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6章 「こはねちゃん改造計画」
74話 ひより先生は小さかった
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とすっ。
僕は、思い切って足を振って待合室のイスから降りて、床へ足を着ける。
――こうして僕自身の意思で立てるってことは、本当にあの子は僕が怖がる対象じゃないんだろう。
さすがの僕も、小学生相手なら……たまに居る、中学生並みの体格とか持ってる男子以外なら大丈夫……なはず……うん……たぶん……小さくなってるし女の子になってるから、今は分からないけども。
ともかく、優花が早く戻ってきてくれることを願ってもっと入り口の方へ移動しておけば、出るときにも迷惑はかけない。
こんなとこでパニック起こして泣き叫んだり吐いたり漏らしたりしたら先生にすごい迷惑かけちゃうし。
……ちらり。
一瞬だけ、その子を見てみる。
その子は膝の上に鞄を置いて、その上でタブレットを熱心に触っている。
いや、ペンでなにかを書いている。
……ああ、そういや今どきはタブレットか。
きっと、問題集かなにかを解いて……いや、いくらなんでもたかだか数年でノートまでされるものなんだろうか。
そう思って、ぼんやり見ていた。
「?」
「!」
――人は、第六感で視線を感じるらしい。
ぱっと見上げられて、思わず硬直する。
「………………………………」
「………………………………」
その子と僕は、お互いにしばらく硬直。
それを先に解いたのは、彼女の方だった。
「……え? ふぇぇ……? うそ……」
……かたん、からから。
その子の手にしていたペンが、床を転がる。
その子は、僕を驚いたような目で――ああ、やっぱり小学生高学年くらいの顔つきで、明るい栗色の髪の毛をカチューシャで飾っている、まるでひより大先生のアイコンみたいな……あれ?
「……こはねちゃん、さん……?」
「……ひより先生?」
「………………………………」
「………………………………」
僕たちは、しばし見つめ合い――
「……ふぁぁぁ……」
――とさっ。
「えっ」
……先生が、目を回して崩れ落ちた。
「きゅう……」
「……えっ」
さらに硬直した僕は――驚愕した。
「…………えっ……?」
……この世界に、僕よりも怖がりな存在が居るだなんて、って。
◇
「きゅう……」
「……ひより先生を呼んだの、先生ですか」
「はい。ごめんなさいね……げろげろは?」
げろげろ?
ああ、吐いたかどうか、つまりはパニックになったか聞いてくれてるのか。
「いえ、僕は平気でしたけど……」
「そう……残念。ひよりちゃんはノックアウトされちゃったみたいねぇ……」
呼んできた先生は素直に白状した。
「残念」って言ったし、なにかを企んでいたみたい……悪い人じゃないはずだけど。
「介護班って……つまりは前から配信に居た人なので、今からなら納得できますけど」
「ええ、彼女もまた介護班……こはねさんを守りたいと思ってくれた人ですね」
「……でも、なんで僕を見て目を回して?」
「こはねさんなら、彼女の絵柄や人柄をある程度分かっていますよね?」
「……ああ、危なっかしいくらいに純粋な小学生だったんですね」
「――高校生ですっ!」
「!?」
がばっ。
真っ赤な顔をして寝転んでいた彼女が、いきなりに起き上がり、
「わぷ」
「大丈夫ですか?」
ふよんっ。
後ろを向くと――しゃがんで僕の後ろに居たらしい彼女の胸元に、頭がバウンドする。
「……ごめんなさい」
「不可抗力ですから構いませんよ」
にこり、と気持ちのいい笑顔を近距離で浴びる。
ふわりと漂ってくる匂いは消毒液と、大人の女性のそれ。
……けど、大丈夫だ。
本当に、本当に――ネット越しでも、知り合いってはっきり分かっていたらこんなにも大丈夫なんだ……。
ということは、ひより先生も。
「………………………………」
「あ、えっと、大きな声出してごめんなさい……私、良く子供っぽいからってからかわれていて……」
「……本当に高校生……?」
ひより先生。
ムィートを見る限りでは、高校生……のはず。
ぽつぽつとしかつぶやなかったとしても、それを追ってるとそれなりに分かるのが個人情報だ。
「! こ、こんな見た目でも高校生ですっ!」
「いえ、疑うわけじゃ」
信じられないだけだよ?
