「君は悪役令嬢だ」と離婚されたけど、追放先で伝説の力をゲット!最強の女王になって国を建てたら、後悔した元夫が求婚してきました

黒崎隼人

文字の大きさ
11 / 17

第10話「瓦礫の上に咲く、二つの国の誓い」

しおりを挟む
 私が次に目を覚ました時、そこは見慣れたノースガルドの領主の館…いや、今や王城となった館の自室のベッドの上だった。

 窓から差し込む陽光は暖かく、小鳥のさえずりが聞こえる。悪夢のような戦いが、本当に終わったのだと実感した。

「お気づきになりましたか、アリシア様」

 傍らでずっと付き添ってくれていたのだろう。ギルバートが、涙で濡れた顔をほころばせた。

「ギルバート…私、どのくらい…」

「三日三晩、お眠りになっておられました。しかし、ご無事で…本当によかった…」

 命を懸けた大魔法の代償は大きく、体中の魔力がほとんど空になっていたらしい。リナリアが付きっきりで治療してくれたおかげで、一命は取り留めたのだという。

 体の自由が利くようになると、私はすぐに戦後処理に取り掛かった。

 大陸中の国の代表者を、このノースガルド…新生ヴァンデルーク王国に招き、戦後初の国際会議を開いた。

 会議の場で、私はヴァンデルーク王国の正式な建国を宣言し女王として立つことを表明した。セシリアの脅威から世界を救った英雄として、私の言葉に異を唱える者は誰もいなかった。

 会議の最終日。レヴァント皇国の皇帝として出席していたクロードが、全ての代表者の前で立ち上がった。

「諸国の代表の方々。そして、アリシア女王陛下。この場をお借りして、我がレヴァント皇国の過去の過ちを公式に謝罪したい」

 彼の言葉に、場が静まり返る。

 クロードは、セシリアという名の魔女に国がたぶらかされ、無実の公爵令嬢アリシア・ヴァンデルークを「悪役令嬢」に仕立て上げ、非道な追放処分を下したことの全てを包み隠さず語った。

 そして、彼は玉座に座る私の前に進み出て、深く、深く頭を下げた。

「アリシア…いや、女王陛下。私の愚かな判断が、あなたに計り知れない苦痛を与えた。皇帝として、そして一人の男として心から謝罪する。誠に、申し訳なかった」

 その誠実な謝罪は、私の凍てついていた心に温かな光を灯すようだった。

「顔を上げなさい、クロード皇帝。過去は水に流しましょう。私たちは、未来を見なければなりません」

 私は、静かにそう告げた。

 その後、クロードは皇国からの賠償金とヴァンデルーク王国との恒久的な平和条約、そして強固な同盟関係の締結を申し出た。私もそれを受諾し、二つの国はかつてないほど固い絆で結ばれることになった。

 こうして、大陸にはようやく平和が訪れた。

 会議が終わり、各国の代表が帰途についた後。クロードが、一人で私の執務室を訪れた。

「これで、少しは償いになっただろうか」

 彼は、どこか寂しげな表情で尋ねた。

「ええ。十分すぎるほどです」

「そうか…」

 しばらくの沈黙が、二人の間に流れる。それは気まずいものではなく、多くのことを乗り越えてきた者同士だけが共有できる穏やかな時間だった。

「私たちは、二度と戦うことはない」

 クロードが、窓の外を見ながらつぶやいた。

「ええ、誓いましょう。この平和を、永遠に」

 私も、同じように答えた。

 私たちは、確かに新しい関係を築いた。信頼できる同盟国の元首同士として。だが、その胸の内にはまだ言葉にできない複雑な感情が渦巻いていた。

 元夫婦という過去。彼が私を捨て、私が彼を打ち負かしたという事実。そして、命を懸けて互いを守った最後の戦いの記憶。

 それらの感情に、どう名前をつければいいのか私たちはまだ分からずにいた。

 クロードは、「皇国の復興が待っている」と言い残し王都へと帰っていった。

 彼の後ろ姿を見送りながら、私は思う。私たちの物語は、まだ終わっていない。これから、私たちはこの瓦礫の上にどんな未来の花を咲かせていくのだろうか、と。

 女王としての私の道は、まだ始まったばかりなのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の役割を演じきり、婚約破棄で自由を手に入れた私。一途な騎士の愛に支えられ、領地経営に専念していたら、元婚約者たちが後悔し始めたようで

