世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

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賢者、迷宮を正常化する

「いい天気になってよかったです」
「ノアさんあんまりこういうこと言うのもなんですが迷宮の中に天気は関係ないですよね?」
「師匠細かいことはいいじゃないですか!」
 今日は皇帝陛下の頼みで迷宮に来ていた。なんでも最近モンスターが活性化しているという噂が出ていたようだ。

「このダンジョンって3階層しかないでしたっけ?」
「そうですね。帝国内ではかなり小さいダンジョンです。ただ小さいとは言ってもモンスターが活性化してますから何が出てきてもおかしくありせん。しっかりエルさんを守りながら行きましょう」
「エル強いから大丈夫だもん!」
 エルがほっぺたをぷくっと膨らませる。
「あっ違うんです。エルさんが弱いと言ったわけではなくてですね......」
 普段基本的に動揺しないノアさんもエルのことになると弱いらしい。
 かくいう俺もノアにそういう顔をされるとおんなじ反応をしてしまうと思う。
「とりあえず行きましょうか」
 俺達は1回層へと足を踏み入れた。

「1回層に変わった様子はありませんね」
 途中何度かゴブリンやホブゴブリンが出てきたがエルが全部倒した。
「ただ道中出てきたゴブリンは数が少し多かったようにも見えました」
「ええ。ただこのぐらいであれば活性化のうちには入らないですね」
 様子が変わったのはこの迷宮の最後3階層目に入った時だった。

「師匠何かいる」
「私にも見えました。あれはレッサーデーモンですね」
 レッサーデーモンはデーモンロードの子飼いだ。放っておくと凶悪なデーモンロードに変化する。
「レッサーデーモンがいるということはもしかしてですけど......」
「間違い無いでしょう。デーモンロードがいますね」
「エル嫌な予感がする。師匠とノア気をつけて!」
「エルありがとうな。しかしどうやって倒しますか?確かデーモンロードを完全に浄化しきるには聖属性の魔法が必要でしたよね?」
「それについては問題ありません。実は私聖属性にだけ適性があるんです」
「珍しいですね」
 聖属性は神子という特殊なスキルを生まれながらに持っている人にしか使えない。聖属性を使えるというだけでとても重宝される。
 ただ俺は勇者パーティーにいた時、帝国に聖属性の使い手がいるというのを聞いた覚えがない。
 他国で噂になっていてもおかしく無いはずなのにだ。
「マギ?行きますよ」
「師匠?」
「あっすいません。行きましょう」
 この話は後でゆっくりノアさんに聞こう。

『ほう餌がかかったようだな』
 どうやらしゃべれるだけの知性を持つデーモンロードらしい。
 俺はとりあえずエルとノアさんにバフをかける。

【プロテクション】 
【アンチマジック】
【身体能力強化】 
【リジェネーション】

 デーモン系統の使ってる魔法は属性がない。
「マギいつもありがとうございます。エルさんは少し下がっていてもらえますか?すぐ終わりますので」
「わかった!」
 デーモンロードは慢心もあるのだろう。こちらを攻撃する気配すらない。それどころかニヤニヤと何を見せてくれるんだと楽しんでいるようにも見える。
 ノアさんがいつものように鞘から剣を取り出す。
 いつもと違うのは聖属性の光を纏っていることだ。
『お前まさかその光は!!!』
「今更気がついてももう遅いですよ」
 ノアさんの剣がデーモンロードを一刀両断した。
 これで迷宮も正常化するだろう。

「ノアさんお疲れ様です」
「いえいえ。今回もマギの魔法に助けられてしまいました」
「俺は何もしてないと思うんですが......」
「マギの魔法は身体強化だけをとっても並の3倍は強化されてますよ。それに私の心ざわつきを抑えてくれます」
「心のざわつきですか?」
 その答えを聞く前にエルの声が聞こえる。
 ふと横に目を向けると目をキラキラさせているエルがいた。
「ノアすごい!」
「いえ何もすごいことなんてしていませんよ。そのうちエルさんにもできるようになると思います」
「本当!?」
「ええ本当です」
 そう微笑むノアさんの顔は少し暗いように見えた。
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