「ええ、保険証を偽造する何かしらの理由がなければ、彼女もまた見た目通りの年齢ではありませんね」
「偽造なんてしません!」
「う、嘘とは思ってないから……」
先生が太鼓判を押す。
……本当に、この見た目で高校生なのか。
身長はさすがに僕よりは大きいけども、ぱっと見で小学生って思える程度にはちんまく、制服らしきそれはだぼだぼで、ニットのセーターがもはやスカートをほぼ覆うほどで。
……顔つきか、それとも動きか、あるいは両方、さらには話し方か、全部か。
「……それで? 先生?」
「はい?」
「あ、いえ、こっちの先生」
「あ、はい」
僕はお医者さんの方の先生に声をかけたんだって伝える。
けども、彼女は分かっているようでいてよく分からない様子。
「………………………………」
「………………………………」
僕たちは、意味もなく見つめ合い、
「?」
「?」
首をかしげる。
む……なんだか、この子、独特の間がある気がする。
「……こはねさん。今回の件は、妹さんも巻き込んでのものです。私が発案して……ごめんなさいね」
「いえ、優花が良いって言ったなら悪いことではないですし」
先生が謝ってくるけども、そもそも僕は迷惑をかけている立場だ。
そして……現状は数少ない、目を見て話せる相手。
きっと治療の一環……なんだよね?
「こはねさんが、初めて私と会ったとき。想像よりも驚くほどに落ち着いていました。そして、介護班同士で相談した結果……」
「……古参の人たち。配信で何回か話した人相手なら大丈夫かも、って?」
確かにそういう話は前にもした気がする。
なぜかは分からないけども「僕は文字越しでも初対面かどうかを無意識に判断しているんじゃないか」って。
実際、古参って呼ばれる人たちの中でも普段コメントをしない人とかは書き込みを見ればなんとなく分かるし、それで男のときから毎回気持ち悪くなったり吐き気を催したりしていたし。
「ええ。今回のように、もしかしたらリアルの初対面でも……と。それで」
「……ちんちくりんで、人生で1回たりとも見た目で恐れられたことのない私が……って。びっくりさせて、ごめんなさい」
しゅんとしょぼくれる姿は、どう見てもおやつを買ってもらえなかった小学生そのもの。
でも、
「僕こそ、ごめんなさい」
「ふぇ?」
僕は、まずは謝る。
「見た目で苦労する気持ちは……この体になって、少しは分かっているつもりです。小学生だなんて思って。コンプレックスに思っていることを指摘される辛さは――」
「あ、いえっ! 良いんです! 近所の小学生の子にも同級生だって思われてた事件がつい最近にあったくらいなのでっ!! そんなに重いものじゃ!」
ぶんぶんぶんっと全身で手を振る先生。
間違えられたんだ……大人ならまだしも、子供の方から……。
なんだか非常に親近感が湧いてきた。
そういや先生と同じく――ややこしいから「ひより先生」は「ひよりさん」の方が良いかな――こんなに近くで話していても気持ち悪くはならないし、なんなら先生よりも怖くないし。
「特段の病気や発育不良ではないと聞きます。なんでも、お母様も……その、幼く見える見た目だということですので、恐らくは遺伝だと」
「お母さん……一緒に町を歩いてると、私との比較で『中学生のお姉ちゃん?』って言われて喜ぶんです……小学生な私のお姉ちゃんだって……」
それはひどい。
あんまりだ。
「母親のきゃぴきゃぴした姿を見るのは……つらいですね」
「分かってくれますか!? ……あ、私相手は、普通にしてもらえたら……その、配信で話しかけられるの、……す、す、すすすすす……」
「?」
「す」ばっかり言ってるうちに、引いてきてた赤みが彼女の顔を覆っていく。
