ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。

あずももも

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15章 「聖女」を巡る、人類と魔王の戦い@出海道

427話 【悲報・吸血鬼っ子魔王ちゃん、ちょうちょされた】

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「? あれ?」

廊下を案内されていた僕は、ふと、石造りの壁に一定間隔で空いている吹きさらしの枠――窓の外の光が気になった。

「……青空? え、でも、ここ、ダンジョンの下……」

「はい、現在当艦は飛行中でございます」
「飛行中?」

飛行?

お城が?

お空を?

飛ぶ?

「………………………………?」

「かわいいですね」
「かわいいですね」
「理解が追いつかないこのお顔がたまらないですね」

「はい、飛んでおります。私共の世界では、城そのものが支配地を移動することにより迅速な意思決定による統治が可能となっておりますので」

「はぇー、すごいですねぇ」

ザ・吸血鬼のお城って感じの、見応えのあるお城――外から見たときは遠かったし、何より暗かったからシルエットだけだけども――が、お空を飛ぶ。

「かっこいいなぁ……すごいなぁ……」

残念ながら僕の背が低いせいで、上の方向しか見えない窓枠。

そのへりに両手を乗せてぴょんぴょんって飛んでみて――あ、お城の周りの地面まで浮き上がってて、その先は監視塔?みたいなのが等間隔に並んでて、その先がお空になってる!

雲が真横に浮かんでる!

「わぁ……! わぁ……っ!」

体がうずうずして、止まらなくって、僕はなぜかは知らないけどもぴょんぴょんってジャンプし続けながら、右へ左へ――別の窓枠にも走って、そっちからもいろんな角度で外を見て。

「わはっ、わはっ! かっこいーっ!」

普段なら理央ちゃんとかが見てくるから、こんなに子供っぽく騒げないけども……ひと晩お世話になるだけの人たちしか見てないんだから、ちょっとくらい良いよね。

「お城! お空! わーっ……!」

普段は静かなのが好きな僕でも、こういうわくわくするときくらいは体が動くんだ。

「      」
「      」
「      」
「      」

「尊い……」
「これが……母性……」
「困りました、鼻血が止まりません」

「……聖女様。城の制御機構に……ご興味は」

「! エンジンとか!? 見たい見たい! 見たいです!!」

「   み゜っ  」
「ごふっ……幼子のインパクト、ここに……」

別に着替えてるわけでもないのに、天井とか床とかをぷるぷると震えながら熱心に観察しているらしいメイドさんたち。

そんなとこじゃなくってお外見たら楽しいのにね。

その人たちの中で1番にえらいらしい僕を抱っこしてきてくれた人が、幼稚園とか小学校のときの優しい先生みたいにほほえんで言う。

「では、朝ごはんを頂きましたらご覧頂けますよう、手配をしておきます」
「はいっ! わー、どんな機械なんだろ……!」

僕は嬉しい。

工場見学とかに行ったときくらいに嬉しいんだ。

そうだ、それにお城自体もかっこいいんだもん、お迎えが来るまではいろんなとこ見せてもらおーっと。





――その日の朝。

厳戒態勢が敷かれ、その対岸では避難民たちが息を呑んで見守る出海道の大地、その上空。

――そこに、対岸から肉眼でもかすかに見えるサイズのホログラム――いや、立体投影をされた、銀髪紅眼の美しい少女の上半身が現れた。

『私は……悲しい』

【ふぁっ!?】
【草】
【え? どしたん?】

【なんかでっかいどーの真ん中の山の上まで浮遊してるダンジョンの上にクソでか投影で魔王ちゃんがお気持ち表明してる】

【美少女のガチ恋距離!】
【しかもでかいぞ!】

【草】
【草】
【言い方ぁ!】
【せめて意思表明とか言ったげてよぉ!】
【なぁにこれぇ……】

【ダメだよ……ユズちゃんがこの美少女魔王っ子ちゃんのすぐそばに居るって事実を認識するだけで、どんな警戒心もユズちゃんになっちゃう……】

【草】
【ユズちゃん言うな草】
【だって……】
【わかる】
【ユズちゃんだもんなぁ……】

『聖女ユズ――彼女もまた、大変に嘆き悲しんでいる。自らを破壊するほどに……己を、殺し続けて』

魔王は、胸を押さえ悲痛な表情を浮かべる。

絹のような銀髪がさらりと流れる美しさ――そのせいで、事情を知らなければ分からないなりに心を痛めるはずだったが。

【????】
【??????】
【ユズちゃんが……】
【悲しむ……?】
【んにゃぴ……?】

【翻訳班!】

【いや、これ某女神の影響か知らんがどの言語でも聞こえてるらしいぞ】
【違う、そうじゃない】
【ユズちゃんがどんな誤解させたのか聞いてるの!! ばか!!】
【草】

【かわいそうに……】
【ああ、ユズちゃんのなにかしらの被害者か……】
【ユズちゃん……どうして……】

『……愚か、だが純粋な民たちは、知らないらしい。彼女がどれだけの苦痛を受けてきたのかを。彼女が――聖女が聖女として在るために、心を殺して笑顔を浮かべていたことを』

その目じりからは――美しい雫が垂れる。

【なかないで】
【ふつくしい……】
【綺麗だしかわいい】
【けど何か致命的な意思疎通の齟齬をきたしている】
【草】

【親衛隊もそう思います】
【ああ、またいつものか】
【だな】
【学校、通学路とかバイト先まで起きるいつものだな】

【ただし今度は世界規模の……いや、この前の大サバトもそんなもんだったし、別にいいか……】
【解散】
【まぁユズちゃんなら大丈夫だしな】
【ああ、確実にな】
【特に女の子相手には母性引き出すからな、絶対おかしとかもらってるもんな】

【草】
【草】
【悲報・親衛隊が見捨てた】
【いつもの……そっかぁ……】

【ユズちゃん?? そろそろ起きよう??】
【ユズちゃんならたぶんあのお城の中でひらっひらしてるよ】
【そのせいで……ごらんよ  銀髪美少女が悲痛に顔を歪ませてるよ】
【かわいそうに……】
【草】
【ユズちゃん……どうして……】

【魔王ちゃんかわいそう】
【マジでかわいそう】
【誤解が解けたときを想像すると……おいたわしい……】
【本当になぁ】
【あの子もエリーちゃん枠になるのか……】
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