偽りの断罪で追放された悪役令嬢ですが、実は「豊穣の聖女」でした。辺境を開拓していたら、氷の辺境伯様からの溺愛が止まりません!

黒崎隼人

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21 愛しの我が家へ

 王都での騒動がすべて収まり、祝福に満ちた結婚式の後、セレスティナとリアムは、ようやく自分たちの家へと帰ることになった。
 王都を出発する日、多くの国民が彼らを見送りに来た。誰もが「聖女様、お幸せに!」「辺境伯様、またお戻りください!」と、名残惜しそうに手を振っている。セレスティナは、その一人一人に笑顔で応えながら、かつて一人寂しくこの都を去った日のことを思い出していた。

 失ったものは何もなかった。むしろ、あの日があったからこそ、今の幸せがある。

 王都を離れ、北へ向かう道は、もはや荒涼としたものではなかった。セレスティナの力によって浄化された大地は、どこまでも緑豊かで、生命力に満ち溢れていた。

 そして、長い旅路の果てに、懐かしいグレイロック城が見えてきた時、セレスティナの胸は、安堵と喜びでいっぱいになった。
 城門の前では、アンナをはじめ、城の者たち、そして領民たちが、今か今かと彼らの帰りを待ちわびていた。

「「「おかえりなさいませ! 辺境伯様、セレスティナ様!」」」

 馬車が到着すると、割れんばかりの歓声が上がった。領民たちは、国の英雄となった主君とその妻の帰還を、まるで家族を迎えるかのように、盛大に、そして温かく歓迎した。

「ただいま、みんな」

 セレスティナが馬車から降りてそう言うと、子供たちが駆け寄ってきて、彼女に手作りの花冠をプレゼントした。

「ありがとう。とてもきれいね」

 セレスティナは、その素朴な花冠を、ウェディングドレスの代わりに身につけた。王都で贈られたどんな宝石よりも、それは彼女の心を温かくした。

 リアムは、そんな幸せそうなセレスティナの姿と、彼女を囲む領民たちの笑顔を、愛おしそうに眺めている。

 その日の夕方。
 セレスティナとリアムは、二人で城の高台に立ち、眼下に広がる自分たちの領地を眺めていた。夕日に照らされた畑は黄金色に輝き、家々の窓からは温かい夕食の支度をする光が漏れている。穏やかで、平和な光景。

 かつて、絶望と共に送り込まれた追放の地。雪と氷に閉ざされた、何もない場所。
 そこは今、彼女にとって、世界で一番大切な、かけがえのない「愛しの我が家」となっていた。

「綺麗……」

 セレスティナがぽつりと呟くと、リアムが後ろから彼女を優しく抱きしめた。

「ああ、綺麗だ。お前が作り上げた、俺たちの国だ」

 彼の腕の中で、セレスティナは安心しきって体を預ける。リアムと共に、この緑豊かな大地を眺めながら、彼女は穏やかで、どこまでも続いていく幸せな未来を確信していた。
 もう、偽りの断罪も、孤独な夜もない。ここには、愛する夫と、心優しい人々と、豊かな自然がある。

 セレスティナ・アークライトの物語は、ここで、美しいハッピーエンドを迎える。

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