9 / 15
第8話「真実の音晶、地下書庫に眠る希望」
アレンさんの無実を証明したい。
その一心で、私の頭はフル回転を始めていた。でも、一個人の、しかも辺境の司書である私に、一体何ができるだろう。ヴァルガス公爵は、今や王子の側近として絶大な権力を握っているはずだ。何の証拠もなく彼の陰謀を訴え出たところで、握り潰されるのが関の山だろう。
(証拠……。確固たる証拠があれば……)
でも、会話なんて、言ってしまえばその場で消えてしまうものだ。数年前の、しかも王宮での密室の会話を、どうやって証明すればいいんだろう。
私はカウンターに突っ伏して、うんうんと唸っていた。そんな私の様子を見て、アレンさんが呆れたような声をかけてくる。
「おい、何を唸っている。まるで唸るカエルだな」
彼の言葉は黒かったけれど、その奥に心配の色が透けているのがバレバレだ。
「だって……! アレンさんの無実を証明する方法を考えてるんです! でも、何も思いつかなくて……!」
私が悔しそうに言うと、彼はふっと息を漏らした。
「やめておけ。もう終わったことだ。それに、君を危険なことに巻き込むわけにはいかない」
彼の言葉は、私を気遣う、優しい緑色をしていた。でも、その底には諦めの灰色がまだうっすらと残っている。
「嫌です! 諦めません!」
私はむきになって言い返した。
「だって、真実が闇に葬られるなんて、そんなの間違ってます! 本だってそうです。どんなに古い本でも、そこに書かれた真実は、誰かが守り、伝えていかないと消えてしまう。それと一緒です!」
私の言葉は、情熱の赤色。司書としての、私の信念そのものだった。
私の勢いに、アレンさんは少しだけたじろいだようだった。彼はしばらく何かを考え込むように黙っていたが、やがてぽつりと言った。
「……もし、仮に、過去の会話を記録できる魔法があったとしたら、話は別だがな」
「えっ、そんな魔法があるんですか!?」
私は身を乗り出した。
「いや、あくまで仮定の話だ。そんな都合のいい魔法、聞いたことがない」
アレンさんはそう言って首を振った。
過去の会話を記録する魔法……。
その言葉が、私の頭の中で、何かに引っかかった。どこかで、聞いたことがあるような……。王都の中央図書館で司書見習いをしていた頃、膨大な蔵書整理をしながら、様々な文献を読んだ。その中に、確か……。
「……!」
思い出した。
私は椅子から飛び上がると、図書館の奥にある資料室に駆け込んだ。そこは、普段は使わない古い資料や、各図書館の規則集などを保管している場所だ。私は記憶を頼りに、書棚の一番奥から、埃をかぶった分厚いファイルを取り出した。
『王立アルカディア図書館・特殊収蔵品目録』
中央図書館の、中でも特別な資料だけをまとめた目録だ。私は見習いの頃、これを丸暗記させられたことがある。
指で頁を必死にめくっていく。あった!