黒崎隼人
ファンタジー
「悪役令嬢」の断罪劇は、彼女の微笑みと共に始まった――。 王太子に婚約破棄を突きつけられた侯爵令嬢エルザ・ヴァイス。乙女ゲームのシナリオ通り、絶望し泣き叫ぶはずだった彼女が口にしたのは、「その茶番、全てお見通しですわ」という、全てを見透かすような言葉だった。 強制された役割から自ら降りたエルザは、王都の悪意を背負いながら、疲弊した領地へと帰還する。そこで彼女を待っていたのは、世間の冷たい目と、幼い頃に救った孤児――騎士レオン・ベルナールの変わらぬ忠誠心だった。 「あなたが悪役などであるはずがない」。彼の言葉に導かれ、エルザは己の才能と知性を武器に、領地の改革に乗り出す。一方、シナリオから外れた王都では、王太子ルキウスやヒロインのリアナが、抱える違和感と罪悪感に苦しんでいた。 しかし、エルザを陥れようとする新たな陰謀が動き出す。果たしてエルザは、自らの人生を切り開き、本当の幸せを掴むことができるのか? そして、ゲームの呪縛から解き放たれた者たちの運命は――。 これは、悪役令嬢という仮面を脱ぎ捨て、真実の愛と自己実現を手にする、美しくも力強い逆転の物語。あなたもきっと、彼女の選択に心を揺さぶられるでしょう。

元悪役令嬢、偽聖女に婚約破棄され追放されたけど、前世の農業知識で辺境から成り上がって新しい国の母になりました

黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢ロゼリアは、王太子から「悪役令嬢」の汚名を着せられ、大勢の貴族の前で婚約を破棄される。だが彼女は動じない。前世の記憶を持つ彼女は、法的に完璧な「離婚届」を叩きつけ、自ら自由を選ぶ! 追放された先は、人々が希望を失った「灰色の谷」。しかし、そこは彼女にとって、前世の農業知識を活かせる最高の「研究室」だった。 土を耕し、水路を拓き、新たな作物を育てる彼女の姿に、心を閉ざしていた村人たちも、ぶっきらぼうな謎の青年カイも、次第に心を動かされていく。 やがて「辺境の女神」と呼ばれるようになった彼女の奇跡は、一つの領地を、そして傾きかけた王国全体の運命をも揺るがすことに。 これは、一人の気高き令嬢が、逆境を乗り越え、最高の仲間たちと新しい国を築き、かけがえのない愛を見つけるまでの、壮大な逆転成り上がりストーリー!

無能だと追放された「雑用係」のハル、現代の知恵(ライフハック)を駆使したら、呪われた魔王城が聖域化して伝説の賢者と呼ばれ始めた

ユネ
ファンタジー
「君のような無能な掃除係は必要ない!」 勇者パーティーからゴミのように捨てられた雑用係のハル。だが彼女には、前世で培った【家事のプロとしてのライフハック】があった。 ​移り住んだのは、誰もが恐れる『呪われた魔王城』。しかしハルにとっては、ただの「掃除のしがいがある大型物件」に過ぎなかった! 重曹とクエン酸で呪いを浄化し、アルミホイルで魔物を除け、ジャガイモの皮で伝説の鏡を蘇らせる。 ​魔法より便利な知恵で、お城はいつの間にか世界一快適な聖域に。 一方、ハルを失った勇者たちは、汚部屋と化した拠点と自らの無知に絶望することになり――。 ​これは、一人の「掃除好き」が知恵と工夫だけで異世界に革命を起こし、最高のスローライフを手に入れるまでの物語。

