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3章 乱舞するメス堕ち
37話 拡散する自撮り
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「うわぁ……」
「きゃっきゃっ」
「少し静かにしていてくれないか? 顔にストレート入れたくなる」
「はぁい」
着けたままのウィッグを弄びながら耳元で騒ぎ立てるヒカリ――中村へ、思わずで渾身の拳を叩き込まなかったのは、きっと僕が我慢強いからではなく、諦めからだろう。
ぴこん、ぴこん。
次々とリプライが飛んでくる。
【レイさん!? いきなりまさかの自撮りを!?】
【かわいい】
【意外とある……フォローしました】
【レイさんが男の娘とか言ってたの誰だよ! 普通に女の子じゃねぇか!!】
【いや、本人が言ってたし……】
ああ……リプとDMがひどいことに。
「男って現金だよねぇ。女体って分かった途端にこれだもん」
「女体じゃない。あと、それをお前が言うか」
「えへ♥」
――自撮り、もとい自撮り風にされた盗撮は、ぱっと見ると女性。
いや、ほら……女装させられるときはパッド入りのブラジャー着けさせられるのが当然になってるから……だから……うん、胸が、ね。
髪はウィッグって明らかに分かるだろうけども、だからこそ――その下の髪の長さや髪型は、判別できない。
【B……Cあるか?】
【盛ってるだろうからAと見た】
【レイきゅんはレイきゅんだって信じてる!! ただのパッドよ!!】
【しっしっ】
あーあー、女の子の自撮りって信じたい男たちと、なぜか僕を執拗に「男の娘」「女装っ子」扱いしたい――男女半々の勢力が争っている。
「はぁ、これだから……人間ってバカばっかだね」
「うん、お前が言うな」
「ほらほら見て見て」と、目の前に三つ編みにされているウィッグ。
……コイツ、手先器用なんだよなぁ……ああ、姉がいるって言ってたし、きっと手伝いとかさせられているんだろう。
そういうことにでもしておかないと、僕の中の怒りが沸騰しかねない。
【銀髪……さすがにウィッグだよな?】
【染めてる可能性……ほら、急に自撮り上げ始めたし】
【まさかレイヤーさんだったのか……?】
【お肌白い……】
【顔……顔が見えない……】
【うわ、指ほっそ】
【あれ? これ、白飛び以外加工してない……え? マジで?】
【ふむ……ぎりぎりで見えるふともも……うむ】
「レイきゅんって指ほっそーいよね」
「……小さいころピアノをしていたからかな」
「あと小さい。ほら、俺ちんのと比べると」
「小さい言うな……これでもコンプレックスなんだから」
「レイきゅん?」
「何だよ」
「女装するために生まれてきた天使とかじゃない?」
「んなわけあるか」
ぴこん、ぴこん、ぴこん。
数秒おきに通知が膨らみ、自撮り風盗撮ポストの数字が伸び、フォロワー数が跳ね上がっていく。
「……昨日までは……これ、VRなチャット用のアカウントだから、フレンドさんたち100人程度だったのに……」
「FF比、ほぼ1。うむ、趣味の交流用アカウントだったね」
――もはや、手遅れ。
もう、この流れは止められない。
たとえポストどころかアカウントを消しても、もう――。
「レイきゅううん……!」
「殴っても良いよな」
「これでさ? ――女装、しなきゃいけなくなっちゃったね?」
「っ……」
「意見は半々。姉ちゃんの服ってば、ブランドの良いやつだからさぁ、女子から見ると『同類』なんだよねぇ……」
――確かに。
僕は、偽乳で膨らんでいる胸元の下の――確か2個上の、悪友の姉の服を眺める。
明らかに手触りの良い生地、細かい刺繍とか飾りがうるさくない程度についていて――制服以外の女装用の服とは価格帯が違うだろうってのは、男の僕ですら分かるもの。
「女子ほど気づくんだよねぇ。『これ、半年前に流行った、健全な女子高生がギリ買えるレベルのブランドので、色の組み合わせとかも「自分たちと同じ」女子が選んだもの』なんだってさ」
――ぞくっ。
悪寒が、走り抜ける。
「ヒカリ……まさか、そこまで」
