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4章 女の子声での配信生活
49話 僕なりの答えとげろげろの山と
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「不登校になる気持ちは分かるよ。僕もそれで大学辞めたからね」
まずは、僕と同じようにつらい思いをしている彼、または彼女を受け入れる。
つらい思いをし続けて、それを伝えてきている時点で――その人は、もうぎりぎりなんだ。
――人への相談。
それを気軽にぽんぽんとできる人も居れば、抱え込んで抱え込んでぎりぎりになってから初めてできるようになる人も居る。
しかもそういう人は大抵、遠慮して過少に言うんだ。
そういう人は、良い人過ぎるから。
この人がどうかは分からないけども、僕だったらそうする。
そうしてしまう。
だから相手には「ほんのささいな悩み」としか受け止められず、「忙しいからまた後にして」とか「考えすぎじゃない?」って軽く流される。
その結果は……そういうことになる。
だから、僕は僕なりに課題に受け止める。
「――でもさ。もし君が、既に勉強とかスポーツとか別の特技で人よりかなり優れてるとか、本当にやりたい目標があるんなら別だけどさ?」
彼、または彼女は、きっと聞いている。
だから、真剣に応える。
「学校ってのは、やっぱ通ってた方が後になるほど有利なわけでさ? 大学卒業見込みがないとエントリーできない会社もあるし、そもそも『この空白期間』あちょろろろろろろろ」
真剣の前にゲロが出ちゃった。
「……セーフ……キーボードにはかかってない……拭くから待ってて」
【あっ】
【草】
【りょ】
【悲報・こはねちゃん、本日2度目のげろげろ】
【助かるけど無茶しないで】
【これってさ……こはねちゃん、自分に関係ある質問だからできるだけ答えようとして無理してるんじゃ……? しかもかなり気分とか、無理やり上げて……】
【あー】
【無理しないで】
【そうそう】
【質問主もそこまで考えて聞いたわけじゃないだろうし】
【でも、界隈では噂になってるのよね こはねちゃん、ガチでドロップアウトした人の気持ちが分かるって】
「ふぅ……あ、今回は普通に切る時間なかったからごめん。でもちゃんとげろげろは2袋目のエチケット袋に収まったから被害はないよ。消臭スプレーで臭いも完璧」
しゅっしゅっ。
臭い消しは僕みたいな引きこもりの万能薬だ。
【草】
【本当に何かしらのスプレーしてて草】
【リアルすぎる】
【準備万端で草】
【演技じゃなくリアルで吐いてるからな】
【え、分かるでしょ?】
【えずく声とか偽物じゃないって】
【「ぉえっ」って感じの絞り出した声は本物だ】
【ひぇっ】
【それはよかったね】
【でも聞きたくなかったよ】
【草】
【え、嬉しいけど】
【すぐ消しちゃうのはもったいないなぁ】
【美少女の吐瀉物とか排泄物の臭いって良いよね】
【理解されないんだよなぁ】
【うわぁ……】
【ひぇっ】
【やっぱここ、ちょっとおかしなのが住み着いてる……】
【ちょっと……?】
【きもいよー】
【そしてそういう輩には強気なこはねちゃん】
【なぜか気持ち悪い存在に対してはへっちゃらなんだよなぁ……】
【こはねちゃん……なんか、感覚とかちょっとおかしい】
【普通は、普通の人には平気で……普通ってなんだっけ……】
【草】
【まぁこはねさんがそれで良いんなら……】
……げろげろとかが好きな気持ちはさっぱりだけど、僕は男だから性癖には寛容だ。
どうせみんな僕のことを男と思ってのノリなはずだし。
