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第18話 気づいた事実
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「やはり生きていたか……!」
両親の仇であるイゾーに気づいたユズハが、刀を鞘から抜いて構える。
なぜ馬車がここに着いたのか。なぜ人攫いたちがここにいるのか。
疑問は多いが、今はどうでもいい。ユズハにとって重要なのは、目の前に復讐の相手がいること、再び復讐の機会を得られたということ。
「へへっ、連れてきましたぜ」
御者が人攫いの集団に加わる。
どうやら、なぜ馬車がここに着いたのか、という疑問は解消できそうだ。どうせ御者が間者か何かだったのだろう。そのせいで、ここに自分は連れてこられた。なぜ自分を連れてきたのかまでは分からないが。
「前に会った時も思ったが、いい女に育ったじゃねぇか」
「残念ですけど、犯罪者は恋愛対象外です」
前回と同じ失敗をするつもりはない。相手と会話して逃げられるようなヘマだけはしない。
ユズハはすぐさまイゾーに斬りかかろうと駆ける。
「……っ」
走っている最中に、ユズハは自分の身体に違和感を感じた。
「おぅ、怖い怖い……やれ、てめぇら」
リーダーであるイゾーの一言で、人攫い達がユズハへと襲いかかる。
数が圧倒的な人攫いども。ユズハはなんとしてもイゾーに斬りかかろうと、襲ってくる男達を次々となぎ倒していく。
「くっ……!」
しかし、だんだんとユズハの動きが鈍くなっていく。
大勢を相手して体力が尽きたわけではない。なのに、なぜかユズハは自分の体が鉛のように重く感じられた。
「反応が遅くなってるぜぇ、副団長様よぉ!!」
「がっ!?」
目を離した隙を狙って、イゾーが襲いかかってきた。
ユズハはなんとかして、イゾーの振るってきた小刀には反応できたが、続いて繰り出された蹴りを腹にまともに食らってしまう。
ユズハの身体は小石のように飛ばされ、刀から手を離して地面に転がる。
「ごほっ、ごほ! なんでっ、身体が重い……!?」
最初は違和感程度しか無かったのに、今では指を動かすことすら難しい。こんなにも短時間で身体が動かなくなるのは異常だ。
「ひゃははは! 無様だねぇ!」
立ち上がることすらできない。足が自分のものでは無くなったような感覚だ。
「くそっ……」
地面を這いながらも、手を伸ばして刀を取ろうとする。
あと少しで刀に手が届きそうな所で、不気味な笑みを浮かべるイゾーに手を踏まれた。
「このっ!」
「おらぁ!」
「がはっ……!?」
まともに力が入らない腕を動かし、ユズハは足を払ったが、イゾーに腹を思い切り蹴られた。
「てめぇら自警団のせいでっ!」
「くっ……」
「全身が大火傷で痛いんだよっ!」
「うっ……!」
「どう責任を取ってくれるんだゴラァ!!」
「ぐあ……っ!?」
怒りをぶつけるように、イゾーがユズハの腹を何度も蹴る。やがて腹の虫が収まったのか、最後に一発思い切りユズハを蹴って暴力を止めた。
「うっ、うぇ……」
何度も腹を蹴られ、悪心が込み上がってくる。すんでのところで耐えていたユズハだったが、最後の一蹴りで限界を超えてしまった。身体の反射に従うままに、ユズハは町長との会食で食べた物を嘔吐してしまう。
「げほっ、げほ……はぁ、はぁ……くっ……!」
口の中に酸が残って不快であっても、ユズハはキッとイゾーを睨む。
「まだ動けるのか。しょうがねぇ、あの妹のように動かれても面倒だ。勿体無いが、一本追加してやるよ」
「それ、は……?」
イゾーが懐から取り出したのは、一本の注射器だった。その中身は緑色の液体で満たされており、明らかに何かの毒のように見えた。
人攫い、毒。この二つのワードから、ユズハはその毒の正体に気づく。
「まさか、それは麻痺毒……?」
「よく分かったじゃねぇか。てめぇら自警団が差し押さえたせいで貴重になっちまった麻痺薬だ」
魔法も使えなくする強力な麻痺薬。それを生産していた金持ちを自警団は逮捕したが、まだ人攫い達には麻痺薬の蓄えがあるらしい。
自分の身体が動かなくなったのは、どうやら麻痺薬のせいのようだ。ここまで強力とは思いもしなかった。
(一体、いつ麻痺薬を使われた?)
