追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人

文字の大きさ
12 / 24

第11話:伝説の鍛冶師はスランプ中

しおりを挟む
 ギルド『クローゼット』を結成したカイたちは、まずメンバーの装備を整えることにした。エリアナの剣は伝説級のものになったが、カイとルナの装備は、まだ街で買ったあり合わせの物だ。

「街で一番の鍛冶師といえば、ドワーフのグラムさんですね。街外れの工房に引きこもっている、少し偏屈な方ですが、その腕は確かだと聞いています」

 エリアナの情報をもとに、三人は街外れにあるグラムの工房を訪ねた。工房からは、カン、カン、と金属を打つ音が聞こえてくるかと思いきや、中は不気味なほど静まり返っていた。

 扉を叩くと、中から「うるさい! 今は誰とも会わん!」という、不機嫌そうな声が返ってきた。

「グラム殿、私はラングフォード家のエリアナと申します。武具の製作をお願いしたく、参りました」
 エリアナが家名を名乗ると、扉がわずかに開いた。隙間から、立派な髭を蓄えた、いかにも頑固そうなドワーフが顔を覗かせる。彼がグラムだった。

「ラングフォード家……ああ、あの騎士爵のか。だが、今は注文は受けとらん。帰ってくれ」

 そう言って扉を閉めようとするグラムを、カイが慌てて止めた。
「待ってください! どうして注文を受けないんですか? あなたは、この街で一番の鍛冶師だと聞きました」

 カイの言葉に、グラムは苦虫を噛み潰したような顔をした。
「……一番、だと? フン、もはや過去の話よ。今のわしは、ただの役立たずの爺いだ」

 グラムはため息をつき、三人を工房の中に招き入れた。工房の中は、打ちかけの武具や、最高級の素材が乱雑に置かれており、彼の心の乱れを映しているようだった。

 工房の隅には、ひときわ異彩を放つ金属塊が置かれていた。虹色の輝きを放つ、伝説の金属「オリハルコン」だ。

「わしは……このオリハルコンの加工に失敗し続けておる」
 グラムは、悔しそうにオリハルコンを睨みつけた。
「オリハルコンは、神々の金属とも呼ばれるほどの代物。並大抵の炎では溶けず、その魔力構造はあまりに複雑怪奇。どう叩いても、どう熱しても、わしの望む形にはなってくれん。この半年、ずっとこれに付きっきりだったが……もう、わしの腕では無理なのかもしれん」

 伝説の鍛冶師と呼ばれた男が、完全に自信を失い、スランプのどん底にいる。その姿に、カイは【整理整頓】スキルを理由に追放された、かつての自分を重ねた。

 カイは、オリハルコンにそっと手を伸ばした。
「グラムさん。もし、あなたさえよければ……この金属、少しだけ僕に触らせてもらえませんか?」
「なんだ小僧、お前に何がわかると……」

 グラムは訝しげな顔をしたが、カイの真剣な瞳を見て、黙って頷いた。
 カイがオリハルコンに触れ、【整理整頓】を発動させる。すると、彼の脳内に、オリハルコンの持つ、途方もなく複雑で、乱れきった魔力構造が流れ込んできた。

(すごい魔力だ……でも、これじゃあ、まるでパズルがぐちゃぐちゃに混ざっているようなものだ。これじゃあ、加工なんてできるはずがない)

 カイは、その乱れたパズルのピースを、一つ一つ正しい場所にはめていくイメージをした。複雑に絡み合った魔力の流れを解きほぐし、淀みをなくし、スムーズに流れるように〝整理〟していく。

 カイの手がオリハルコンから離れた時、それは起きた。

 今まで気難しい輝きを放っていたオリハルコンが、まるで赤子のように素直で、穏やかな虹色の光を放ち始めたのだ。

「な……なんじゃ、これは……?」

 グラムが、信じられないという顔でオリハルコンに触れる。
「魔力が……魔力が、驚くほど素直になっておる! こんな、こんな馬鹿なことがあるか!?」

 オリハルコンの内部で荒れ狂っていた魔力の嵐が、嘘のように静まり返っている。これならば、彼の技術で自在に加工することができるだろう。

 グラムは、何が起きたのかを理解し、わなわなと震え始めた。そして、カイの前にドサリと膝をついた。

「神よ……いや、小僧……いや、カイ様! あなた様は一体何者ですかな!? これは、もはや人間の御業ではない! 神技じゃ!」

 スランプのどん底から一気に引き上げられた伝説の鍛冶師は、カイの規格外の能力に完全に心酔し、涙を流して感謝した。この日を境に、彼はギルド『クローゼット』の専属鍛冶師となり、その神技とカイの能力を組み合わせることで、歴史に名を残す数々の武具を生み出していくことになる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

神罰カウントが見える追放技師は、兵器開発を断って辺境港で遺物工房をひらく

蒼月よる
ファンタジー
反宗教国家の遺物管理局で働いていた技師ジンは、危険な接続実験を止めたせいで「臆病者」として追放された。 彼には遺物の危険度――神罰までの目盛りが見える。 流れ着いた辺境港アルヴァスで、壊れたポンプを直し、止まった航路灯を点け、生活道具だけを作る小さな工房を始めるが、評判はすぐに軍と闇市場へ届いてしまう。 「兵器にしろ」と迫る圧力。 「便利なら危険でもいい」と進める上層。 数字が赤くなる前に、守るべきは誰の暮らしか。 追放技師の逆転工房譚。 この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。 ・世界観・設定の管理補助 ・プロット段階の壁打ち ・作者による執筆後の校正

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

モンド家の、香麗なギフトは『ルゥ』でした。~家族一緒にこの異世界で美味しいスローライフを送ります~

みちのあかり
ファンタジー
10歳で『ルゥ』というギフトを得た僕。 どんなギフトかわからないまま、義理の兄たちとダンジョンに潜ったけど、役立たずと言われ取り残されてしまった。 一人きりで動くこともできない僕を助けてくれたのは一匹のフェンリルだった。僕のギルト『ルゥ』で出来たスープは、フェンリルの古傷を直すほどのとんでもないギフトだった。 その頃、母も僕のせいで離婚をされた。僕のギフトを理解できない義兄たちの報告のせいだった。 これは、母と僕と妹が、そこから幸せになるまでの、大切な人々との出会いのファンタジーです。 カクヨムにもサブタイ違いで載せています。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。  どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!  スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!  天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

処理中です...