「あー。とにかくさ、うちの国の学校システムってのはレールに乗りきった人に対してはすっごく有利になる設計なの。たとえ赤点ぎりぎりとかでもどこの大学でも入れて卒業できるってだけで『一人前』扱い。それがあるだけで、真人間って見てくれる――逆に言えば、僕みたいに中退とかしてたら……学歴関係ないお仕事も多いけど、大半は書類か面接で……人手不足が深刻とかじゃなければ、ね? 大学じゃなくても高校でも、とにかく卒業さえしていればそれだけで見る目が変わるし、今どきなら学歴で弾かれるんだ。まぁ高校からすぐ仕事するのは、それはそれで立派だし、普通に充実した人生にもなれるし、なんなら僕もそういう人生でそこそこ満足してるけども……選択肢は、狭まるから」
こくこくっ。
お酒が脳みそによく染みる。
「そういうのがない国では、逆に大変みたいだよ? 就職する時点で相当なコミュ力ってのが必須で。そうでなくてもコネ――知り合いの伝手とかがなければ仕事すらできない。一方で、大卒資格とか何かの資格があれば、ちょっとしゃべるのとか苦手でも働けるうちの国。コミュニケーションが苦手でも、すみっこでひとりぼっちでこつこつやれば一発逆転ができるって良いよね。まぁ一長一短だけどね」
――景気は一定周期で上下する。
だから、僕の時から今までは売り手市場でらくらく入社でも、もうちょっとしたらそうじゃないかもしれない。
そういうときに、やっぱり大卒カードは強い。
少なくとも僕なら――やらかしてなければ、教授たちにぺこぺこしてでも単位を取って卒業していただろうし。
「だから、もし一芸に秀でてたり進路を既に決めたりしてて、学歴とかコミュニケーションとかをそれだけで吹っ飛ばせそうなら、不登校も中退もアリだとは思う。今すぐ働きたい職業とか……職人さんなら早いほうが良いって言うしさ。何かがあるんなら、苦しくてどうしようもないよりは、ね。ただし、本当に……んー」
……こんなドロップアウトした存在が、こんなに重い相談を。
でも、僕なりに応えなきゃいけないんだ。
「……勉強なら国家試験、スポーツならプロ、芸術とかなら大賞入選とかで売れる見込みができたり、そういうのが今の段階でないんなら。あるいは、寝る間も惜しむほど好きな何かを極めたいとか、そういう夢がまだないんなら」
僕には、なにひとつなかった。
だから、こうして引きこもってなにひとつしていない。
だからこそ。
「僕みたいに具合悪くなったり吐いたりしないって大前提で、明日からちょっとだけがんばっても良いと思うよ。やりたいこと、得意なことがあれば別だけど……うん、深刻にならないうちにさ。大丈夫、他人はたいして気にしていない。3年間のうち1、2ヶ月、なんなら1年休んでても2年だったとしても先生たちがOK出して卒業さえしちゃえば、誰にも分からない。普通に忘れる。ほら、影の薄い同級生のことなんて、数年も経てば顔を見てもフルネーム見ても思い出せない人の方が圧倒的に多いでしょ?」
僕だって、なんとか大学を卒業していたら。
そう、何度思ったことだろう。
だからこそ、僕より若い人――や、今は僕の肉体の方が若いどころか幼いかも知れないけども、それでも思うんだ。
できるんなら、資格――学校も込みで、取っとけってさ。
【感動した】
【すっごく真面目な返答】
【めっちゃ真摯だわ】
【これは紳士】
【これは淑女】
【これは……TSっ子の場合はどう言うんだ?】
【草】
【これはこはねちゃんにしか言えないやつ】
【悩みながらあっちこっちわき道逸れてたのがまたリアルで】
【2回もゲロったからな!】
【草】
【うん……吐くほどキツい答えを絞り出したって意味では魂の回答だよね】
【やば、こはねちゃん好きになったかも】
「おろろろろろろろ」
【は?】
【えっ】
【草】
