ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。

あずももも

文字の大きさ
460 / 533
15章 「聖女」を巡る、人類と魔王の戦い@出海道

457話 【魔王を謝らせるユズちゃんの恐怖】

しおりを挟む
「――改めての謝罪を。聞けば、これほど愛されているという聖女ユズのことを、私はなぜか、こう……謝った直感で導き出し、どうしても護らねばと思い込んでしまったゆえに、戦端を開いてしまった。これは我の過ちだ」

「まっ、魔王様!? ワ、ワタシたちなどに謝っては!」

「魔王とは、魔の王――過ちを認めたときは、たとえ別種族であろうとも頭を垂れて謝罪をせねばならぬ。特に我はまだ幼いゆえ、尚更にだ」

魔王――銀髪紅眼で色素の薄い少女が、彼女を引き立てる黒い服ごと折りたたみながら深く、頭を下げる。

その姿は、高く、尊い。

自然な誇りの高さが、頭を下げているからこそ際立っている。

……一方で、そんな彼女が王の中の王というのを先ほどの魔王の間で知ってしまっているエリーは、その重みに思い切り吐きそうなのを我慢していた。

【かわいそう】
【かわいそう】
【良い子なんだけど……】
【うん……】

【あのやべー魔王たちの王様が深々と頭を下げてきたらねぇ】

【エリーちゃんなかないで】
【顔が真っ青でもうダメそう】
【おいたわしい……】

【ついでで事情を察している様子の教官ちゃんも優ちゃんも真っ青通り越して真っ白だわ】

【あっ……】
【草】
【草じゃないけど草】

【あ、優ちゃんが後ろにダッシュ】

【あ、げろげろ】
【かわいそうに……】

「全てが終われば相応の謝罪と賠償をと思うのだが」
「そ、それより今はユズ様のことでございます!!」

「だが、軽い条件だけでも先に……ひとまず我の首に異界のいくつかを」

「そういうのは後で構いませんからぁー!!!」

「……分かった。本当に済まない」

もはや冷や汗が流れていない場所のないエリーの拒絶に、なおさらしょんぼりとする魔王。

……その姿はどう見ても、ただの少女でしかなかった。

だが、

「ひぃぃぃぃ……見てます見てますぅー……」

「あ、あのかっこいいライオンのおじいちゃん、おてて振ってくれてる。ふりふり~」
「あ、あはは……も、もう、私たちは愛想を振りまくしかありませんねぇ……」

――魔王に頼まれ、回転する魔王城から飛び立ち理央たちを回収してきたエリーたちは、ミラーボールの間(最奥部)に居る。

それはつまり――玉座で待機していた魔王たちが、のぞき見てきてこられる場所なわけであり――その1体1体のケタ違いの魔力を理解できてしまうエリーは、もう死んでいるも同然のメンタルになっていた。

あと、魔王たちは普通にフレンドリーに手を振ったりしてきていた。

自分の主が頭を垂れている姿を見ながらも、怒りもせずに。

それは、事情を知らなければただの優しさだと思ってしまうが……。

【すっごいにこにこしてる】

【※笑顔とは本来闘争のためにうんぬん】

【※人間でも怒りを通り越すとめっちゃ笑います】

【※普段キレない人がキレてるときって、惚れるくらい美しく笑うんだ】

【ひぇっ……】
【これ、ユズちゃんをどうにかしても……】
【うん、賠償とかどうにかして止めてもらわないと……】
【魔王っ子ちゃんを慕ってる魔王たちが襲ってきても……】
【おかしくないよねぇ……】

【うちのユズちゃんっていうちょうちょが、代々の魔王たちが秘宝にしてきたのを……よりによってダンスホールなミラーボールにしちゃった上に、現在進行形でいじり倒してるっぽいからねぇ……】

【草】
【草】
【せめて……せめて元通りにできる程度にしててねユズちゃん……】

【子供ってさ  興味本位で目覚まし時計とか分解しちゃうよね  しかも部品とか無くしたりして元通りにできなくしたり壊したりして、べそかいて持ってくるんだよ】

【あっ】

【        】
【        】
【        】
【        】

【もうだめだ……】
【それが分かってるからエリーちゃんも真っ青なんだよねぇ……】
【あーあ】
【ユズちゃん……どうして……】

【吸血鬼ちゃん、このお城の制御だけ奪い返してくれたっぽいけど、逆に言えばそれ以外は全部ユズちゃんのおてての中に】

【おろろろろろろ】
【じょばばばばば】
【なんと……なんということでしょう……】

「あ、あのっ! 柚希先輩を――」

「む? その前に、お前たちは聖女の付き人か」
「羽ばたいちゃう前に――え? 聖女? 付き人?」

なんとか話の流れを変えようとする理央が、今度は魔王の興味を引いたらしい。

「違うのか?」
「えぇっと……?」

「はーい! ひなたたちは、ゆずきちゃんの奥さんだよ!」
「ひ、ひなたさん!?」

「ね! 優ちゃ――あ、あの隅っこでげろげろしちゃってる子もまとめて奥さん!」

「………………………………」

「………………………………?」

「妻……? 聖女の……? あの純粋無垢の……? あんな赤子同然の子供の……?」

こてん。

魔王が、首をかしげる。

【ひなたちゃん!?】
【草】
【「聖女の付き人」から「奥さん」への飛躍は、いくら魔王様でも無理だったか】
【そらそうよ……】
【普通はそうだよ?】

【そうだよな……普通はそんなことあり得ないもんな……なんで俺たちはこんな奇想天外な事象を普通に受け入れてるんだもうやだよ……】

【草】
【草】
【脳が……認知を歪める……】
【理央様のやらかしのおかげで受け入れたけど、改めて考えるとやっぱちょっとおかしいわ】

【ちょっとか……?】
【ユ、ユズちゃんの羽ばたきっぷりに比べたら「ちょっと」だから……】

【ごらんよ  魔王ちゃんが不思議そうな顔をしてるよ】

【かわいいね】
【かわいいね】
【申し訳ないね】
【草】

【ユズちゃんは特異点  何もかもをユズワールドに叩き落としていくんだ
……】


◆◆◆


柚希くんの方でもお知らせです。

改めてですが、ハルちゃんの2巻が出ます。来月に。

リリちゃんが出てくる&ノーネームちゃんがちらちら見てくるあたりを、もういちど、かわいらしい挿絵とともにご堪能いただけます。

リンク先は活動報告より。ぜひ1度、ご覧くださいませ。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

田舎おじさんのダンジョン民宿へようこそ!〜元社畜の俺は、民宿と配信で全国初のダンジョン観光地化を目指します!〜

咲月ねむと
ファンタジー
東京での社畜生活に心身ともに疲れ果てた主人公・田中雄介(38歳)が、故郷の北海道、留咲萌町に帰郷。両親が遺したダンジョン付きの古民家を改装し、「ダンジョン民宿」として開業。偶然訪れた人気配信者との出会いをきっかけに、最初の客を迎え、民宿経営の第一歩を踏み出す。 笑えて、心温かくなるダンジョン物語。 ※この小説はフィクションです。 実在の人物、団体などとは関係ありません。 日本を舞台に繰り広げますが、架空の地名、建造物が物語には登場します。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

処理中です...