身体が動かない理由は分かったが、麻痺薬を注入された覚えはない。でも、イゾーは確かに追加と言った。つまり、すでに薬を投与されていたということ。
人攫い達と戦う前から、身体に違和感はあった。
なら、麻痺薬を投与されたのはそれ以前。
一体、いつ自分はそんな隙を与えてしまったのだろうか。
馬車の中にいる時か?
いや、考え事をしていたにしても、麻痺薬を投与されそうになれば流石に気づく。なら、馬車に乗る前から麻痺薬は投与されていた?
「まさか……!」
そこまで考えて、ユズハは気づく。
麻痺薬が投与されたとしてもおかしくない瞬間があったことに。
「町長との食事に、混ぜていたのか……!?」
まさか麻痺薬が混ざっているとは思わず、何の疑いもなく食べたあの時。
あの食事の中に麻痺薬を混ぜられていたと考えたら、全てが説明できる。
身体が動かないことも、そして、馬車がここに着いたことも。
御者が間者だったとか、そんな話じゃない。
「そんな……町長までもが、人攫いの関係者……!?」
そのユズハの言葉を聞いて、イゾーの不気味な笑みがさらに深まる。
「さあ、どうだろうなぁ」
言葉で肯定はしないが、イゾーの表情は肯定をしているも同然だった。
そこで、ユズハは確信する。
ゴーインの屋敷で働いている者の中に人攫いの内通者がいて、ゴーインは人攫いに関係ない可能性もあったが、イゾーの反応からして町長は人攫いの協力者だということに。
「ま、お喋りはここまでだ。よく味わいな」
「ぐあっ!?」
頭を押さえつけられ、イゾーに注射器を刺されてしまう。抵抗したくとも、身体が言うことを聞かない。
(団長に……この、ことを……)
麻痺薬を注入される感覚を最後に、ユズハは意識を手放してしまった。
両親の仇であるイゾーに気づいたユズハが、刀を鞘から抜いて構える。
なぜ馬車がここに着いたのか。なぜ人攫いたちがここにいるのか。
疑問は多いが、今はどうでもいい。ユズハにとって重要なのは、目の前に復讐の相手がいること、再び復讐の機会を得られたということ。
「へへっ、連れてきましたぜ」
御者が人攫いの集団に加わる。
どうやら、なぜ馬車がここに着いたのか、という疑問は解消できそうだ。どうせ御者が間者か何かだったのだろう。そのせいで、ここに自分は連れてこられた。なぜ自分を連れてきたのかまでは分からないが。
「前に会った時も思ったが、いい女に育ったじゃねぇか」
「残念ですけど、犯罪者は恋愛対象外です」
前回と同じ失敗をするつもりはない。相手と会話して逃げられるようなヘマだけはしない。
ユズハはすぐさまイゾーに斬りかかろうと駆ける。
「……っ」
走っている最中に、ユズハは自分の身体に違和感を感じた。
「おぅ、怖い怖い……やれ、てめぇら」
リーダーであるイゾーの一言で、人攫い達がユズハへと襲いかかる。
数が圧倒的な人攫いども。ユズハはなんとしてもイゾーに斬りかかろうと、襲ってくる男達を次々となぎ倒していく。
「くっ……!」
しかし、だんだんとユズハの動きが鈍くなっていく。
大勢を相手して体力が尽きたわけではない。なのに、なぜかユズハは自分の体が鉛のように重く感じられた。
「反応が遅くなってるぜぇ、副団長様よぉ!!」
「がっ!?」
目を離した隙を狙って、イゾーが襲いかかってきた。
ユズハはなんとかして、イゾーの振るってきた小刀には反応できたが、続いて繰り出された蹴りを腹にまともに食らってしまう。
ユズハの身体は小石のように飛ばされ、刀から手を離して地面に転がる。
「ごほっ、ごほ! なんでっ、身体が重い……!?」
最初は違和感程度しか無かったのに、今では指を動かすことすら難しい。こんなにも短時間で身体が動かなくなるのは異常だ。
「ひゃははは! 無様だねぇ!」
立ち上がることすらできない。足が自分のものでは無くなったような感覚だ。
