勇者の処分いたします

はにわ

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勇者エクスの凱旋

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ラダーム国の王城は、その日盛大な祝宴が催されていた。
なぜなら国が『勇者』と認めた男が、辺境に救う魔王を倒して凱旋帰国したからだ。

勇者の名はエクス。
3年前まだ16歳だった少年は王城に呼び出され、勇者の家系であるそなたに魔王を倒してもらいたいと国王より告げられた。
勅命である。一国民であるエクスには拒否権など無かった。

だがエクスは魔王討伐の旅に出ると、スロースターターながらも着実に戦果を上げ、やがて王城のどの騎士にも負けないほどの力つけ、また魔王が自らの妻にすると王城より攫った第三王女をも救出した。第三王女の救出については絶望的だったので、国王は痛くこれを喜び、魔王討伐の際はなんでも褒美を取らせると約束をする。


そんなエクスは旅立ちから3年で単身魔王軍と立ち向かい、ついに魔王の討伐を果たす。
今日はそんなエクスが王城にて国王に謁見することになっていた。



「よくぞやり遂げてくれた勇者エクスよ!」


国王はエクスが謁見の間に入るなり、大きな声で彼を称えた。
普段は人の目を気にして威厳ある態度を崩さない国王が、まるで少し子供に戻ったかのようにはしゃいでいるようにも見えた。それだけ偉業を成したエクスに喜びを感じていたのだ。


「おぬしは本当によくやってくれたエクス。ついては私は王位をそなたに譲位をしたいと考えておる」


謁見の間にいる宰相をはじめとした臣下がざわついた。
いくら勇者といえど、貴族籍を持たぬ平民を国王にするなど何を考えているのか?何も聞いていないと口々に国王に意見をする者が現れた。


「私を含めお前たちも、何年にも渡る辺境の魔王の侵略に対し、なんら有効な手を打つことも出来なかった。だがそれをエクスはやった。国を守ることも出来ぬような無能よりも、守ることのできる強き王がラダームを統べるべきだと私は思う」


国王はそう言って臣下の意見をはねのけた。
エクスがこれで話を受けさえすれば、晴れてエクスがこの国の王である。

だが、エクスはこう言った。



「もし私が治める国があるとするならば、それは自分自身の手で探してみたいのです」


遠まわしに「この国の王は嫌だ」である。


「私は今一度旅に出ようと思います。私はまだ自らの目で見てみたい国が、世界があるのです。どうかお許しください」


「ま、待て・・・!」


国から勇者が出て行ってしまう。新たな脅威が迫っても国を守れなくなってしまう、そう考えた国王は慌ててエクスを呼び止める。


「ご心配なく。新たな脅威が国に迫れば、再び私は馳せ参じましょう。世界のどこからでも私はかけつけます。それでは、私はこれで失礼いたします」


そ、それならいいか・・・と国王が一瞬考えてしまった隙をつくように、エクスは身にまとっていたマントを広げたかと思うと、全身を覆いだした。
そして次の瞬間には、風のようにその場から姿を消していたのである。

その日から、勇者エクスの姿をラダームで見かけた者はいなかった。
エクスは褒美を受け取ることなくまだ見ぬ世界へ旅立ち、また世直しを続けているのだと語られた。
こうして勇者エクスはラダーム国の伝説になる・・・はずであった。


だが、エクスが消えた真相は皆が知っているものとは、ほんのちょっぴり違ったのである。
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