ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。

あずももも

文字の大きさ
486 / 533
16章 「聖女」を巡る、人類と魔王の共闘

483話 【朗報・ユニコーン、廃棄される】

しおりを挟む
てくてく。

背が伸び、銀髪の美少女から美女へと変貌した魔王が戸惑うのを気にもせず、歩みを進める女神。

その先に居たのは――

「あなたが、ゆずのともだち?」

「      」

女神が目指したテーブル――そこには、微動だにしないユニコーンがひっくり返っていて。

「………………………………?」

こてん。

首をかしげ――蠢くこともしなくなっている白い毛玉を眺める女神。

「ごめんなさい女神様ごめんなさい、柚希先輩のおまんじゅうちゃんはいつもこうなので」

「かわいい女の子の前だとひっくり返っちゃうの」
「恐らく、魔王様がお美しくなられたのと女神様の降臨で、意識が……」

今までは蚊帳の外――に、無意識でなっていた理央たちが、「『こんなの』でも、一応は柚希の友達だから」と擁護を試みる。

「そう」

その擁護は――

【草】
【ユニコーン……お前……】
【あー、尊さが限界になると白目向くんだよな、こいつ】
【ユズちゃんが羽ばたいたあたりからずっとひっくり返ってたね】
【おかげでカメラ中継が光っていたわけだが】

「……ちょっとかりる」

「え? あ、はい……?」

――むんずっ。

結構な力で握りしめられ、

「       」

女神は上下反対の偶蹄類を手に取り――ツノに引っかかっていた配信機材を外すと、

「えい」

――――――ぺっ。

女神が新たに開いた穴へ――投げ捨てられた!

まるで紙くずのように、何の感慨もなしに投擲された!

「えっ」
「え?」
「あーあ、おまんじゅうちゃんが捨てられちゃった」

【は?】
【草】

【もしかして:女神様がどっかの世界から助走をつけて飛んできてどこかにポイ捨てするレベルの気色悪さ】

【草】
【草】
【良かったね駄馬  かわいい女神様のおててにつかまれて】
【思い残すことはないな淫獣!】
【なにしろ女神様直々に処分してもらえたんだからね!】

【草】
【ノーモーションで捨てられてて草】
【なぁにこれぇ……】

「これでよし」

丁寧に、ことりと配信機材――ドローン追尾型の発信源となる、柚希のものは腕輪型だったものだ――を、テーブルに置く女神。

「……何が良いのだ、女神よ……あれは……あれでも一応……うむ……一応はな、聖女のしもべであって……いや、多分にアレではあったが……」

どこか満足げな表情の女神へ――体が良くなったどころか魔力過多で成長したにもかかわらず、偏頭痛でもするのか、こめかみを押している魔王が問う。

【おいたわしい……】
【優しすぎる魔王ちゃん】
【なかないで】
【ああ、魔王ちゃんも無事おいたわしい枠入りかぁ……】
【そうだね……教官ちゃんと優ちゃんと合わせてお姉さん組になったし……】

【かわいそう】
【かわいそう】
【ユズちゃん、どうして……】

「ゆずが、みちくさくってるから、なげた」

――女神は振り返り、室内の全員――魔王の成長に飛び込んできた配下の魔王たちも含め――を見回して、宣言する。

「もうすぐ、はつどうするから」

「な、何がだ……?」

「かいい」

「ゆず、わーるど」

女神は――天を、差す。

「あらたなるまおうの、たんじょう」

「おひろめぱーてぃ」





「うーん」

僕は、困った。

困っている。

「あのぉー……君たち、僕のおまんじゅう、知りません? こう、ちっちゃくてふわふわしてて……」

「「「「きゅひひひひ……!」」」」

「……君たちみたいなの――って、分からないか。そうだよねぇ……」

僕は、全く進展のない状況に、ため息をつく。

「……ここ、ユニコーンさんたちの住処だもんねぇ……」

――女神様に見送られて、なんとなく道のできている不思議な穴の中の空間を歩いていた僕は、ふと懐かしい気のする気配を感じて横に逸れてみた。

そこから10分くらい歩いてると、だんだん周囲がファンシーになっていって……出た先は、完全にメルヘンの世界だった。

「ユニコーンさんたちの世界……うん。魔力とか、確かにそんな雰囲気……」

――大小さまざまなユニコーンさんたち。

みんな白い体で角を生やしていて――それぞれちょっとずつ違うけど、だいたい立派なお馬さんって感じ。

小さい綿毛があるなって思ったら、それはおまんじゅうみたいな幼体ってので……だから近づいて、僕の知ってるおまんじゅうのお友達が居るのか尋ねてみたんだけども。

「みぃーんなひっくりかえっちゃって、まるでおまんじゅうみたい。……でっかいお馬さんも普通にひっくり返ってるし……ユニコーンに対するイメージが……」

僕は、こめかみを押さえた。
なんだか、偏頭痛がしている気がするんだ。

「近づいたらみんなひっくり返っちゃうせいで、僕が歩いた周りはみんな脚しか見えない状態だし……」

僕は、ちらりと下を見る。

「     」

……見上げてきている個体が――白目を剥いた。

「……この服、一応聖女様のだからね。そんな下からのぞき見てもぱんつは見えないよ……」

こういうところも、おまんじゅうとそっくりだなって。

「そもそも僕、男なのに……分からないのかなぁ、ユニコーンのくせに……」

誰何のために歩けば歩いただけひっくり返る屍と化していく、メルヘンワールド。

それは、まさに地獄。

そして僕は死に神だ。

「……おまんじゅう、ごめんね。君がユニコーンの中でも特にダメな子だって、心の中で思っててさ……しょうがないよね、同族がみんなこんなのだったらむしろまともな方だと思うよ……」

しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

田舎おじさんのダンジョン民宿へようこそ!〜元社畜の俺は、民宿と配信で全国初のダンジョン観光地化を目指します!〜

咲月ねむと
ファンタジー
東京での社畜生活に心身ともに疲れ果てた主人公・田中雄介(38歳)が、故郷の北海道、留咲萌町に帰郷。両親が遺したダンジョン付きの古民家を改装し、「ダンジョン民宿」として開業。偶然訪れた人気配信者との出会いをきっかけに、最初の客を迎え、民宿経営の第一歩を踏み出す。 笑えて、心温かくなるダンジョン物語。 ※この小説はフィクションです。 実在の人物、団体などとは関係ありません。 日本を舞台に繰り広げますが、架空の地名、建造物が物語には登場します。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

処理中です...