まるでリスとかハムスターみたいな印象になっていく。
「……きゅう」
「おっと」
今度は彼女のそばに寄っていた先生が、また寝転びそうになったひより先生を抱きかかえる。
「配信で……確か半年くらい前、ひより先生が相談してきたこと、あったのを覚えていますか?」
「配信で?」
「はい」
先生の方から配信での会話内容を尋ねられてちょっと困惑するけども。
「………………………………あ。先生、確か」
「ええ。こはねさん同様、対人関係が苦手と」
そっか。
僕の方は……なぜだかよく分かっていないけども、ひとまず初対面を乗り越えた相手なら。
「この体」が知っている相手なら、人見知りがそこまで起きない。
そもそもひより先生は見た目が小学生だから、余計に怖くない。
けども、ひより先生は年相応の――高校生としての、高校生としての――人見知りで、同世代の女子とも話すのが苦手だったはずだ。
「それ以外にも、当時はまだ中学生だった彼女が……警戒心が薄くてある程度学校とか住んでいる場所、なによりも年齢と性別が特定されそうなムィートや写真を上げていたのを、わざわざ指摘してもらったのを恩に感じているようで」
「そんな、普通の大人なら声くらいかけますよ、危なっかしい子には」
「……そういう判断ができるから、こはねさんは信頼されるんですよ」
「?」
普通の大人なら、危なっかしい子が危なっかしいことしていたら、ひと声はかけるよね……?
「……こはねさん」
「え?」
「こはねさんは、ネットの世界が――常に女性を物色するタイプの男性に満ちているのをご存じですよね?」
「? そうですね、僕の声バレのときとかからそういうのが来てましたし」
「………………………………」
「……?」
先生は、しばらく黙って僕を見つめる。
それが居心地の悪くならない程度には、すっかり慣れてきたお医者さんの人。
彼女はやっぱり、なにかを企んでいる気がする。
「……ふふっ。妹さんが大切にするのも、分かりますね」
「?」
先生はよく分からない理由でくすくすと笑いながら、ひより先生の介抱をしていた。
僕は、思い切って足を振って待合室のイスから降りて、床へ足を着ける。
――こうして僕自身の意思で立てるってことは、本当にあの子は僕が怖がる対象じゃないんだろう。
さすがの僕も、小学生相手なら……たまに居る、中学生並みの体格とか持ってる男子以外なら大丈夫……なはず……うん……たぶん……小さくなってるし女の子になってるから、今は分からないけども。
ともかく、優花が早く戻ってきてくれることを願ってもっと入り口の方へ移動しておけば、出るときにも迷惑はかけない。
こんなとこでパニック起こして泣き叫んだり吐いたり漏らしたりしたら先生にすごい迷惑かけちゃうし。
……ちらり。
一瞬だけ、その子を見てみる。
その子は膝の上に鞄を置いて、その上でタブレットを熱心に触っている。
いや、ペンでなにかを書いている。
……ああ、そういや今どきはタブレットか。
きっと、問題集かなにかを解いて……いや、いくらなんでもたかだか数年でノートまでされるものなんだろうか。
そう思って、ぼんやり見ていた。
「?」
「!」
――人は、第六感で視線を感じるらしい。
ぱっと見上げられて、思わず硬直する。
「………………………………」
「………………………………」
その子と僕は、お互いにしばらく硬直。
それを先に解いたのは、彼女の方だった。
「……え? ふぇぇ……? うそ……」
……かたん、からから。
その子の手にしていたペンが、床を転がる。
その子は、僕を驚いたような目で――ああ、やっぱり小学生高学年くらいの顔つきで、明るい栗色の髪の毛をカチューシャで飾っている、まるでひより大先生のアイコンみたいな……あれ?