「『真実の音晶(しんじつのおんしょう)』……」
私は、そこに書かれていた記述を、震える声で読み上げた。
「王宮内での重要会議や儀式の際、その場で交わされた言葉の『真実』を記録する魔法具。言葉に込められた感情、すなわち真意を、色と音の波長として水晶に封じ込める……。その水晶は、王立アルカディア図書館の地下、第一特別書庫に厳重に保管されている」
私の声を聞いて、アレンさんが信じられないという顔で隣に立っていた。
「……馬鹿な。そんなものが、実在したというのか」
「はい! きっとこれです! アレンさんと王子、そしてヴァルガス公爵が話したあの時の会話も、きっとこの『真実の音晶』に記録されているはずです!」
私の言葉は、希望を示す、眩しいほどの虹色に輝いていた。
「もし、その水晶を手に入れることができれば……リリアナ、君のその能力で、記録された言葉の『色』を読み取ることができるんじゃないか?」
アレンさんの声も、興奮で上ずっている。彼の言葉は、驚きと期待が入り混じった、鮮やかな青緑色をしていた。
「はい! きっとできます! 水晶に触れれば、あの時のあなたの言葉が忠誠の金色で、公爵の言葉が野心の紫色だったことを、誰の目にも明らかな形で証明できるはずです!」
私たちは、顔を見合わせた。
暗闇の中に差し込んだ、一本の光。それは、とても細くて、頼りない光かもしれない。でも、私たちにとっては、絶望を打ち破るための、唯一の希望だった。
しかし、問題は山積みだ。
王都にある王立アルカディア図書館。しかも、厳重に警備されているであろう地下の特別書庫。そこに、どうやって忍び込むのか。
「……私が昔いた頃の知識が使えるかもしれん」
アレンさんが、険しい顔で言った。
「宮廷魔術師だった頃、図書館の警備システムの一部は、俺が設計に関わった。古い通用口や、警備魔法の抜け道も、いくつか知っている」
「本当ですか!?」
「ああ。だが、危険な賭けであることに変わりはない。万が一捕まれば、君もただでは済まない。窃盗罪、そして反逆罪の共犯として、極刑に処される可能性もある」
アレンさんの言葉は、警告を示す、鋭い赤色だった。彼は、私のことを本気で心配してくれている。
でも、私の決意は揺らがなかった。
私は、彼の目を真っ直ぐに見つめ返した。
「怖くありません。だって、これはアレンさん一人の問題じゃない。私の問題でもあるんですから」
「君の……?」
「はい。私は、あなたの言葉を信じています。その言葉を守るためなら、どんな危険だって乗り越えてみせます」
私の言葉は、覚悟を決めた、静かで力強い鋼色をしていた。
アレンさんは、しばらくの間、何も言わずに私を見つめていた。彼の瞳が、様々な感情で揺らめいている。やがて彼は、ふっと息を吐き、まるで降参だと言わんばかりに両手を軽く上げた。
「……分かった。君というやつは、本当に、頑固だな」
その言葉は、呆れたような黒色だったけれど、その奥には、私への深い信頼を示す、暖かい金色が灯っていた。
「君がそこまで言うなら、俺も腹を括ろう。二人で、王都へ行こう。そして、真実を、取り戻すんだ」
「はい!」
私たちは、固く、固く手を取り合った。
彼の大きな手は、少しだけ冷たかったけれど、とても力強かった。この手があれば、どんな困難も乗り越えていける。そんな、確信にも似た思いが、私の胸に満ちていく。
辺境の小さな図書館で始まった私たちの物語は、今、王都という大きな舞台へと、その頁を進めようとしていた。
その一心で、私の頭はフル回転を始めていた。でも、一個人の、しかも辺境の司書である私に、一体何ができるだろう。ヴァルガス公爵は、今や王子の側近として絶大な権力を握っているはずだ。何の証拠もなく彼の陰謀を訴え出たところで、握り潰されるのが関の山だろう。
(証拠……。確固たる証拠があれば……)
でも、会話なんて、言ってしまえばその場で消えてしまうものだ。数年前の、しかも王宮での密室の会話を、どうやって証明すればいいんだろう。
私はカウンターに突っ伏して、うんうんと唸っていた。そんな私の様子を見て、アレンさんが呆れたような声をかけてくる。
「おい、何を唸っている。まるで唸るカエルだな」
