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エピローグ:永遠に緑なす谷で
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テラ・ノヴァ建国から、五年の歳月が流れた。
かつて「緑の谷」と呼ばれた地は、今や大陸で最も豊かで、平和な国の首都として、その輝きを放っていた。美しい街並みには人々の笑顔が溢れ、子供たちの元気な声が響き渡る。畑は一年中、黄金色や緑色に輝き、大地からの恵みは、アルカディア王国をはじめとする周辺国にも、豊かさをもたらしていた。
今日は、国中が祝祭の雰囲気に包まれている。女王リーゼリットと、王配カイルの結婚五周年を祝う、記念式典の日だ。
城のバルコニーに、リーゼリットとカイルが姿を現すと、広場を埋め尽くした国民から、割れんばかりの歓声が上がった。
「リーゼリット女王、万歳!」「カイル王配、万歳!」
リーゼリットは、優雅に手を振りながら、その光景を目に焼き付けていた。隣に立つカイルの腕には、やんちゃ盛りの四歳の息子が抱かれている。茶色い髪は父親譲り、青い瞳は母親譲りの、この国の未来を象徴する王子様だ。そして、リーゼリットのお腹の中には、新しい命も宿っていた。
「みんな、ありがとう。この国の平和と繁栄は、ここにいる皆さん一人一人の力によって築かれたものです」
女王の言葉に、再び歓声が沸き起こる。
式の後、ささやかな祝宴が開かれた。そこには、懐かしい顔ぶれが揃っていた。
すっかり好々爺となったジョージ爺さんは、孫のように可愛い王子に、昔話を語って聞かせている。女王秘書官として、今やリーゼリットの右腕となったエルザは、てきぱきと祝宴の差配をしていた。
軍事総司令官レオンと、宰相セシリアも、穏やかな表情で寄り添っていた。二人は昨年結婚し、公私ともに、女王を支える最高のパートナーとなっていた。
そして、特別賓客として、アルカディア王国を代表して、エドワードも出席していた。彼は王位を弟に譲り、今は外交顧問として、両国の架け橋となるべく尽力している。その顔には、かつての傲慢な王子の面影はなく、過ちを乗り越えた者の、深い落ち着きが宿っていた。
「リーゼリット女王、カイル王配。心から、お祝い申し上げる」
エドワードが深く頭を下げると、リーゼリットはにこやかに応えた。
「エドワード殿。あなたの尽力に、私も感謝しています。二つの国の未来は、明るいものになると、私は信じています」
過去の遺恨は、もはやどこにもなかった。
宴が終わり、夜が更けた頃。リーゼリットとカイルは、二人きりで、思い出の丘の上に立っていた。ここから見下ろす国の夜景は、五年前とは比べ物にならないほど、広く、そして明るい。
「ねえ、カイル」
「ん?」
「私、幸せよ。追放されたあの日は、世界の全てを呪ったけれど……今なら、あの日にさえ、感謝できる気がする。あなたと、この谷と、みんなと出会えたのだから」
リーゼリットは、カイルの胸にそっと寄り添った。カイルは、愛しい妻と、そのお腹の子を、大きな腕で優しく包み込んだ。
「俺もだ。お前と出会って、俺の世界は色を取り戻した。いや、生まれて初めて、世界がこんなにも美しいものだと知った」
二人は、言葉を交わす代わりに、静かに唇を重ねた。
満天の星空の下、かつて絶望の地だった谷は、永遠に続く平和と繁栄を約束された、真の楽園として、優しく輝き続けていた。
追放された悪役令嬢の物語は、ここでハッピーエンドを迎える。しかし、彼女たちが紡いでいく未来の物語は、この先も、永遠に続いていくのだろう。どこまでも青く、どこまでも緑なす、希望に満ちた大地の上で。
かつて「緑の谷」と呼ばれた地は、今や大陸で最も豊かで、平和な国の首都として、その輝きを放っていた。美しい街並みには人々の笑顔が溢れ、子供たちの元気な声が響き渡る。畑は一年中、黄金色や緑色に輝き、大地からの恵みは、アルカディア王国をはじめとする周辺国にも、豊かさをもたらしていた。
今日は、国中が祝祭の雰囲気に包まれている。女王リーゼリットと、王配カイルの結婚五周年を祝う、記念式典の日だ。
城のバルコニーに、リーゼリットとカイルが姿を現すと、広場を埋め尽くした国民から、割れんばかりの歓声が上がった。
「リーゼリット女王、万歳!」「カイル王配、万歳!」
リーゼリットは、優雅に手を振りながら、その光景を目に焼き付けていた。隣に立つカイルの腕には、やんちゃ盛りの四歳の息子が抱かれている。茶色い髪は父親譲り、青い瞳は母親譲りの、この国の未来を象徴する王子様だ。そして、リーゼリットのお腹の中には、新しい命も宿っていた。
「みんな、ありがとう。この国の平和と繁栄は、ここにいる皆さん一人一人の力によって築かれたものです」
女王の言葉に、再び歓声が沸き起こる。
式の後、ささやかな祝宴が開かれた。そこには、懐かしい顔ぶれが揃っていた。
すっかり好々爺となったジョージ爺さんは、孫のように可愛い王子に、昔話を語って聞かせている。女王秘書官として、今やリーゼリットの右腕となったエルザは、てきぱきと祝宴の差配をしていた。
軍事総司令官レオンと、宰相セシリアも、穏やかな表情で寄り添っていた。二人は昨年結婚し、公私ともに、女王を支える最高のパートナーとなっていた。
そして、特別賓客として、アルカディア王国を代表して、エドワードも出席していた。彼は王位を弟に譲り、今は外交顧問として、両国の架け橋となるべく尽力している。その顔には、かつての傲慢な王子の面影はなく、過ちを乗り越えた者の、深い落ち着きが宿っていた。
「リーゼリット女王、カイル王配。心から、お祝い申し上げる」
エドワードが深く頭を下げると、リーゼリットはにこやかに応えた。
「エドワード殿。あなたの尽力に、私も感謝しています。二つの国の未来は、明るいものになると、私は信じています」
過去の遺恨は、もはやどこにもなかった。
宴が終わり、夜が更けた頃。リーゼリットとカイルは、二人きりで、思い出の丘の上に立っていた。ここから見下ろす国の夜景は、五年前とは比べ物にならないほど、広く、そして明るい。
「ねえ、カイル」
「ん?」
「私、幸せよ。追放されたあの日は、世界の全てを呪ったけれど……今なら、あの日にさえ、感謝できる気がする。あなたと、この谷と、みんなと出会えたのだから」
リーゼリットは、カイルの胸にそっと寄り添った。カイルは、愛しい妻と、そのお腹の子を、大きな腕で優しく包み込んだ。
「俺もだ。お前と出会って、俺の世界は色を取り戻した。いや、生まれて初めて、世界がこんなにも美しいものだと知った」
二人は、言葉を交わす代わりに、静かに唇を重ねた。
満天の星空の下、かつて絶望の地だった谷は、永遠に続く平和と繁栄を約束された、真の楽園として、優しく輝き続けていた。
追放された悪役令嬢の物語は、ここでハッピーエンドを迎える。しかし、彼女たちが紡いでいく未来の物語は、この先も、永遠に続いていくのだろう。どこまでも青く、どこまでも緑なす、希望に満ちた大地の上で。
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