【悲報・本日3度目のげろげろ】
【ギャン泣きアゲインを思い出すな……】
【草】
【あの切り抜き動画、未だに回ってるよな】
【この後で見直してくるか……】
【1度目と2度目と3度目の泣く瞬間の当時の反応がクッソ笑えるんだよな】
【全部じゃねーか!!】
【あれは流れが揃って完成する芸術だからね……】
【草】
【もしかして:コミュ障、人からの好意でもクリティカル】
【あー】
【むりしないで】
【ほんとに無理するなよ】
【こはねちゃん……性格がいろいろ噛み合いすぎておいたわしいわ、これ】
【マジメな人ほど責任感じて抱え込んじゃうからねぇ】
【ここまで真面目だと生きるの辛いよなぁ】
【こはねちゃんさん、真面目なせいで自爆した説あるからね……】
【かわいそう どっちも】
【こはねちゃんも質問主も、言いたいことあったら俺たちでも聞くからな】
【そうそう、ここにはそういう人しか居ないからさ】
【配信の待機所……はないけど、こはねちゃんさんがゲームに熱中してる時間とかさ】
――コメント欄。
うん、やっぱり優しい。
たとえ慰めでも、こういう言葉ってかけられるだけで嬉しくなるもの。
だから君も、きっと……ちょっとは元気になったら良いな。
「ふぅ……ていうわけで、よく考えて決めな? 相談できる雰囲気なら親とか先生とか仲の良い友達とか。ここに居るリスナーとかになら、個人情報漏れない範囲でね。なんかメンタルとかフィジカルが一時的にダウンして引きこもりたくなってる可能性もあるし、なんなら病院とかね。どっちでも病気ならまず病院で治療が最優先だからね。ときにはお薬も留年も大切。……あとひとつ」
僕は、すぅっと息を吸い。
「不登校続けて家に引きこもりがちになると……すっごく体力落ちるし、人の視線が怖くなる。なるべく1日2、3時間は外に出なよ? 体力は基礎――体育会系で楽しそうな人たち見てたら分かるでしょ? ほぼ無限の体力があるからあんなになんでもできるの。僕たちは無いなりに鍛えなきゃダメ。小分けにして朝昼晩、夜中とか早朝でも良いけど、できる範囲で外に、ね。大丈夫、僕でもできてるんだ……僕からはそれくらいかな。僕たちはまだ若いんだ。これからの数十年のために、そこそこは鍛えないと……ね」
ふぅ。
僕はようやく言いたいことを言い切った。
「………………………………」
小さな手が、ぷるぷると震えている。
汗が、じっとりにじんでいる。
――でも、僕にできることは全部できた。
それだけは、誇りに思っていいと思うんだ。
「……ふぅぅぅぅー……」
息を、ゆっくりと吐く。
それだけで、ちょっとだけ楽になるんだ。
【草】
【草だけどマジでそう】
【病気で数日入院するだけでも体力ガタ落ちしたからなぁ】
【↑完治して】
【やさしい】
【そういやこはねちゃん、完全な引きこもりじゃないんだっけ】
【妹ちゃんのお願いとはいえ、1日1回くらい外には出てるとか】
【えらい】
【有言実行してたのか】
【人の視線が怖いのに外出るのえらい】
【マジでえらい】
【無理してそうだからこそえらい】
【感動した】
【こはねちゃんの配信に残ってるのはみんな、どこかしら苦しい思いしてる人だからな】
【人生で苦しい思いをした人ほど他人に優しい――とは限らないけど、こはねちゃんはそういうタイプだから】
【こはねちゃん、しゅき……】
「おろろろろろろ……あ、吐くものないからおえってなるだけだ……おぇぇぇ……」
【草】
【最後まで吐いてて草】
【えっ】
【悲報・こはねちゃん、4度目のげろげろ】
【こはねちゃんはガチ恋営業はしていないようだ さぁ、元気なやつは帰った帰った!】
【草】
【きれいなオチがついたな!】
【配信者としての風格が出てきたぞこはねちゃん!】