彼の言葉は黒かったけれど、その奥に心配の色が透けているのがバレバレだ。
「だって……! アレンさんの無実を証明する方法を考えてるんです! でも、何も思いつかなくて……!」
私が悔しそうに言うと、彼はふっと息を漏らした。
「やめておけ。もう終わったことだ。それに、君を危険なことに巻き込むわけにはいかない」
彼の言葉は、私を気遣う、優しい緑色をしていた。でも、その底には諦めの灰色がまだうっすらと残っている。
「嫌です! 諦めません!」
私はむきになって言い返した。
「だって、真実が闇に葬られるなんて、そんなの間違ってます! 本だってそうです。どんなに古い本でも、そこに書かれた真実は、誰かが守り、伝えていかないと消えてしまう。それと一緒です!」
私の言葉は、情熱の赤色。司書としての、私の信念そのものだった。
私の勢いに、アレンさんは少しだけたじろいだようだった。彼はしばらく何かを考え込むように黙っていたが、やがてぽつりと言った。
「……もし、仮に、過去の会話を記録できる魔法があったとしたら、話は別だがな」
「えっ、そんな魔法があるんですか!?」
私は身を乗り出した。
「いや、あくまで仮定の話だ。そんな都合のいい魔法、聞いたことがない」
アレンさんはそう言って首を振った。
過去の会話を記録する魔法……。
その言葉が、私の頭の中で、何かに引っかかった。どこかで、聞いたことがあるような……。王都の中央図書館で司書見習いをしていた頃、膨大な蔵書整理をしながら、様々な文献を読んだ。その中に、確か……。
「……!」
思い出した。
私は椅子から飛び上がると、図書館の奥にある資料室に駆け込んだ。そこは、普段は使わない古い資料や、各図書館の規則集などを保管している場所だ。私は記憶を頼りに、書棚の一番奥から、埃をかぶった分厚いファイルを取り出した。
『王立アルカディア図書館・特殊収蔵品目録』
中央図書館の、中でも特別な資料だけをまとめた目録だ。私は見習いの頃、これを丸暗記させられたことがある。
指で頁を必死にめくっていく。あった!
「『真実の音晶(しんじつのおんしょう)』……」
私は、そこに書かれていた記述を、震える声で読み上げた。
「王宮内での重要会議や儀式の際、その場で交わされた言葉の『真実』を記録する魔法具。言葉に込められた感情、すなわち真意を、色と音の波長として水晶に封じ込める……。その水晶は、王立アルカディア図書館の地下、第一特別書庫に厳重に保管されている」
私の声を聞いて、アレンさんが信じられないという顔で隣に立っていた。
「……馬鹿な。そんなものが、実在したというのか」
「はい! きっとこれです! アレンさんと王子、そしてヴァルガス公爵が話したあの時の会話も、きっとこの『真実の音晶』に記録されているはずです!」
私の言葉は、希望を示す、眩しいほどの虹色に輝いていた。
「もし、その水晶を手に入れることができれば……リリアナ、君のその能力で、記録された言葉の『色』を読み取ることができるんじゃないか?」
アレンさんの声も、興奮で上ずっている。彼の言葉は、驚きと期待が入り混じった、鮮やかな青緑色をしていた。
「はい! きっとできます! 水晶に触れれば、あの時のあなたの言葉が忠誠の金色で、公爵の言葉が野心の紫色だったことを、誰の目にも明らかな形で証明できるはずです!」
私たちは、顔を見合わせた。
暗闇の中に差し込んだ、一本の光。それは、とても細くて、頼りない光かもしれない。でも、私たちにとっては、絶望を打ち破るための、唯一の希望だった。
しかし、問題は山積みだ。
王都にある王立アルカディア図書館。しかも、厳重に警備されているであろう地下の特別書庫。そこに、どうやって忍び込むのか。
「……私が昔いた頃の知識が使えるかもしれん」
アレンさんが、険しい顔で言った。
「宮廷魔術師だった頃、図書館の警備システムの一部は、俺が設計に関わった。古い通用口や、警備魔法の抜け道も、いくつか知っている」
「本当ですか!?」
「ああ。だが、危険な賭けであることに変わりはない。万が一捕まれば、君もただでは済まない。窃盗罪、そして反逆罪の共犯として、極刑に処される可能性もある」