「清楚系だけど、清楚系だからこそ肌の露出はほとんどなくて、まさにお嬢様。……こういうの、体格とか隠しやすいから女装アカでは多いファッションなのよ。だから、女装とか追っかけてる人たちは、男の娘だって思いたがる。レイきゅん、SNSで自我出さないタイプだからさぁ、VRなチャットでのレイきゅん知らない人からは、レイきゅんの性別は想像できない」
思わず見てしまった、奴の目は――悪魔の「ヒカリ」を宿している。
「女子からは女の子、または上質の男の娘。男子からは男の娘――または本物の女子。うんうん、これからも姉ちゃんの服かっぱらってきて着せたげたら、どっちとも取れるコスプレアカ爆誕だね♪ 良かったねぇレイきゅん、これ、VRなチャットでのレイきゅんの扱いとおんなじよん?」
「お前……」
「本人は男だって言い張ってるけど、明らかに女子っぽくて? ナンパとかトラブルが嫌でネナベ――男のフリする女子も多いし? けども話してると男にも聞こえるし、けどけど声は高めだし、ちょっとした声とか仕草は俺ちんの演技指導ですっかり女子。――さてさて、周りはどこまで振り回されるだろうねぇ、恋い焦がれるだろうねぇ、混乱するだろうねぇ、欲望膨らませるだろうねぇ」
もはや――ブレーキを、木っ端みじんにしやがったヒカリ。
僕は、こいつのせいで――
「うん、そうだよ? 俺ちんのせいで、レイきゅんは『今後も、そう振る舞わないといけなくなった』わけ。俺ちんのこと、恨んでくれても良いよ♪」
――ああ。
こいつは、悪魔だ。
僕の性格から、こういう反応になることまでを、すべて……。
「……なぁヒカリ」
「なぁに?」
僕は――こっそり自撮りしようとして練習していた笑顔を、初めて披露する。
「うわっ……待って待って、マジそれやば――」
「これで僕がメス堕ちし切ったら――責任、取るよな?」
「ぱしゃぱしゃ……うんうんもちろん!! 姉ちゃんを差し出しても良いよ!!」
「おーし、差し出そうとして酷い目に遭うお前を見ればさっぱりするな」
もう、僕は吹っ切れた。
だって、もう、手遅れだから。
だから――ヒカリがひたすらに写真を撮ってくるのに、応えた。
言われるがままのポーズ、表情、しなを作り。
……ああ。
僕は、もう、手遅れだ。
「きゃっきゃっ」
「少し静かにしていてくれないか? 顔にストレート入れたくなる」
「はぁい」
着けたままのウィッグを弄びながら耳元で騒ぎ立てるヒカリ――中村へ、思わずで渾身の拳を叩き込まなかったのは、きっと僕が我慢強いからではなく、諦めからだろう。
ぴこん、ぴこん。
次々とリプライが飛んでくる。
【レイさん!? いきなりまさかの自撮りを!?】
【かわいい】
【意外とある……フォローしました】
【レイさんが男の娘とか言ってたの誰だよ! 普通に女の子じゃねぇか!!】
【いや、本人が言ってたし……】
ああ……リプとDMがひどいことに。
「男って現金だよねぇ。女体って分かった途端にこれだもん」
「女体じゃない。あと、それをお前が言うか」
「えへ♥」
――自撮り、もとい自撮り風にされた盗撮は、ぱっと見ると女性。
いや、ほら……女装させられるときはパッド入りのブラジャー着けさせられるのが当然になってるから……だから……うん、胸が、ね。
髪はウィッグって明らかに分かるだろうけども、だからこそ――その下の髪の長さや髪型は、判別できない。
【B……Cあるか?】
【盛ってるだろうからAと見た】
【レイきゅんはレイきゅんだって信じてる!! ただのパッドよ!!】
【しっしっ】
あーあー、女の子の自撮りって信じたい男たちと、なぜか僕を執拗に「男の娘」「女装っ子」扱いしたい――男女半々の勢力が争っている。
「はぁ、これだから……人間ってバカばっかだね」
「うん、お前が言うな」
「ほらほら見て見て」と、目の前に三つ編みにされているウィッグ。
……コイツ、手先器用なんだよなぁ……ああ、姉がいるって言ってたし、きっと手伝いとかさせられているんだろう。
そういうことにでもしておかないと、僕の中の怒りが沸騰しかねない。
【銀髪……さすがにウィッグだよな?】
【染めてる可能性……ほら、急に自撮り上げ始めたし】
【まさかレイヤーさんだったのか……?】
【お肌白い……】
【顔……顔が見えない……】