【前からハイの時期はトークもキレッキレだったから】
【でも、ハイすぎるときは気をつけてね……お願い……】
まずは、僕と同じようにつらい思いをしている彼、または彼女を受け入れる。
つらい思いをし続けて、それを伝えてきている時点で――その人は、もうぎりぎりなんだ。
――人への相談。
それを気軽にぽんぽんとできる人も居れば、抱え込んで抱え込んでぎりぎりになってから初めてできるようになる人も居る。
しかもそういう人は大抵、遠慮して過少に言うんだ。
そういう人は、良い人過ぎるから。
この人がどうかは分からないけども、僕だったらそうする。
そうしてしまう。
だから相手には「ほんのささいな悩み」としか受け止められず、「忙しいからまた後にして」とか「考えすぎじゃない?」って軽く流される。
その結果は……そういうことになる。
だから、僕は僕なりに課題に受け止める。
「――でもさ。もし君が、既に勉強とかスポーツとか別の特技で人よりかなり優れてるとか、本当にやりたい目標があるんなら別だけどさ?」
彼、または彼女は、きっと聞いている。
だから、真剣に応える。
「学校ってのは、やっぱ通ってた方が後になるほど有利なわけでさ? 大学卒業見込みがないとエントリーできない会社もあるし、そもそも『この空白期間』あちょろろろろろろろ」
真剣の前にゲロが出ちゃった。
「……セーフ……キーボードにはかかってない……拭くから待ってて」
【あっ】
【草】
【りょ】
【悲報・こはねちゃん、本日2度目のげろげろ】
【助かるけど無茶しないで】
【これってさ……こはねちゃん、自分に関係ある質問だからできるだけ答えようとして無理してるんじゃ……? しかもかなり気分とか、無理やり上げて……】
【あー】
【無理しないで】
【そうそう】
【質問主もそこまで考えて聞いたわけじゃないだろうし】
【でも、界隈では噂になってるのよね こはねちゃん、ガチでドロップアウトした人の気持ちが分かるって】
「ふぅ……あ、今回は普通に切る時間なかったからごめん。でもちゃんとげろげろは2袋目のエチケット袋に収まったから被害はないよ。消臭スプレーで臭いも完璧」
しゅっしゅっ。
臭い消しは僕みたいな引きこもりの万能薬だ。
【草】
【本当に何かしらのスプレーしてて草】
【リアルすぎる】
【準備万端で草】
【演技じゃなくリアルで吐いてるからな】
【え、分かるでしょ?】
【えずく声とか偽物じゃないって】
【「ぉえっ」って感じの絞り出した声は本物だ】
【ひぇっ】
【それはよかったね】
【でも聞きたくなかったよ】
【草】
【え、嬉しいけど】
【すぐ消しちゃうのはもったいないなぁ】
【美少女の吐瀉物とか排泄物の臭いって良いよね】
【理解されないんだよなぁ】
【うわぁ……】
【ひぇっ】
【やっぱここ、ちょっとおかしなのが住み着いてる……】
【ちょっと……?】
【きもいよー】
【そしてそういう輩には強気なこはねちゃん】
【なぜか気持ち悪い存在に対してはへっちゃらなんだよなぁ……】
【こはねちゃん……なんか、感覚とかちょっとおかしい】
【普通は、普通の人には平気で……普通ってなんだっけ……】
【草】
【まぁこはねさんがそれで良いんなら……】
……げろげろとかが好きな気持ちはさっぱりだけど、僕は男だから性癖には寛容だ。
どうせみんな僕のことを男と思ってのノリなはずだし。