婚約破棄されたので、慰謝料で「国」を買うことにしました。~知識ゼロの私ですが、謎の魔導書(AI)に従ったら、いつの間にか王家のオーナーに~

ジョウジ
ファンタジー
「セレスティア、貴様との婚約を破棄する!」 卒業パーティーで王子に断罪された公爵令嬢セレスティア。 慰謝料も貰えず、腹いせに立ち寄った古道具屋のワゴンセール。 そこでたった銅貨数枚(100円)で買った「黒い手鏡(スマホ)」を起動した瞬間、運命が変わる。 『警告。3年後の国家破綻およびマスターの処刑確率は99.9%です』 「はあ!? 死ぬのは嫌! それに、戦争が起きたら推し(アルド様)が死んじゃうじゃない!」 知識ゼロ、あるのは魔力と行動力、そして推しへの愛だけ。 パニックになった彼女は、スマホに宿るAI(ジェミニ)の極悪な経済作戦を、自分に都合よく「超訳」して実行に移す。 「敵対的買収……? 要するに、お店の借金を肩代わりして『オーナー』になれば、商品は全部タダ(私のもの)ってことね!?」 これは、内心ガクブルの悪役令嬢が、AIの指示を「素敵なお買い物」と勘違いしたまま国を経済支配し、 結果的に「慈悲深い聖女」「経営の天才」と崇められていく、痛快・勘違い無双コメディ! ※全10話の短期集中連載です。お正月のお供にどうぞ! ※テンポを重視してダイジェスト10話版となります。反響があれば長編の執筆を開始します! ※本作は、物語の構想・執筆補助にAI技術を活用し制作されました。 ※小説家になろう・カクヨムにも投稿

「お前は用済みだ」役立たずの【地図製作者】と追放されたので、覚醒したチートスキルで最高の仲間と伝説のパーティーを結成することにした

黒崎隼人
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――役立たずの【地図製作者(マッパー)】として所属パーティーから無一文で追放された青年、レイン。死を覚悟した未開の地で、彼のスキルは【絶対領域把握(ワールド・マッピング)】へと覚醒する。 地形、魔物、隠された宝、そのすべてを瞬時に地図化し好きな場所へ転移する。それは世界そのものを掌に収めるに等しいチートスキルだった。 魔力制御が苦手な銀髪のエルフ美少女、誇りを失った獣人の凄腕鍛冶師。才能を活かせずにいた仲間たちと出会った時、レインの地図は彼らの未来を照らし出す最強のコンパスとなる。 これは、役立たずと罵られた一人の青年が最高の仲間と共に自らの居場所を見つけ、やがて伝説へと成り上がっていく冒険譚。 「さて、どこへ行こうか。俺たちの地図は、まだ真っ白だ」

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

【完結】悪役令嬢と追放されましたが優秀と勘違いされてます!?

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
断罪イベントを心待ちにしていた悪役令嬢アメリア・フォン・グランツ公爵令嬢。王太子から婚約破棄を突きつけられ、ついに自由の身になれると歓喜する彼女だったが、その態度が「崇高な精神」だと勘違いされ、思わぬ方向へ物語は進んでいく。 自由なスローライフを満喫するため、領地で薬草研究に没頭していたアメリア。しかし、彼女が趣味で開発した薬草が、王都で流行した疫病を治す「秘薬」として広まってしまう。この「奇跡」を目の当たりにした王太子と聖女リリアは、アメリアを「国民のためにすべてを捨てて尽くす気高き淑女」だと再び勘違いし、彼女に協力を求めてくる。 せっかく手に入れた自由が失われそうになり、面倒事に巻き込まれたアメリアは、この状況を逆手に取ることを決意する。彼女が求めるのは、地位や名誉ではない、ただ心ゆくまで研究に没頭できる場所と資金だった。果たしてアメリアは、周囲の盛大な勘違いを利用して、本当の自由を手に入れることができるのか? 悪役令嬢の追放が、なぜか国を救う英雄への道へとつながっていく、勘違いから始まる痛快な物語。 短編作品です。ぜひほかの作品もご覧ください。

無能と追放された鑑定士、実は物の情報を書き換える神スキル【神の万年筆】の持ち主だったので、辺境で楽園国家を創ります!

黒崎隼人
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――勇者パーティーの【鑑定士】リアムは、戦闘能力の低さを理由に、仲間と婚約者から無一文で追放された。全てを失い、流れ着いたのは寂れた辺境の村。そこで彼は自らのスキルの真価に気づく。物の情報を見るだけの【鑑定】は、実は万物の情報を書き換える神のスキル【神の万年筆】だったのだ! 「ただの石」を「最高品質のパン」に、「痩せた土地」を「豊穣な大地」に。奇跡の力で村を豊かにし、心優しい少女リーシャとの絆を育むリアム。やがて彼の村は一つの国家として世界に名を轟かせる。一方、リアムを失った勇者パーティーは転落の一途をたどっていた。今さら戻ってこいと泣きついても、もう遅い! 無能と蔑まれた青年が、世界を創り変える伝説の王となる、痛快成り上がりファンタジー、ここに開幕!

処理中です...