アレンさんの言葉は、警告を示す、鋭い赤色だった。彼は、私のことを本気で心配してくれている。
でも、私の決意は揺らがなかった。
私は、彼の目を真っ直ぐに見つめ返した。
「怖くありません。だって、これはアレンさん一人の問題じゃない。私の問題でもあるんですから」
「君の……?」
「はい。私は、あなたの言葉を信じています。その言葉を守るためなら、どんな危険だって乗り越えてみせます」
私の言葉は、覚悟を決めた、静かで力強い鋼色をしていた。
アレンさんは、しばらくの間、何も言わずに私を見つめていた。彼の瞳が、様々な感情で揺らめいている。やがて彼は、ふっと息を吐き、まるで降参だと言わんばかりに両手を軽く上げた。
「……分かった。君というやつは、本当に、頑固だな」
その言葉は、呆れたような黒色だったけれど、その奥には、私への深い信頼を示す、暖かい金色が灯っていた。
「君がそこまで言うなら、俺も腹を括ろう。二人で、王都へ行こう。そして、真実を、取り戻すんだ」
「はい!」
私たちは、固く、固く手を取り合った。
彼の大きな手は、少しだけ冷たかったけれど、とても力強かった。この手があれば、どんな困難も乗り越えていける。そんな、確信にも似た思いが、私の胸に満ちていく。
辺境の小さな図書館で始まった私たちの物語は、今、王都という大きな舞台へと、その頁を進めようとしていた。
あなたにおすすめの小説
メイド令嬢は毎日磨いていた石像(救国の英雄)に求婚されていますが、粗大ゴミの回収は明日です
有沢楓花
恋愛
エセル・エヴァット男爵令嬢は、二つの意味で名が知られている。
ひとつめは、金遣いの荒い実家から追い出された可哀想な令嬢として。ふたつめは、何でも綺麗にしてしまう凄腕メイドとして。
高給を求めるエセルの次の職場は、郊外にある老伯爵の汚屋敷。
モノに溢れる家の終活を手伝って欲しいとの依頼だが――彼の偉大な魔法使いのご先祖様が残した、屋敷のガラクタは一筋縄ではいかないものばかり。
高価な絵画は勝手に話し出し、鎧はくすぐったがって身よじるし……ご先祖様の石像は、エセルに求婚までしてくるのだ。
「毎日磨いてくれてありがとう。結婚してほしい」
「石像と結婚できません。それに伯爵は、あなたを魔法資源局の粗大ゴミに申し込み済みです」
そんな時、エセルを後妻に貰いにきた、という男たちが現れて連れ去ろうとし……。
――かつての救国の英雄は、埃まみれでひとりぼっちなのでした。
この作品は他サイトにも掲載しています。
偽聖女と蔑まれた私、冷酷と噂の氷の公爵様に「見つけ出した、私の運命」と囚われました 〜荒れ果てた領地を力で満たしたら、とろけるほど溺愛されて
放浪人
恋愛
「君は偽物の聖女だ」——その一言で、私、リリアーナの人生は転落した。 持っていたのは「植物を少しだけ元気にする」という地味な力。華やかな治癒魔法を使う本物の聖女イザベラ様の登場で、私は偽物として王都から追放されることになった。
行き場もなく絶望する私の前に現れたのは、「氷の公爵」と人々から恐れられるアレクシス様。 冷たく美しい彼は、なぜか私を自身の領地へ連れて行くと言う。
たどり着いたのは、呪われていると噂されるほど荒れ果てた土地。 でも、私は諦めなかった。私にできる、たった一つの力で、この地を緑で満たしてみせる。
ひたむきに頑張るうち、氷のように冷たかったはずのアレクシス様が、少しずつ私にだけ優しさを見せてくれるように。 「リリアーナ、君は私のものだ」 ——彼の瞳に宿る熱い独占欲に気づいた時、私たちの運命は大きく動き出す。
役立たずと追放された令嬢ですが、極寒の森で【伝説の聖獣】になつかれました〜モフモフの獣人姿になった聖獣に、毎日甘く愛されています〜
腐ったバナナ
恋愛
「魔力なしの役立たず」と家族と婚約者に見捨てられ、極寒の魔獣の森に追放された公爵令嬢アリア。
絶望の淵で彼女が出会ったのは、致命傷を負った伝説の聖獣だった。アリアは、微弱な生命力操作の能力と薬学知識で彼を救い、その巨大な銀色のモフモフに癒やしを見いだす。
しかし、銀狼は夜になると冷酷無比な辺境領主シルヴァンへと変身!
