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9章 「綾咲こはね」
107話 優花お姉ちゃんとおふろ
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「ふぃー……」
「………………………………」
ちゃぷんっ。
「やっぱり寒い季節はおふろが気持ちいいよねぇ」
「え、ええ……」
ぴちゃんっ。
おふろの湯気が、もくもくとしている。
「んー、それにしても」
もぞもぞ。
「んっ……」
「こしょばゆーい」
僕は、ゆうかのおっぱいに背中を預けてもぞもぞする。
おふろの浴槽。
ゆうかが大きくなってからは狭く感じるようになって、だから一緒に入らなくなってたけども……久しぶりだし、良いよね。
あ、違うか、つい最近も入ったっけ。
「でも、おふろ入るとき、いちいち髪の毛、こんなに巻かなきゃなの?」
僕は、後ろをでかでかクリップでわしっとつかまれた後頭部を触る。
僕の髪の毛が、密度をたたえて毛糸の玉みたいになってる。
「……そうしないと、髪の毛が痛みますよ」
「んー。乾燥した季節だと確かに感じるなぁ」
僕は、おふろの中でだけ解く、自慢の三つ編みにしている横髪を手に取る。
毎日結っているもんだから、お湯に浸けた程度じゃ編まれてるときのクセが取れていないし、確かに先っぽの方がかくかくと折れちゃってる。
「おふろ上がりに枝毛切ってー」
「ええ」
僕のおしりは優花お姉ちゃんのふとももとおなかに挟まれている。
そして脱力すると首元までくる、でっかいおっぱい。
いや。
「はるなちゃんの方がでかいか……おっぱい」
「!?」
くしゃみでもしそうになったのか、びくってしてる優花。
「あれはでかい……あれでぴっちりスーツ着てバイクにまたがるとか、絶対よそ見事故起こしまくってるよ、はるなお姉ちゃん……」
男は馬鹿だから、おっぱいがあるだけで目が吸い寄せられるんだ。
「でも、ゆうかのこのサイズの方が僕は好きかなぁ」
ぐりぐり。
ふにふに。
「!?!?」
伝わってくる、柔らかい感触。
「……僕には無いのになぁ……」
それに比べると、優花にリクライニングして寄せてる感じになってるはずの僕の胸は、実に平坦。
「Bくらいには育たないかなぁ」
もみもみ。
僕は、かろうじて男じゃないって分かるサイズのおっぱいのなりそこないを揉んでみる。
……ぴりっ。
……あれ?
なんで僕、先っぽのぴりぴりがこんなに新鮮な感覚なんだろ。
「……こはねさんは」
「?」
ぽつり、と――優花お姉ちゃんがおふろに入ってから僕が突撃して以降、初めて話しかけてくる。
「……女性らしい体に、なりたいのですか?」
「え、やだよ。僕、男だもん」
「えっ」
今の僕のサイズなら問題なく男って言い張れるしさ。
けども。
「でも、それはそれとして……どうせならもっとばいーんってあったらなって思うの」
「……そう、ですか……」
それっきり黙り込むお姉ちゃん。
……もう、変なの。
普段なら「きっとこれからですよ」って言ってくれるのにさ。
「……あの」
「うん?」
「どうして……お風呂に?」
?
何言ってるんだろ、優花お姉ちゃん。
「? どうしてって?」
「いえ……その。こはねさんは、肉体は女性としても心は……なので、一緒の入浴などは困るのかと」
「? 困らないよ? ていうか優花!」
ばしゃっ。
「ひゃあっ!?」
僕は、くるりと回れ右――優花のふとももの上で脚同士を擦れ合わせながら振り向く。
「ちょ、ちょっとこはねさん!?」
「なんでおっぱいとおまた、隠してるの? さっきもそうだったし」
僕が見たとたんに――さっき突撃したときもそうだったけども、両手でさきっぽとおまたを隠してもじもじしちゃう優花。
「そ、それはっ!? ……わ、私はこはねさんのことを、男性だと――」
「え、でも家族だから気にしないって、この前おふろで洗ってくれたとき言ってたじゃん」
「えっ」
おふろでしっかりあったまったのか、赤くなってる優花がきょとんとしている。
んもう、忘れっぽいんだから。
「僕がこの歳にもなっておもらししちゃっておふろで洗ってくれたり、引っかけちゃって2人で入ったりしたときにも、そう言ってくれたのに」
「――――……」
お口をぽかんと開けて――なんだかとたんに幼く見える優花。
あー、そうだったそうだった。
小さいころの優花は、知らないことを初めて知ると本気で感心してこうなっちゃう癖があったんだっけ。
「きょうだいだから大丈夫って、家族だから恥ずかしくないって」
「……そ、それは、言った気が……」
「ていうか僕、優花が赤ちゃんのときからお世話してるし、おまたとかおしりの穴まで全部見てきてるし、今さらじゃない?」