「くそっ……」
地面を這いながらも、手を伸ばして刀を取ろうとする。
あと少しで刀に手が届きそうな所で、不気味な笑みを浮かべるイゾーに手を踏まれた。
「このっ!」
「おらぁ!」
「がはっ……!?」
まともに力が入らない腕を動かし、ユズハは足を払ったが、イゾーに腹を思い切り蹴られた。
「てめぇら自警団のせいでっ!」
「くっ……」
「全身が大火傷で痛いんだよっ!」
「うっ……!」
「どう責任を取ってくれるんだゴラァ!!」
「ぐあ……っ!?」
怒りをぶつけるように、イゾーがユズハの腹を何度も蹴る。やがて腹の虫が収まったのか、最後に一発思い切りユズハを蹴って暴力を止めた。
「うっ、うぇ……」
何度も腹を蹴られ、悪心が込み上がってくる。すんでのところで耐えていたユズハだったが、最後の一蹴りで限界を超えてしまった。身体の反射に従うままに、ユズハは町長との会食で食べた物を嘔吐してしまう。
「げほっ、げほ……はぁ、はぁ……くっ……!」
口の中に酸が残って不快であっても、ユズハはキッとイゾーを睨む。
「まだ動けるのか。しょうがねぇ、あの妹のように動かれても面倒だ。勿体無いが、一本追加してやるよ」
「それ、は……?」
イゾーが懐から取り出したのは、一本の注射器だった。その中身は緑色の液体で満たされており、明らかに何かの毒のように見えた。
人攫い、毒。この二つのワードから、ユズハはその毒の正体に気づく。
「まさか、それは麻痺毒……?」
「よく分かったじゃねぇか。てめぇら自警団が差し押さえたせいで貴重になっちまった麻痺薬だ」
魔法も使えなくする強力な麻痺薬。それを生産していた金持ちを自警団は逮捕したが、まだ人攫い達には麻痺薬の蓄えがあるらしい。
自分の身体が動かなくなったのは、どうやら麻痺薬のせいのようだ。ここまで強力とは思いもしなかった。
(一体、いつ麻痺薬を使われた?)
身体が動かない理由は分かったが、麻痺薬を注入された覚えはない。でも、イゾーは確かに追加と言った。つまり、すでに薬を投与されていたということ。
人攫い達と戦う前から、身体に違和感はあった。
なら、麻痺薬を投与されたのはそれ以前。
一体、いつ自分はそんな隙を与えてしまったのだろうか。
馬車の中にいる時か?
いや、考え事をしていたにしても、麻痺薬を投与されそうになれば流石に気づく。なら、馬車に乗る前から麻痺薬は投与されていた?
「まさか……!」
そこまで考えて、ユズハは気づく。
麻痺薬が投与されたとしてもおかしくない瞬間があったことに。
「町長との食事に、混ぜていたのか……!?」
まさか麻痺薬が混ざっているとは思わず、何の疑いもなく食べたあの時。
あの食事の中に麻痺薬を混ぜられていたと考えたら、全てが説明できる。
身体が動かないことも、そして、馬車がここに着いたことも。
御者が間者だったとか、そんな話じゃない。
「そんな……町長までもが、人攫いの関係者……!?」
そのユズハの言葉を聞いて、イゾーの不気味な笑みがさらに深まる。
「さあ、どうだろうなぁ」
言葉で肯定はしないが、イゾーの表情は肯定をしているも同然だった。
そこで、ユズハは確信する。
ゴーインの屋敷で働いている者の中に人攫いの内通者がいて、ゴーインは人攫いに関係ない可能性もあったが、イゾーの反応からして町長は人攫いの協力者だということに。
「ま、お喋りはここまでだ。よく味わいな」
「ぐあっ!?」
頭を押さえつけられ、イゾーに注射器を刺されてしまう。抵抗したくとも、身体が言うことを聞かない。
(団長に……この、ことを……)
麻痺薬を注入される感覚を最後に、ユズハは意識を手放してしまった。
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