ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。

あずももも

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14章 魔王城にご招待  聖女として

412話 【朗報・魔王っ子な吸血鬼っ子ちゃん、かわいい】

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『――――――私は、魔王。吸血鬼の王にして魔の王である』

吸血鬼コス――とコメント欄で騒がれている格好の、銀髪紅眼の少女。
彼女の、凜々しくも幼さを隠し切れない声がダンジョン中に響き渡る。

「……どうしますか、教官」
「出方を見ないと今は動けません……柚希さんが人質ですから。各員へ、警戒を怠らないよう伝えてください。陽動の可能性もあります」

教官と優がそれぞれの言葉で侵攻を停止させつつ、休息させながらも何割かへ最大級の警戒を呼びかける。

――ボスフロアでのボス戦のセオリーとして、取り巻きのモンスターを倒した後にボスモンスターが出現するパターンも少なくない。

それが、明らかに知性を持った魔族――しかも魔王を名乗る個体であっても、おかしくはない。

だが、知性を持っている以上には普段以上の警戒が必要だ。

「もし、エリーさんたち以上の脅威度なら」
「どうにか柚希さんに覚醒してもらって……という前提条件が」

「「はぁ……」」

【かわいそう】
【かわいそう】
【おいたわしい……】
【ほんそれ】

【教官のお姉ちゃんと優ちゃん、目元の隈が】
【かわいそうすぎる】
【ユズちゃん、どうして……】

【本当だよ!! どうしてよりにもよって切り札がきょとんとしながらお姫様抱っこでメイドっ子にお持ち帰りされたと思ったら魔王っ子が出てきてるんだよ!!】

【草】
【草】
【んにゃぴ……】
【わーい、ちょうちょ! ちょうちょ!】
【かわいそうに……】
【こんな常識通用しない展開とか真面目な人ほど壊れるんよ】

「ほぇぇ、魔王様かぁ……かわいいし、きれいー」
「かわいらしい……と、思ってはいけないのでしょうね」

【わかる】
【おまかわ】

【俺はひなたちゃんの方が好きだよ  特に幼いところが……え、何だお前らなんで俺の部屋n】

【ひぇっ】
【いいか、日向家だぞ】
【こわいよー】
【場外乱闘で草】

【いやいや、魔王登場で草生やしてる場合じゃ……】
【でもユズちゃんだよ?】
【もう草しか生えないよ……】

【草】
【草】
【結局全てがユズちゃんに回帰して草】
【ユズちゃん……どうして……】

「ネットじゃみんなそうですね。調子が良いっていうか、危機感がないっていうか……もう。柚希先輩があの子のところに居るのに」

【理央様が正気だと……!?】
【百合の花でも降るんじゃないか?】
【草】
【理央様……ぽんこつだからこそ応援してるよ……】

人々には、危機感が無かった。
いや、抱いてはいるものの「今までが今までだった」から。

「あ、でも、女の子のところなら安心だね! だってゆずきちゃんはおと――」
「しー! しーですひなたさんっ!」

――だからみんな、どこかで思っていたのだ。

「どうせいざとなったら『ユズちゃんな展開』になって、なんとかなるだろう」――と。

だが――魔王は、魔王だった。

エリーやおやびんのように、半ば自称――種族の生存のために仕方なく立ち上がった田舎の魔王ではなく――――――正真正銘、由緒正しい本物を受け継いだ。

少なくとも、その先代である吸血鬼は、紛れもなく真の魔王であり。

それをたった今受け継いだ彼女は――宣言する。

『故に――今から貴様ら人間社会を滅ぼすことにした。弁明や助命は一切に認めぬ。抵抗すれば手加減はしない』

【は?】
【え?】
【これはずいぶんと好戦的な吸血鬼っ子ちゃん】
【ぺろぺろ】

【待て、エリーちゃんとかおやびんだって、本気で来たらかなりやばいスペックだったんだぞ  ユズちゃんのせいで全部意味なくなってたけど】

【草】
【草】
【ユズちゃん……】
【どうして……】
【なんでもギャグにしてくれる子、ユズちゃん】
【こういうのでいいんだよ】
【分かる】

【11年前のも犠牲者は女神様が救ってくれてたみたいだし、きっと今度のだって――――――】

それでもまだ、誰も思っていなかった。

「どうせこの子もユズちゃんにベタ惚れになってちょろくなるんだろ?」と。

――だが、幾つもの世界を平定した先代魔王の真の力を受け継ぎ、記憶を受け継いだ彼女は――そんな緩すぎる世界をすら、憎んでいた。

『では、我らが武威を示そう――貴様ら人間が絶望するためにな。聖女のために、慈悲をくれてやる。降伏をするのなら、早い方が良い――とな』

【えっ】
【え?】

――――ずぅん。

地面が――きしむ。

「きゃあっ!?」
「ゆ、揺れてるぅ!」
「地震……にしては、揺れ方が……!?」

余りの揺れに、地面へへばりつくことしかできなくなった人類戦力。

「――おい、エリー! これやべぇ! よく分かんねぇけどやべぇ!」

「――ええ! 人間様方! 今すぐにリストバンドで退避――いえ! 教官様、優様! 『指揮官権限で強制的に送還』してくださいませ! 急いで! コードYでございます!」

【え?】
【指揮官権限?】
【エリーちゃんの声が】
【って何?】
【いや、言葉のままで分かりはするけど】

――カチッ。

緊急時の非常装備としての、携帯端末に取り付けられている物理のボタン。

それを、2人はためらいもなく押し込み――間違いなく「この場の全員のリストバンド」が起動し始めた。

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