「あー。とにかくさ、うちの国の学校システムってのはレールに乗りきった人に対してはすっごく有利になる設計なの。たとえ赤点ぎりぎりとかでもどこの大学でも入れて卒業できるってだけで『一人前』扱い。それがあるだけで、真人間って見てくれる――逆に言えば、僕みたいに中退とかしてたら……学歴関係ないお仕事も多いけど、大半は書類か面接で……人手不足が深刻とかじゃなければ、ね? 大学じゃなくても高校でも、とにかく卒業さえしていればそれだけで見る目が変わるし、今どきなら学歴で弾かれるんだ。まぁ高校からすぐ仕事するのは、それはそれで立派だし、普通に充実した人生にもなれるし、なんなら僕もそういう人生でそこそこ満足してるけども……選択肢は、狭まるから」
こくこくっ。
お酒が脳みそによく染みる。
「そういうのがない国では、逆に大変みたいだよ? 就職する時点で相当なコミュ力ってのが必須で。そうでなくてもコネ――知り合いの伝手とかがなければ仕事すらできない。一方で、大卒資格とか何かの資格があれば、ちょっとしゃべるのとか苦手でも働けるうちの国。コミュニケーションが苦手でも、すみっこでひとりぼっちでこつこつやれば一発逆転ができるって良いよね。まぁ一長一短だけどね」
――景気は一定周期で上下する。
だから、僕の時から今までは売り手市場でらくらく入社でも、もうちょっとしたらそうじゃないかもしれない。
そういうときに、やっぱり大卒カードは強い。
少なくとも僕なら――やらかしてなければ、教授たちにぺこぺこしてでも単位を取って卒業していただろうし。
「だから、もし一芸に秀でてたり進路を既に決めたりしてて、学歴とかコミュニケーションとかをそれだけで吹っ飛ばせそうなら、不登校も中退もアリだとは思う。今すぐ働きたい職業とか……職人さんなら早いほうが良いって言うしさ。何かがあるんなら、苦しくてどうしようもないよりは、ね。ただし、本当に……んー」
……こんなドロップアウトした存在が、こんなに重い相談を。
でも、僕なりに応えなきゃいけないんだ。
「……勉強なら国家試験、スポーツならプロ、芸術とかなら大賞入選とかで売れる見込みができたり、そういうのが今の段階でないんなら。あるいは、寝る間も惜しむほど好きな何かを極めたいとか、そういう夢がまだないんなら」
僕には、なにひとつなかった。
だから、こうして引きこもってなにひとつしていない。
だからこそ。
「僕みたいに具合悪くなったり吐いたりしないって大前提で、明日からちょっとだけがんばっても良いと思うよ。やりたいこと、得意なことがあれば別だけど……うん、深刻にならないうちにさ。大丈夫、他人はたいして気にしていない。3年間のうち1、2ヶ月、なんなら1年休んでても2年だったとしても先生たちがOK出して卒業さえしちゃえば、誰にも分からない。普通に忘れる。ほら、影の薄い同級生のことなんて、数年も経てば顔を見てもフルネーム見ても思い出せない人の方が圧倒的に多いでしょ?」
僕だって、なんとか大学を卒業していたら。
そう、何度思ったことだろう。
だからこそ、僕より若い人――や、今は僕の肉体の方が若いどころか幼いかも知れないけども、それでも思うんだ。
できるんなら、資格――学校も込みで、取っとけってさ。
【感動した】
【すっごく真面目な返答】
【めっちゃ真摯だわ】
【これは紳士】
【これは淑女】
【これは……TSっ子の場合はどう言うんだ?】
【草】
【これはこはねちゃんにしか言えないやつ】
【悩みながらあっちこっちわき道逸れてたのがまたリアルで】
【2回もゲロったからな!】
【草】
【うん……吐くほどキツい答えを絞り出したって意味では魂の回答だよね】
【やば、こはねちゃん好きになったかも】
「おろろろろろろろ」
【は?】
【えっ】
【草】
【悲報・本日3度目のげろげろ】
【ギャン泣きアゲインを思い出すな……】
【草】
【あの切り抜き動画、未だに回ってるよな】
【この後で見直してくるか……】
【1度目と2度目と3度目の泣く瞬間の当時の反応がクッソ笑えるんだよな】
