Sランクパーティー役立たずと追放された僕。でも俺のスキルは、ガラクタを伝説級に変える最強鑑定士でした

黒崎隼人

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エピローグ:忘れられた街の賑やかな日常

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 あれから、数年の月日が流れた。
 かつて「忘れられた街」と呼ばれたルーンは、今や多くの人々が訪れる活気ある街へと生まれ変わっていた。その中心にあるのは、俺の骨董品店『物語の揺りかご』だ。
 この店は、訳ありの品と、訳ありの人々が集う、世界で最もユニークな場所として知られるようになった。

「アルト、お茶が入ったわよ。今日は珍しい茶葉なの」
 カウンターの向こうで、セレスティアが魔法で浮かべたティーポットから、香り高いお茶を淹れてくれる。彼女はもうすっかり、この店の看板娘兼、凄腕の用心棒だ。
 そして、店の奥からは、透き通るような美しい歌声が響いてくる。
 ――それは、リリアナの歌声。
 彼女は声を取り戻してから、時々こうして店で歌を披露してくれるようになった。その歌声は、人々の心を癒し、慰め、勇気づける。彼女の歌を聞くためだけに、遠方から訪れる客も少なくない。
「いやあ、アルトさん。この間譲ってもらった『働き者の鍬』のおかげで、畑仕事がめちゃくちゃ捗ってね!今年の収穫は期待できそうだ!」
 元騎士団長が、今ではすっかり農夫の顔になって、にこやかに話しかけてくる。
 俺は、そんな賑やかで温かい日常を、心から愛していた。
 カウンターに座り、一人の旅人が持ち込んできた、古びたオイルランプを手に取る。それは一見、ただのガラクタにしか見えない。
 だが、俺はそっとそれに触れ、優しく微笑みかける。
 そして、いつものようにこう尋ねるのだった。

「さて、君はどんな物語を、僕に聞かせてくれるんだい?」

 物語は、まだ終わらない。世界に忘れられた小さな物語たちに、光を当てる俺の仕事は、これからもずっと続いていく。
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