むなら、無理強いはすまい。だが、覚えておきたまえ。アストリア王国は、そしてこの世界は、君という最高の農民の恩を、永遠に忘れない」
こうして俺は、王国から与えられたすべての名誉と地位を返上し、王都を去ることにした。
もちろん、一人ではない。
「耕作が行くところに、私も行くわ。あなたの育てる作物の販売ルートを確保しなきゃだし、経理の仕事もあるし……まあ、色々よ!」
そう言って頬を染めるミーヤ。
「俺も、コウサク殿の護衛兼、一番弟子として、お供させていただきます! 畑仕事の奥深さ、ぜひご教授願いたい!」
鍬を誇らしげに掲げるガルム。
彼らもまた、それぞれの地位を捨てて、俺についてきてくれることになったのだ。
リネット王女は、王族としての立場があるため、一緒には来られない。彼女は、別れの際に俺の手を強く握りしめた。
「いつでも、王都に顔を見せに来てくださいね。あなたの作る美味しい野菜、いつでも待っていますから」
その瞳が潤んでいたのを、俺は見逃さなかった。
俺たちは、王都の喧騒を離れ、かつて俺が最初に農民としての一歩を踏み出した、あの辺境のアルム村へと戻ることにした。俺にとっての真の収穫は、名声や富ではない。このかけがえのない仲間たちとの絆と、土を耕す平和な日常。それこそが、俺が命を懸けて守りたかったものなのだ。
アルム村に続く道を歩きながら、俺は大きく深呼吸をした。懐かしい土の香りが、肺いっぱいに広がる。
空には、邪神との戦いで生まれた『世界樹』が、その巨大な枝葉を広げ、世界全体を優しく見守っているようだった。あの世界樹は、これからもずっと、この世界の平和と豊穣のシンボルとして、あり続けるのだろう。
「さあ、帰ろう。俺たちの畑へ」
俺の言葉に、ミーヤとガルムは力強く頷いた。
農神? 救世主? そんな大層な呼び名は、俺には似合わない。俺は、藤田耕作。ただの農民だ。
そして、そのことに、今、心の底から誇りを感じていた。
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