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15章 「聖女」を巡る、人類と魔王の戦い@出海道
457話 【魔王を謝らせるユズちゃんの恐怖】
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「――改めての謝罪を。聞けば、これほど愛されているという聖女ユズのことを、私はなぜか、こう……謝った直感で導き出し、どうしても護らねばと思い込んでしまったゆえに、戦端を開いてしまった。これは我の過ちだ」
「まっ、魔王様!? ワ、ワタシたちなどに謝っては!」
「魔王とは、魔の王――過ちを認めたときは、たとえ別種族であろうとも頭を垂れて謝罪をせねばならぬ。特に我はまだ幼いゆえ、尚更にだ」
魔王――銀髪紅眼で色素の薄い少女が、彼女を引き立てる黒い服ごと折りたたみながら深く、頭を下げる。
その姿は、高く、尊い。
自然な誇りの高さが、頭を下げているからこそ際立っている。
……一方で、そんな彼女が王の中の王というのを先ほどの魔王の間で知ってしまっているエリーは、その重みに思い切り吐きそうなのを我慢していた。
【かわいそう】
【かわいそう】
【良い子なんだけど……】
【うん……】
【あのやべー魔王たちの王様が深々と頭を下げてきたらねぇ】
【エリーちゃんなかないで】
【顔が真っ青でもうダメそう】
【おいたわしい……】
【ついでで事情を察している様子の教官ちゃんも優ちゃんも真っ青通り越して真っ白だわ】
【あっ……】
【草】
【草じゃないけど草】
【あ、優ちゃんが後ろにダッシュ】
【あ、げろげろ】
【かわいそうに……】
「全てが終われば相応の謝罪と賠償をと思うのだが」
「そ、それより今はユズ様のことでございます!!」
「だが、軽い条件だけでも先に……ひとまず我の首に異界のいくつかを」
「そういうのは後で構いませんからぁー!!!」
「……分かった。本当に済まない」
もはや冷や汗が流れていない場所のないエリーの拒絶に、なおさらしょんぼりとする魔王。
……その姿はどう見ても、ただの少女でしかなかった。
だが、
「ひぃぃぃぃ……見てます見てますぅー……」
「あ、あのかっこいいライオンのおじいちゃん、おてて振ってくれてる。ふりふり~」
「あ、あはは……も、もう、私たちは愛想を振りまくしかありませんねぇ……」
――魔王に頼まれ、回転する魔王城から飛び立ち理央たちを回収してきたエリーたちは、ミラーボールの間(最奥部)に居る。
それはつまり――玉座で待機していた魔王たちが、のぞき見てきてこられる場所なわけであり――その1体1体のケタ違いの魔力を理解できてしまうエリーは、もう死んでいるも同然のメンタルになっていた。
あと、魔王たちは普通にフレンドリーに手を振ったりしてきていた。
自分の主が頭を垂れている姿を見ながらも、怒りもせずに。
それは、事情を知らなければただの優しさだと思ってしまうが……。
【すっごいにこにこしてる】
【※笑顔とは本来闘争のためにうんぬん】
【※人間でも怒りを通り越すとめっちゃ笑います】
【※普段キレない人がキレてるときって、惚れるくらい美しく笑うんだ】
【ひぇっ……】
【これ、ユズちゃんをどうにかしても……】
【うん、賠償とかどうにかして止めてもらわないと……】
【魔王っ子ちゃんを慕ってる魔王たちが襲ってきても……】
【おかしくないよねぇ……】
【うちのユズちゃんっていうちょうちょが、代々の魔王たちが秘宝にしてきたのを……よりによってダンスホールなミラーボールにしちゃった上に、現在進行形でいじり倒してるっぽいからねぇ……】
【草】
【草】
【せめて……せめて元通りにできる程度にしててねユズちゃん……】
【子供ってさ 興味本位で目覚まし時計とか分解しちゃうよね しかも部品とか無くしたりして元通りにできなくしたり壊したりして、べそかいて持ってくるんだよ】
【あっ】
【 】