【うわ、指ほっそ】
【あれ? これ、白飛び以外加工してない……え? マジで?】
【ふむ……ぎりぎりで見えるふともも……うむ】
「レイきゅんって指ほっそーいよね」
「……小さいころピアノをしていたからかな」
「あと小さい。ほら、俺ちんのと比べると」
「小さい言うな……これでもコンプレックスなんだから」
「レイきゅん?」
「何だよ」
「女装するために生まれてきた天使とかじゃない?」
「んなわけあるか」
ぴこん、ぴこん、ぴこん。
数秒おきに通知が膨らみ、自撮り風盗撮ポストの数字が伸び、フォロワー数が跳ね上がっていく。
「……昨日までは……これ、VRなチャット用のアカウントだから、フレンドさんたち100人程度だったのに……」
「FF比、ほぼ1。うむ、趣味の交流用アカウントだったね」
――もはや、手遅れ。
もう、この流れは止められない。
たとえポストどころかアカウントを消しても、もう――。
「レイきゅううん……!」
「殴っても良いよな」
「これでさ? ――女装、しなきゃいけなくなっちゃったね?」
「っ……」
「意見は半々。姉ちゃんの服ってば、ブランドの良いやつだからさぁ、女子から見ると『同類』なんだよねぇ……」
――確かに。
僕は、偽乳で膨らんでいる胸元の下の――確か2個上の、悪友の姉の服を眺める。
明らかに手触りの良い生地、細かい刺繍とか飾りがうるさくない程度についていて――制服以外の女装用の服とは価格帯が違うだろうってのは、男の僕ですら分かるもの。
「女子ほど気づくんだよねぇ。『これ、半年前に流行った、健全な女子高生がギリ買えるレベルのブランドので、色の組み合わせとかも「自分たちと同じ」女子が選んだもの』なんだってさ」
――ぞくっ。
悪寒が、走り抜ける。
「ヒカリ……まさか、そこまで」
「清楚系だけど、清楚系だからこそ肌の露出はほとんどなくて、まさにお嬢様。……こういうの、体格とか隠しやすいから女装アカでは多いファッションなのよ。だから、女装とか追っかけてる人たちは、男の娘だって思いたがる。レイきゅん、SNSで自我出さないタイプだからさぁ、VRなチャットでのレイきゅん知らない人からは、レイきゅんの性別は想像できない」
思わず見てしまった、奴の目は――悪魔の「ヒカリ」を宿している。
「女子からは女の子、または上質の男の娘。男子からは男の娘――または本物の女子。うんうん、これからも姉ちゃんの服かっぱらってきて着せたげたら、どっちとも取れるコスプレアカ爆誕だね♪ 良かったねぇレイきゅん、これ、VRなチャットでのレイきゅんの扱いとおんなじよん?」
「お前……」
「本人は男だって言い張ってるけど、明らかに女子っぽくて? ナンパとかトラブルが嫌でネナベ――男のフリする女子も多いし? けども話してると男にも聞こえるし、けどけど声は高めだし、ちょっとした声とか仕草は俺ちんの演技指導ですっかり女子。――さてさて、周りはどこまで振り回されるだろうねぇ、恋い焦がれるだろうねぇ、混乱するだろうねぇ、欲望膨らませるだろうねぇ」
もはや――ブレーキを、木っ端みじんにしやがったヒカリ。
僕は、こいつのせいで――
「うん、そうだよ? 俺ちんのせいで、レイきゅんは『今後も、そう振る舞わないといけなくなった』わけ。俺ちんのこと、恨んでくれても良いよ♪」
――ああ。
こいつは、悪魔だ。
僕の性格から、こういう反応になることまでを、すべて……。
「……なぁヒカリ」
「なぁに?」
僕は――こっそり自撮りしようとして練習していた笑顔を、初めて披露する。
「うわっ……待って待って、マジそれやば――」
「これで僕がメス堕ちし切ったら――責任、取るよな?」
「ぱしゃぱしゃ……うんうんもちろん!! 姉ちゃんを差し出しても良いよ!!」
「おーし、差し出そうとして酷い目に遭うお前を見ればさっぱりするな」
もう、僕は吹っ切れた。
だって、もう、手遅れだから。
だから――ヒカリがひたすらに写真を撮ってくるのに、応えた。
言われるがままのポーズ、表情、しなを作り。
……ああ。
僕は、もう、手遅れだ。
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