追放された悪役令嬢、辺境で植物魔法に目覚める。銀狼領主の溺愛と精霊の加護で幸せスローライフ!〜真の聖女は私でした〜

黒崎隼人

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第3話「小さな芽と妖精の友達」

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 カイルに与えられた食料だけでは、到底生きていけない。

 私は翌日から、本格的な食料探しを始めた。

 頼りになるのは、『フロンティア・ガーデナー』のゲーム知識だ。

「この葉っぱは、確かスープにすると美味しいはず。こっちの根っこは、茹でればお芋みたいになるんだったわ」

 森の浅い場所を慎重に歩き回り、食用可能な野草やハーブを摘んでいく。

 最初は半信半疑だったけれど、ゲームの知識は驚くほど正確だった。

 小屋に戻り、粗末な鍋で野草のスープを作る。

 味付けは岩塩だけだが、自分で見つけた食材で作ったスープは、王宮で食べたどんなご馳走よりも美味しく感じられた。

 食料探しのついでに、私は小屋の周りの小さな土地を耕し始めた。

 道具はないから、手と石ころで。

 そこに、自生していたハーブの株をいくつか植え替えてみる。

「ここで元気に育ってね」

 そう語りかけながら、一つ一つの苗に触れていく。

 すると、あの時と同じように、私の手から淡い光が溢れ、植物たちが目に見えて生き生きとしていくのが分かった。

 以前は無自覚だったが、どうやら私は、触れることで植物の生命力を活性化させる力を持っているらしい。

 この力があれば、痩せた土地でも作物を育てられるかもしれない。

 私のスローライフ計画に、大きな希望が見えてきた。

 そんなある日のこと。

 私がハーブ畑に水をやっていると、視界の隅で何かがキラキラと光った。

「ん?」

 目を凝らすと、ミントの葉陰で、二つの小さな光が揺れている。

 それは、まるで小さな人影のようだった。

 私がそっと近づくと、光は驚いたように飛び上がった。

 それは、背中に葉っぱの羽を生やした、手のひらサイズの可愛らしい生き物だった。

 一人はミントの葉のような髪、もう一人はバジルの葉のような髪をしている。

「妖精さん……?」

 ゲームの中では見たことがあった。

 植物の生育を助けてくれる、植物精霊。

 まさか、本物に会えるなんて。

 私が驚いて固まっていると、二人の精霊は恐る恐る私に近づいてきた。

 そして、私の周りをくるくると飛び回り、きゃっきゃっと楽しそうな声を上げる。

 どうやら、私を気に入ってくれたらしい。

「こんにちは。私はリリアよ」

 私が微笑みかけると、ミント髪の子が私の指先にちょこんと乗り、もう一人の子が私の肩にふわりと降り立った。

『リリア!』

『いい匂い!』

 頭の中に、子供のような可愛らしい声が直接響いてくる。

 テレパシーのようなものだろうか。

「あなたたちのお名前は?」

『ミント!』

『バジル!』

 名前までゲームと一緒だなんて。

 私は嬉しくなって、笑い声を上げた。

 ミントとバジルは、それからすっかり私に懐いてくれた。

 私がハーブを摘むのを手伝ってくれたり、どこに珍しい木の実があるか教えてくれたり。

 彼らのおかげで、私の孤独な生活は一気に賑やかになった。

 追放され、すべてを失ったと思っていた。

 でも、違った。

 私には、植物を育てる力がある。

 そして、ミントとバジルという、可愛い友達ができた。

 厳しい辺境の地で、私の心に温かい灯がはっきりとともった。

 もう、一人じゃない。

 この小さな幸せを、大切に育てていこう。

 そう、心に誓った。
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