「 」
「あれ? 違う違う……優花はお姉ちゃんだから、見られたのは僕……あれ? んー?」
首をひねってみても、違和感が分からない。
……最近、なんか変だなぁ。
そもそも「優花お姉ちゃんが生きてる」のだって――――
「――くちっ」
「……洗いましょうか、こはねさん」
じゃばっ。
説得が通じたのか、隠すのをやめて堂々と立ち上がっている優花。
「………………………………」
「っ……」
じー。
「………………………………」
「……っ!」
じーっ。
「……そ、そんなに視か――見られていますと、私……!」
「ゆうか」
「! は――」
「ちょっと太った? ほら、おなかのお肉」
「――――――――太っていません」
あ、声が低くなった。
普段からハスキーボイスっていう低めの声なのにね。
「でも」
「太っていません」
「そうかなぁ」
「そうです」
「スタイル良いからそう見えるだけかぁ。ごめんね」
ばしゃばしゃ。
ちょっと怒ってる優花から逃げる僕。
「………………………………」
「だから、いつも言ってるじゃん。男にとって女の子ってのは、ちょっとむちむちしてるくらいの方が良いんだって」
女の子の理想の体型は、少女漫画に出てくるすらりとした体。
対して男のは……結構好みもあるけど、やっぱり出てるとこは出ててほしいって感じ。
優花お姉ちゃん、毎晩体重計とにらめっこしてごはんの食べる量決めてるもんなぁ……痩せすぎなくらいなのにさ。
「……兄さんも、そう思いますか?」
「うん、もちろん。……ん? にいさん?」
しゃーっとシャワーを出しながら首をひねってみる。
「――うん、そうだね。優花が小6くらいだったかな、結構無茶なダイエットして倒れたときは心配したし。低血糖でどたーんって倒れて」
「………………………………」
糖質制限ダイエット――今でも流行ってるけど、実は普通の生活に戻したら全く意味のない――つまりは一生ずっとごはんもパンも満足に食べられないダイエット生活。
そういうのにハマってた母さんも優花も、ダイエットをがんばるほどに機嫌が悪くなって――結果としてやけ食いとかおかしとかもりもりだったし、意味ないと思うんだけど、聞いてくれないんだよなぁ……。
「ねー、ゆうかー、頭洗ってー」
「……はいはい」
ばしゃっ。
「んーっ」
「頭、あまり動かさないでくださいね」
ああ、良い。
こういうのが、良いんだ。
「もう洗ってもらえなくなったはずなのに、こうして頭を洗ってもらえる」……ただそれだけで、悲しくはないけど目が染みて涙が出るほどに嬉しいんだ。
「………………………………」
ちゃぷんっ。
「やっぱり寒い季節はおふろが気持ちいいよねぇ」
「え、ええ……」
ぴちゃんっ。
おふろの湯気が、もくもくとしている。
「んー、それにしても」
もぞもぞ。
「んっ……」
「こしょばゆーい」
僕は、ゆうかのおっぱいに背中を預けてもぞもぞする。
おふろの浴槽。
ゆうかが大きくなってからは狭く感じるようになって、だから一緒に入らなくなってたけども……久しぶりだし、良いよね。
あ、違うか、つい最近も入ったっけ。
「でも、おふろ入るとき、いちいち髪の毛、こんなに巻かなきゃなの?」
僕は、後ろをでかでかクリップでわしっとつかまれた後頭部を触る。
僕の髪の毛が、密度をたたえて毛糸の玉みたいになってる。
「……そうしないと、髪の毛が痛みますよ」
「んー。乾燥した季節だと確かに感じるなぁ」
僕は、おふろの中でだけ解く、自慢の三つ編みにしている横髪を手に取る。
毎日結っているもんだから、お湯に浸けた程度じゃ編まれてるときのクセが取れていないし、確かに先っぽの方がかくかくと折れちゃってる。
「おふろ上がりに枝毛切ってー」
「ええ」
僕のおしりは優花お姉ちゃんのふとももとおなかに挟まれている。
そして脱力すると首元までくる、でっかいおっぱい。
いや。
「はるなちゃんの方がでかいか……おっぱい」
「!?」
くしゃみでもしそうになったのか、びくってしてる優花。
「あれはでかい……あれでぴっちりスーツ着てバイクにまたがるとか、絶対よそ見事故起こしまくってるよ、はるなお姉ちゃん……」
男は馬鹿だから、おっぱいがあるだけで目が吸い寄せられるんだ。
「でも、ゆうかのこのサイズの方が僕は好きかなぁ」
ぐりぐり。
ふにふに。
「!?!?」
伝わってくる、柔らかい感触。
「……僕には無いのになぁ……」
それに比べると、優花にリクライニングして寄せてる感じになってるはずの僕の胸は、実に平坦。
「Bくらいには育たないかなぁ」
もみもみ。
僕は、かろうじて男じゃないって分かるサイズのおっぱいのなりそこないを揉んでみる。
……ぴりっ。
……あれ?
