【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった

黒崎隼人

文字の大きさ
11 / 17

第九章:聖女の涙、遅すぎた謝罪

しおりを挟む
 使者ジェラルドが、何の成果も得られずに帰ってきたという報告は、王城にさらなる絶望をもたらした。
「役立たずめが!」
 王太子ギルバートはジェラルドを罵倒するが、もはや後の祭りだ。
「……わたくしが、行きます」
 静かに立ち上がったのは、アイリスだった。
「何を言うか! 聖女であるお前が、あのような辺境に行くなど許さん!」
「いいえ、行きます。これは、わたくしが蒔いた種なのですから」
 アイリスの瞳には、かつてないほど強い意志が宿っていた。彼女は王太子の制止を振り切り、護衛もほとんどつけずに、たった一人でアルカディアへと向かった。

 数日後、アルカディアの村の入り口に、一人の女性が立っていた。旅の汚れでドレスはくすみ、美しい金色の髪も少し乱れている。しかし、その気高い雰囲気は隠せない。聖女アイリスだ。
 彼女を出迎えたのは、銀髪の女騎士エリナだった。
「……王国の聖女様が、何の御用でしょう。アッシュは、会わないと言っています」
 エリナは、アイリスに対して明確な敵意を向けていた。彼女にとって、アッシュを傷つけた人間は、誰であろうと許せないのだ。
「そこをどうか、お願いします。一目、彼に会って、謝りたいのです」
 アイリスは深々と頭を下げた。その必死な姿に、エリナは少しだけ戸惑う。
 騒ぎを聞きつけたアッシュが、リリィを連れて姿を現した。
「……アイリス」
 アッシュは、変わり果てた幼馴染の姿を見て、複雑な表情を浮かべた。
 アッシュの姿を認めた瞬間、アイリスの目から、堰を切ったように涙が溢れ出した。彼女はアッシュの前に駆け寄ると、その場に崩れるように膝をついた。
「アッシュ……ごめんなさい……! 本当に、ごめんなさい……!」
 彼女はプライドも、聖女という立場も、何もかも捨てていた。ただ、一人の少女として、涙ながらに過去の過ちを告白した。
「あなたを追放したのは……わたくしの、嫉妬と弱さでした。あなたの方が、ずっとすごい人だったのに……。ずっと、優しい人だったのに……! わたくしは、自分のことしか考えていなかった……!」
 嗚咽を漏らしながら、言葉を続ける。
「国のためだなんて、言いません。でも、お願い……。罪のない、苦しんでいる民のために……あなたの力を貸して……」
 彼女は、アッシュに救いを求めるのではなく、民のために救いを求めた。その言葉に、嘘はなかった。
 アッシュは、静かに彼女の言葉を聞いていた。彼の隣で、エリナとリリィが心配そうに見守っている。
「……顔を上げて、アイリス」
 アッシュはそう言うと、彼女に手を差し伸べた。
「苦しんでいる人がいるのなら、見捨てることはできない。それが僕のやり方だから」
 彼の言葉に、エリナがふっと微笑んだ。
「……まったく、君はお人好しだな。だが、そういうところが好きだ」
 リリィもこくりと頷く。
「うん。苦しんでる人がいるのに見て見ぬふりするのは、アルカディアのやり方じゃないよね!」
「エリナ……リリィ……」
 アッシュは仲間たちの言葉に後押しされ、王国を助けることを決意した。
 アイリスは、アッシュが差し出した手を取り、涙で濡れた顔を上げた。その目には、感謝と、償いの光が宿っていた。
 過去との決着は、こうして果たされた。これより始まるのは、未来を救うための戦いだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者パーティを追放された地味な器用貧乏は、 魔王軍の女騎士とスローライフを送る

ちくわ食べます
ファンタジー
勇者パーティから「地味、英雄譚の汚点」と揶揄され追放された器用貧乏な裏方の僕。 帰る場所もなく死の森を彷徨っていたところ、偶然にも重傷を負った魔王軍四天王で最強の女騎士「黒鉄剣のリューシア」と遭遇する。 敵同士のはずなのに、なぜか彼女を放っておけなくて。治療し、世話をし、一緒に暮らすことになった僕。 これは追放された男と、敗北を重ね居場所を失った女の物語。

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~

風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…

偽りの呪いで追放された聖女です。辺境で薬屋を開いたら、国一番の不運な王子様に拾われ「幸運の女神」と溺愛されています

黒崎隼人
ファンタジー
「君に触れると、不幸が起きるんだ」――偽りの呪いをかけられ、聖女の座を追われた少女、ルナ。 彼女は正体を隠し、辺境のミモザ村で薬師として静かな暮らしを始める。 ようやく手に入れた穏やかな日々。 しかし、そんな彼女の前に現れたのは、「王国一の不運王子」リオネスだった。 彼が歩けば嵐が起き、彼が触れば物が壊れる。 そんな王子が、なぜか彼女の薬草店の前で派手に転倒し、大怪我を負ってしまう。 「私の呪いのせいです!」と青ざめるルナに、王子は笑った。 「いつものことだから、君のせいじゃないよ」 これは、自分を不幸だと思い込む元聖女と、天性の不運をものともしない王子の、勘違いから始まる癒やしと幸運の物語。 二人が出会う時、本当の奇跡が目を覚ます。 心温まるスローライフ・ラブファンタジー、ここに開幕。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました

黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった! これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。

処理中です...