「……こはねちゃん、さん……?」
「……ひより先生?」
「………………………………」
「………………………………」
僕たちは、しばし見つめ合い――
「……ふぁぁぁ……」
――とさっ。
「えっ」
……先生が、目を回して崩れ落ちた。
「きゅう……」
「……えっ」
さらに硬直した僕は――驚愕した。
「…………えっ……?」
……この世界に、僕よりも怖がりな存在が居るだなんて、って。
◇
「きゅう……」
「……ひより先生を呼んだの、先生ですか」
「はい。ごめんなさいね……げろげろは?」
げろげろ?
ああ、吐いたかどうか、つまりはパニックになったか聞いてくれてるのか。
「いえ、僕は平気でしたけど……」
「そう……残念。ひよりちゃんはノックアウトされちゃったみたいねぇ……」
呼んできた先生は素直に白状した。
「残念」って言ったし、なにかを企んでいたみたい……悪い人じゃないはずだけど。
「介護班って……つまりは前から配信に居た人なので、今からなら納得できますけど」
「ええ、彼女もまた介護班……こはねさんを守りたいと思ってくれた人ですね」
「……でも、なんで僕を見て目を回して?」
「こはねさんなら、彼女の絵柄や人柄をある程度分かっていますよね?」
「……ああ、危なっかしいくらいに純粋な小学生だったんですね」
「――高校生ですっ!」
「!?」
がばっ。
真っ赤な顔をして寝転んでいた彼女が、いきなりに起き上がり、
「わぷ」
「大丈夫ですか?」
ふよんっ。
後ろを向くと――しゃがんで僕の後ろに居たらしい彼女の胸元に、頭がバウンドする。
「……ごめんなさい」
「不可抗力ですから構いませんよ」
にこり、と気持ちのいい笑顔を近距離で浴びる。
ふわりと漂ってくる匂いは消毒液と、大人の女性のそれ。
……けど、大丈夫だ。
本当に、本当に――ネット越しでも、知り合いってはっきり分かっていたらこんなにも大丈夫なんだ……。
ということは、ひより先生も。
「………………………………」
「あ、えっと、大きな声出してごめんなさい……私、良く子供っぽいからってからかわれていて……」
「……本当に高校生……?」
ひより先生。
ムィートを見る限りでは、高校生……のはず。
ぽつぽつとしかつぶやなかったとしても、それを追ってるとそれなりに分かるのが個人情報だ。
「! こ、こんな見た目でも高校生ですっ!」
「いえ、疑うわけじゃ」
信じられないだけだよ?
「ええ、保険証を偽造する何かしらの理由がなければ、彼女もまた見た目通りの年齢ではありませんね」
「偽造なんてしません!」
「う、嘘とは思ってないから……」
先生が太鼓判を押す。
……本当に、この見た目で高校生なのか。
身長はさすがに僕よりは大きいけども、ぱっと見で小学生って思える程度にはちんまく、制服らしきそれはだぼだぼで、ニットのセーターがもはやスカートをほぼ覆うほどで。
……顔つきか、それとも動きか、あるいは両方、さらには話し方か、全部か。
「……それで? 先生?」
「はい?」
「あ、いえ、こっちの先生」
「あ、はい」
僕はお医者さんの方の先生に声をかけたんだって伝える。
けども、彼女は分かっているようでいてよく分からない様子。
「………………………………」
「………………………………」
僕たちは、意味もなく見つめ合い、
「?」
「?」
首をかしげる。
む……なんだか、この子、独特の間がある気がする。
「……こはねさん。今回の件は、妹さんも巻き込んでのものです。私が発案して……ごめんなさいね」
「いえ、優花が良いって言ったなら悪いことではないですし」
先生が謝ってくるけども、そもそも僕は迷惑をかけている立場だ。
そして……現状は数少ない、目を見て話せる相手。
きっと治療の一環……なんだよね?