なんで僕、先っぽのぴりぴりがこんなに新鮮な感覚なんだろ。
「……こはねさんは」
「?」
ぽつり、と――優花お姉ちゃんがおふろに入ってから僕が突撃して以降、初めて話しかけてくる。
「……女性らしい体に、なりたいのですか?」
「え、やだよ。僕、男だもん」
「えっ」
今の僕のサイズなら問題なく男って言い張れるしさ。
けども。
「でも、それはそれとして……どうせならもっとばいーんってあったらなって思うの」
「……そう、ですか……」
それっきり黙り込むお姉ちゃん。
……もう、変なの。
普段なら「きっとこれからですよ」って言ってくれるのにさ。
「……あの」
「うん?」
「どうして……お風呂に?」
?
何言ってるんだろ、優花お姉ちゃん。
「? どうしてって?」
「いえ……その。こはねさんは、肉体は女性としても心は……なので、一緒の入浴などは困るのかと」
「? 困らないよ? ていうか優花!」
ばしゃっ。
「ひゃあっ!?」
僕は、くるりと回れ右――優花のふとももの上で脚同士を擦れ合わせながら振り向く。
「ちょ、ちょっとこはねさん!?」
「なんでおっぱいとおまた、隠してるの? さっきもそうだったし」
僕が見たとたんに――さっき突撃したときもそうだったけども、両手でさきっぽとおまたを隠してもじもじしちゃう優花。
「そ、それはっ!? ……わ、私はこはねさんのことを、男性だと――」
「え、でも家族だから気にしないって、この前おふろで洗ってくれたとき言ってたじゃん」
「えっ」
おふろでしっかりあったまったのか、赤くなってる優花がきょとんとしている。
んもう、忘れっぽいんだから。
「僕がこの歳にもなっておもらししちゃっておふろで洗ってくれたり、引っかけちゃって2人で入ったりしたときにも、そう言ってくれたのに」
「――――……」
お口をぽかんと開けて――なんだかとたんに幼く見える優花。
あー、そうだったそうだった。
小さいころの優花は、知らないことを初めて知ると本気で感心してこうなっちゃう癖があったんだっけ。
「きょうだいだから大丈夫って、家族だから恥ずかしくないって」
「……そ、それは、言った気が……」
「ていうか僕、優花が赤ちゃんのときからお世話してるし、おまたとかおしりの穴まで全部見てきてるし、今さらじゃない?」
「 」
「あれ? 違う違う……優花はお姉ちゃんだから、見られたのは僕……あれ? んー?」
首をひねってみても、違和感が分からない。
……最近、なんか変だなぁ。
そもそも「優花お姉ちゃんが生きてる」のだって――――
「――くちっ」
「……洗いましょうか、こはねさん」
じゃばっ。
説得が通じたのか、隠すのをやめて堂々と立ち上がっている優花。
「………………………………」
「っ……」
じー。
「………………………………」
「……っ!」
じーっ。
「……そ、そんなに視か――見られていますと、私……!」
「ゆうか」
「! は――」
「ちょっと太った? ほら、おなかのお肉」
「――――――――太っていません」
あ、声が低くなった。
普段からハスキーボイスっていう低めの声なのにね。
「でも」
「太っていません」
「そうかなぁ」
「そうです」
「スタイル良いからそう見えるだけかぁ。ごめんね」
ばしゃばしゃ。
ちょっと怒ってる優花から逃げる僕。
「………………………………」
「だから、いつも言ってるじゃん。男にとって女の子ってのは、ちょっとむちむちしてるくらいの方が良いんだって」
女の子の理想の体型は、少女漫画に出てくるすらりとした体。
対して男のは……結構好みもあるけど、やっぱり出てるとこは出ててほしいって感じ。
優花お姉ちゃん、毎晩体重計とにらめっこしてごはんの食べる量決めてるもんなぁ……痩せすぎなくらいなのにさ。
「……兄さんも、そう思いますか?」
「うん、もちろん。……ん? にいさん?」
しゃーっとシャワーを出しながら首をひねってみる。
「――うん、そうだね。優花が小6くらいだったかな、結構無茶なダイエットして倒れたときは心配したし。低血糖でどたーんって倒れて」
「………………………………」
糖質制限ダイエット――今でも流行ってるけど、実は普通の生活に戻したら全く意味のない――つまりは一生ずっとごはんもパンも満足に食べられないダイエット生活。
そういうのにハマってた母さんも優花も、ダイエットをがんばるほどに機嫌が悪くなって――結果としてやけ食いとかおかしとかもりもりだったし、意味ないと思うんだけど、聞いてくれないんだよなぁ……。
「ねー、ゆうかー、頭洗ってー」
「……はいはい」
ばしゃっ。
「んーっ」
「頭、あまり動かさないでくださいね」
ああ、良い。
こういうのが、良いんだ。
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