【 】
【 】
【 】
【もうだめだ……】
【それが分かってるからエリーちゃんも真っ青なんだよねぇ……】
【あーあ】
【ユズちゃん……どうして……】
【吸血鬼ちゃん、このお城の制御だけ奪い返してくれたっぽいけど、逆に言えばそれ以外は全部ユズちゃんのおてての中に】
【おろろろろろろ】
【じょばばばばば】
【なんと……なんということでしょう……】
「あ、あのっ! 柚希先輩を――」
「む? その前に、お前たちは聖女の付き人か」
「羽ばたいちゃう前に――え? 聖女? 付き人?」
なんとか話の流れを変えようとする理央が、今度は魔王の興味を引いたらしい。
「違うのか?」
「えぇっと……?」
「はーい! ひなたたちは、ゆずきちゃんの奥さんだよ!」
「ひ、ひなたさん!?」
「ね! 優ちゃ――あ、あの隅っこでげろげろしちゃってる子もまとめて奥さん!」
「………………………………」
「………………………………?」
「妻……? 聖女の……? あの純粋無垢の……? あんな赤子同然の子供の……?」
こてん。
魔王が、首をかしげる。
【ひなたちゃん!?】
【草】
【「聖女の付き人」から「奥さん」への飛躍は、いくら魔王様でも無理だったか】
【そらそうよ……】
【普通はそうだよ?】
【そうだよな……普通はそんなことあり得ないもんな……なんで俺たちはこんな奇想天外な事象を普通に受け入れてるんだもうやだよ……】
【草】
【草】
【脳が……認知を歪める……】
【理央様のやらかしのおかげで受け入れたけど、改めて考えるとやっぱちょっとおかしいわ】
【ちょっとか……?】
【ユ、ユズちゃんの羽ばたきっぷりに比べたら「ちょっと」だから……】
【ごらんよ 魔王ちゃんが不思議そうな顔をしてるよ】
【かわいいね】
【かわいいね】
【申し訳ないね】
【草】
【ユズちゃんは特異点 何もかもをユズワールドに叩き落としていくんだ
……】
◆◆◆
柚希くんの方でもお知らせです。
改めてですが、ハルちゃんの2巻が出ます。来月に。
リリちゃんが出てくる&ノーネームちゃんがちらちら見てくるあたりを、もういちど、かわいらしい挿絵とともにご堪能いただけます。
リンク先は活動報告より。ぜひ1度、ご覧くださいませ。
「まっ、魔王様!? ワ、ワタシたちなどに謝っては!」
「魔王とは、魔の王――過ちを認めたときは、たとえ別種族であろうとも頭を垂れて謝罪をせねばならぬ。特に我はまだ幼いゆえ、尚更にだ」
魔王――銀髪紅眼で色素の薄い少女が、彼女を引き立てる黒い服ごと折りたたみながら深く、頭を下げる。
その姿は、高く、尊い。
自然な誇りの高さが、頭を下げているからこそ際立っている。
……一方で、そんな彼女が王の中の王というのを先ほどの魔王の間で知ってしまっているエリーは、その重みに思い切り吐きそうなのを我慢していた。
【かわいそう】
【かわいそう】
【良い子なんだけど……】
【うん……】
【あのやべー魔王たちの王様が深々と頭を下げてきたらねぇ】
【エリーちゃんなかないで】
【顔が真っ青でもうダメそう】
【おいたわしい……】
【ついでで事情を察している様子の教官ちゃんも優ちゃんも真っ青通り越して真っ白だわ】
【あっ……】
【草】
【草じゃないけど草】
【あ、優ちゃんが後ろにダッシュ】
【あ、げろげろ】
【かわいそうに……】
「全てが終われば相応の謝罪と賠償をと思うのだが」
「そ、それより今はユズ様のことでございます!!」
「だが、軽い条件だけでも先に……ひとまず我の首に異界のいくつかを」
「そういうのは後で構いませんからぁー!!!」
「……分かった。本当に済まない」
もはや冷や汗が流れていない場所のないエリーの拒絶に、なおさらしょんぼりとする魔王。
……その姿はどう見ても、ただの少女でしかなかった。
だが、
「ひぃぃぃぃ……見てます見てますぅー……」
「あ、あのかっこいいライオンのおじいちゃん、おてて振ってくれてる。ふりふり~」