「俺の命を救ったのだから、君は俺の永遠の所有物だ」
シルヴァンとの契約結婚を受け入れたアリアは、彼の強大な力を後ろ盾に、冷徹な知性で王都の裏切り者たちを周到に追い詰めていく。
【完結】幽霊令嬢は追放先で聖地を創り、隣国の皇太子に愛される〜私を捨てた祖国はもう手遅れです〜
遠野エン
恋愛
セレスティア伯爵家の長女フィーナは、生まれつき強大すぎる魔力を制御できず、常に体から生命力ごと魔力が漏れ出すという原因不明の症状に苦しんでいた。そのせいで慢性的な体調不良に陥り『幽霊令嬢』『出来損ない』と蔑まれ、父、母、そして聖女と謳われる妹イリス、さらには専属侍女からも虐げられる日々を送っていた。
晩餐会で婚約者であるエリオット王国・王太子アッシュから「欠陥品」と罵られ、公衆の面前で婚約を破棄される。アッシュは新たな婚約者に妹イリスを選び、フィーナを魔力の枯渇した不毛の大地『グランフェルド』へ追放することを宣言する。しかし、死地へ送られるフィーナは絶望しなかった。むしろ長年の苦しみから解放されたように晴れやかな気持ちで追放を受け入れる。
グランフェルドへ向かう道中、あれほど彼女を苦しめていた体調不良が嘘のように快復していくことに気づく。追放先で出会った青年ロイエルと共に土地を蘇らせようと奮闘する一方で、王国では異変が次々と起き始め………。
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
さようなら、私を「枯れた花」と呼んだ貴方。~辺境で英雄を救って聖女と呼ばれたので、没落した元婚約者の謝罪は受け付けません~
阿里
恋愛
「お前のような見栄えの悪い女は、俺の隣にふさわしくない」
婚約者アレクに捨てられ、辺境へ追いやられたセレナ。
けれど、彼女が森で拾ったのは、アレクなど足元にも及ばないほど強くて優しい、呪われた英雄ライアンだった。
セレナの薬草が奇跡を起こし、王都を救う特効薬となったとき、かつて自分を捨てた男との再会が訪れる。
「やり直そう」と縋り付くアレクに、セレナは最愛の人と寄り添いながら静かに微笑む。
――あなたが捨てたのは、ただの影ではなく、あなたの未来そのものだったのですよ。
替え玉の私に、その愛を注がないで…。~義姉の代わりに嫁いだ辺境伯へ、身を引くはずが……持ちかけられたのは溺愛契約。
翠月 瑠々奈
恋愛
ベルン皇国の辺境伯ソラティスが求めたのは、麗しき皇都の子爵令嬢レイアだった。
しかし、彼の元へ届けられたのは、身代わりに仕立て上げられた妹のラシーヌ。
容姿も性格も全く違う姉妹。
拒絶を覚悟したラシーヌだったが、ソラティスは緋色の瞳を向けて一つの「契約」を持ち掛けた。
その契約とは──?
ソラティスの結婚の理由、街を守る加護の力。そして、芽生える一つの恋。それに怯える拙い拒み。
※一部加筆修正済みです。
婚約破棄された枯葉令嬢は、車椅子王子に溺愛される
夏生 羽都
恋愛
地味な伯爵令嬢のフィリアには美しい婚約者がいる。
第三王子のランドルフがフィリアの婚約者なのだが、ランドルフは髪と瞳が茶色のフィリアに不満を持っている。
婚約者同士の交流のために設けられたお茶会で、いつもランドルフはフィリアへの不満を罵詈雑言として浴びせている。
伯爵家が裕福だったので、王家から願われた婚約だっだのだが、フィリアの容姿が気に入らないランドルフは、隣に美しい公爵令嬢を侍らせながら言い放つのだった。
「フィリア・ポナー、貴様との汚らわしい婚約は真実の愛に敗れたのだ!今日ここで婚約を破棄する!」
ランドルフとの婚約期間中にすっかり自信を無くしてしまったフィリア。
しかし、すぐにランドルフの異母兄である第二王子と新たな婚約が結ばれる。
初めての顔合せに行くと、彼は車椅子に座っていた。
※完結まで予約投稿済みです