【全部じゃねーか!!】
【あれは流れが揃って完成する芸術だからね……】
【草】
【もしかして:コミュ障、人からの好意でもクリティカル】
【あー】
【むりしないで】
【ほんとに無理するなよ】
【こはねちゃん……性格がいろいろ噛み合いすぎておいたわしいわ、これ】
【マジメな人ほど責任感じて抱え込んじゃうからねぇ】
【ここまで真面目だと生きるの辛いよなぁ】
【こはねちゃんさん、真面目なせいで自爆した説あるからね……】
【かわいそう どっちも】
【こはねちゃんも質問主も、言いたいことあったら俺たちでも聞くからな】
【そうそう、ここにはそういう人しか居ないからさ】
【配信の待機所……はないけど、こはねちゃんさんがゲームに熱中してる時間とかさ】
――コメント欄。
うん、やっぱり優しい。
たとえ慰めでも、こういう言葉ってかけられるだけで嬉しくなるもの。
だから君も、きっと……ちょっとは元気になったら良いな。
「ふぅ……ていうわけで、よく考えて決めな? 相談できる雰囲気なら親とか先生とか仲の良い友達とか。ここに居るリスナーとかになら、個人情報漏れない範囲でね。なんかメンタルとかフィジカルが一時的にダウンして引きこもりたくなってる可能性もあるし、なんなら病院とかね。どっちでも病気ならまず病院で治療が最優先だからね。ときにはお薬も留年も大切。……あとひとつ」
僕は、すぅっと息を吸い。
「不登校続けて家に引きこもりがちになると……すっごく体力落ちるし、人の視線が怖くなる。なるべく1日2、3時間は外に出なよ? 体力は基礎――体育会系で楽しそうな人たち見てたら分かるでしょ? ほぼ無限の体力があるからあんなになんでもできるの。僕たちは無いなりに鍛えなきゃダメ。小分けにして朝昼晩、夜中とか早朝でも良いけど、できる範囲で外に、ね。大丈夫、僕でもできてるんだ……僕からはそれくらいかな。僕たちはまだ若いんだ。これからの数十年のために、そこそこは鍛えないと……ね」
ふぅ。
僕はようやく言いたいことを言い切った。
「………………………………」
小さな手が、ぷるぷると震えている。
汗が、じっとりにじんでいる。
――でも、僕にできることは全部できた。
それだけは、誇りに思っていいと思うんだ。
「……ふぅぅぅぅー……」
息を、ゆっくりと吐く。
それだけで、ちょっとだけ楽になるんだ。
【草】
【草だけどマジでそう】
【病気で数日入院するだけでも体力ガタ落ちしたからなぁ】
【↑完治して】
【やさしい】
【そういやこはねちゃん、完全な引きこもりじゃないんだっけ】
【妹ちゃんのお願いとはいえ、1日1回くらい外には出てるとか】
【えらい】
【有言実行してたのか】
【人の視線が怖いのに外出るのえらい】
【マジでえらい】
【無理してそうだからこそえらい】
【感動した】
【こはねちゃんの配信に残ってるのはみんな、どこかしら苦しい思いしてる人だからな】
【人生で苦しい思いをした人ほど他人に優しい――とは限らないけど、こはねちゃんはそういうタイプだから】
【こはねちゃん、しゅき……】
「おろろろろろろ……あ、吐くものないからおえってなるだけだ……おぇぇぇ……」
【草】
【最後まで吐いてて草】
【えっ】
【悲報・こはねちゃん、4度目のげろげろ】
【こはねちゃんはガチ恋営業はしていないようだ さぁ、元気なやつは帰った帰った!】
【草】
【きれいなオチがついたな!】
【配信者としての風格が出てきたぞこはねちゃん!】
【前からハイの時期はトークもキレッキレだったから】
【でも、ハイすぎるときは気をつけてね……お願い……】
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