「あ、あはは……も、もう、私たちは愛想を振りまくしかありませんねぇ……」
――魔王に頼まれ、回転する魔王城から飛び立ち理央たちを回収してきたエリーたちは、ミラーボールの間(最奥部)に居る。
それはつまり――玉座で待機していた魔王たちが、のぞき見てきてこられる場所なわけであり――その1体1体のケタ違いの魔力を理解できてしまうエリーは、もう死んでいるも同然のメンタルになっていた。
あと、魔王たちは普通にフレンドリーに手を振ったりしてきていた。
自分の主が頭を垂れている姿を見ながらも、怒りもせずに。
それは、事情を知らなければただの優しさだと思ってしまうが……。
【すっごいにこにこしてる】
【※笑顔とは本来闘争のためにうんぬん】
【※人間でも怒りを通り越すとめっちゃ笑います】
【※普段キレない人がキレてるときって、惚れるくらい美しく笑うんだ】
【ひぇっ……】
【これ、ユズちゃんをどうにかしても……】
【うん、賠償とかどうにかして止めてもらわないと……】
【魔王っ子ちゃんを慕ってる魔王たちが襲ってきても……】
【おかしくないよねぇ……】
【うちのユズちゃんっていうちょうちょが、代々の魔王たちが秘宝にしてきたのを……よりによってダンスホールなミラーボールにしちゃった上に、現在進行形でいじり倒してるっぽいからねぇ……】
【草】
【草】
【せめて……せめて元通りにできる程度にしててねユズちゃん……】
【子供ってさ 興味本位で目覚まし時計とか分解しちゃうよね しかも部品とか無くしたりして元通りにできなくしたり壊したりして、べそかいて持ってくるんだよ】
【あっ】
【 】
【 】
【 】
【 】
【もうだめだ……】
【それが分かってるからエリーちゃんも真っ青なんだよねぇ……】
【あーあ】
【ユズちゃん……どうして……】
【吸血鬼ちゃん、このお城の制御だけ奪い返してくれたっぽいけど、逆に言えばそれ以外は全部ユズちゃんのおてての中に】
【おろろろろろろ】
【じょばばばばば】
【なんと……なんということでしょう……】
「あ、あのっ! 柚希先輩を――」
「む? その前に、お前たちは聖女の付き人か」
「羽ばたいちゃう前に――え? 聖女? 付き人?」
なんとか話の流れを変えようとする理央が、今度は魔王の興味を引いたらしい。
「違うのか?」
「えぇっと……?」
「はーい! ひなたたちは、ゆずきちゃんの奥さんだよ!」
「ひ、ひなたさん!?」
「ね! 優ちゃ――あ、あの隅っこでげろげろしちゃってる子もまとめて奥さん!」
「………………………………」
「………………………………?」
「妻……? 聖女の……? あの純粋無垢の……? あんな赤子同然の子供の……?」
こてん。
魔王が、首をかしげる。
【ひなたちゃん!?】
【草】
【「聖女の付き人」から「奥さん」への飛躍は、いくら魔王様でも無理だったか】
【そらそうよ……】
【普通はそうだよ?】
【そうだよな……普通はそんなことあり得ないもんな……なんで俺たちはこんな奇想天外な事象を普通に受け入れてるんだもうやだよ……】
【草】
【草】
【脳が……認知を歪める……】
【理央様のやらかしのおかげで受け入れたけど、改めて考えるとやっぱちょっとおかしいわ】
【ちょっとか……?】
【ユ、ユズちゃんの羽ばたきっぷりに比べたら「ちょっと」だから……】
【ごらんよ 魔王ちゃんが不思議そうな顔をしてるよ】
【かわいいね】
【かわいいね】
【申し訳ないね】
【草】
【ユズちゃんは特異点 何もかもをユズワールドに叩き落としていくんだ
……】
◆◆◆
柚希くんの方でもお知らせです。
改めてですが、ハルちゃんの2巻が出ます。来月に。
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リンク先は活動報告より。ぜひ1度、ご覧くださいませ。
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