「こはねさんが、初めて私と会ったとき。想像よりも驚くほどに落ち着いていました。そして、介護班同士で相談した結果……」
「……古参の人たち。配信で何回か話した人相手なら大丈夫かも、って?」
確かにそういう話は前にもした気がする。
なぜかは分からないけども「僕は文字越しでも初対面かどうかを無意識に判断しているんじゃないか」って。
実際、古参って呼ばれる人たちの中でも普段コメントをしない人とかは書き込みを見ればなんとなく分かるし、それで男のときから毎回気持ち悪くなったり吐き気を催したりしていたし。
「ええ。今回のように、もしかしたらリアルの初対面でも……と。それで」
「……ちんちくりんで、人生で1回たりとも見た目で恐れられたことのない私が……って。びっくりさせて、ごめんなさい」
しゅんとしょぼくれる姿は、どう見てもおやつを買ってもらえなかった小学生そのもの。
でも、
「僕こそ、ごめんなさい」
「ふぇ?」
僕は、まずは謝る。
「見た目で苦労する気持ちは……この体になって、少しは分かっているつもりです。小学生だなんて思って。コンプレックスに思っていることを指摘される辛さは――」
「あ、いえっ! 良いんです! 近所の小学生の子にも同級生だって思われてた事件がつい最近にあったくらいなのでっ!! そんなに重いものじゃ!」
ぶんぶんぶんっと全身で手を振る先生。
間違えられたんだ……大人ならまだしも、子供の方から……。
なんだか非常に親近感が湧いてきた。
そういや先生と同じく――ややこしいから「ひより先生」は「ひよりさん」の方が良いかな――こんなに近くで話していても気持ち悪くはならないし、なんなら先生よりも怖くないし。
「特段の病気や発育不良ではないと聞きます。なんでも、お母様も……その、幼く見える見た目だということですので、恐らくは遺伝だと」
「お母さん……一緒に町を歩いてると、私との比較で『中学生のお姉ちゃん?』って言われて喜ぶんです……小学生な私のお姉ちゃんだって……」
それはひどい。
あんまりだ。
「母親のきゃぴきゃぴした姿を見るのは……つらいですね」
「分かってくれますか!? ……あ、私相手は、普通にしてもらえたら……その、配信で話しかけられるの、……す、す、すすすすす……」
「?」
「す」ばっかり言ってるうちに、引いてきてた赤みが彼女の顔を覆っていく。
まるでリスとかハムスターみたいな印象になっていく。
「……きゅう」
「おっと」
今度は彼女のそばに寄っていた先生が、また寝転びそうになったひより先生を抱きかかえる。
「配信で……確か半年くらい前、ひより先生が相談してきたこと、あったのを覚えていますか?」
「配信で?」
「はい」
先生の方から配信での会話内容を尋ねられてちょっと困惑するけども。
「………………………………あ。先生、確か」
「ええ。こはねさん同様、対人関係が苦手と」
そっか。
僕の方は……なぜだかよく分かっていないけども、ひとまず初対面を乗り越えた相手なら。
「この体」が知っている相手なら、人見知りがそこまで起きない。
そもそもひより先生は見た目が小学生だから、余計に怖くない。
けども、ひより先生は年相応の――高校生としての、高校生としての――人見知りで、同世代の女子とも話すのが苦手だったはずだ。
「それ以外にも、当時はまだ中学生だった彼女が……警戒心が薄くてある程度学校とか住んでいる場所、なによりも年齢と性別が特定されそうなムィートや写真を上げていたのを、わざわざ指摘してもらったのを恩に感じているようで」
「そんな、普通の大人なら声くらいかけますよ、危なっかしい子には」
「……そういう判断ができるから、こはねさんは信頼されるんですよ」
「?」
普通の大人なら、危なっかしい子が危なっかしいことしていたら、ひと声はかけるよね……?
「……こはねさん」
「え?」
「こはねさんは、ネットの世界が――常に女性を物色するタイプの男性に満ちているのをご存じですよね?」
「? そうですね、僕の声バレのときとかからそういうのが来てましたし」
「………………………………」
「……?」
先生は、しばらく黙って僕を見つめる。
それが居心地の悪くならない程度には、すっかり慣れてきたお医者さんの人。
彼女はやっぱり、なにかを企んでいる気がする。
「……ふふっ。妹さんが大切にするのも、分かりますね」
「?」
先生はよく分からない理由でくすくすと笑いながら、ひより先生の介抱をしていた。
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