勇者の処分いたします

はにわ

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キラの断罪

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キラは冒険の書に関わる全てをようやく思い出した。
そして気付く。これはまずいと。読んでいないことがバレたら、大変なことになる。
読んで知識を得ているはずのマリアは、自分がこの手で追い出してしまった。大変なことをしてしまった。

勇者は強い特権を持つが、同時に強い義務にも縛られる。
義務を果たせないなら特権を予告なく即座に剥奪する。それが自分が勇者の称号を得たときに耳にタコが出来るくらい言われたことだった。



「もう一度言いますがキラ様は失点が重なっておりまして、やはりキラ様からは勇者の称号の剥奪が妥当だと判断されたのです」


「失点しているなんて、そんな話は聞いてない。教えてくれてもいいじゃないか!」


淡々と言うシンに対し、キラは声を荒げた。
失点していると知っていれば、次は気を付けることができるのに。こんなことにならなかったのに、あんまりではないか。


「おやおや・・・」


シンは怪訝な顔をする。


「勇者と認定された人には、当人に予告なく監視がつくことがあります。監視は勇者の動向を細かくチェックし、勇者としてそぐわない行動を取れば失点として記録します。よって勇者はいつ何時誰に見られても困らないように、常に模範的であるべき・・・これも冒険の書に記されていることですよ?」


「えっ・・・!」


それも冒険の書に書かれていたのか!

そういえばマリアがいたとき、結構あれこれと自分の行動について口を出してきたことがあったなとキラは思い出した。
それが疎ましいと思うときが結構あり、逆に咎めることをせず自分のことを立てることを良く言ってくれるリリアナが良いなと思うようになったのだったなと。
もしかしたら、冒険の書に書いてあるから、規約にあることだからとマリアは最初に説明していたかもしれない。

だが、もしかしたら自分はそれを忘れたり聞き流してしまっていたんじゃないか?
そう考えたとき、キラはびっしりと冷や汗をかいていた。



「村の家屋の裏での立小便、町かどで路上に唾を吐く、勇者と名乗ることでの武器屋への値下げの要求。細かいのだけでもこれだけありますね。全て記録されておりますよ」


「んなっ!」


それらの行為には確かに覚えがある。マリアの目の届かないところでこっそりやっていたことだ。まさか見られて記録されているなんて、とキラは茫然とした。


「それから正当な理由なく、長く付き合いのあるパーティーメンバーの追放。これが大きな失点になっております」


マリアのことか・・・!
キラは慌ててシンに申し開きをした。


「マリアの追放のことでしたら、正当な理由があります!それは非戦闘員の彼女では、今度危険の増す冒険についてこられないと判断したからです」


他にもあれこれと理由を付けてキラは説明したが、シンはただ黙ってひとしきり話を聞き終わったあと、首を横に振ってこう言った。


「マリアさんを追放したのは、仲間のリリアナさんへの愛の証明としてのものでしょう?あなたのリリアナさんへの告白も、そのときにマリアさんを追放すると言ったのも、監視され記録されているんですよ」


「ふぁっ!?」


まさか、そんなところまで監視されていたなんてーー!?
王室調査室によってどこまでも丸裸にされていると知ったキラは、もう何の言い訳も言えなくなってしまっていた。
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