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重いパートナー
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「乗合馬車?あぁ、一週間に一度はこっちに来るよ。先日来たばかりだから、今度来るのは二日後かな?帝国方面行きだと思うが」
快速の足であるホワイトキングをアテにすることが出来ないことを知り、シュウ達は仕方なしに他の足を探そうと朝食中に宿屋に店主に乗合馬車がないか訪ねた。
だが回答は前述の通り。
元々山奥のド田舎であるが故にあまり乗合馬車がやってくることはなく、しかも次に来るのは逃げて来た帝国方面行きだと言う。残る手段は徒歩で地道に行くしかない、ということがわかってシュウはガックリと肩を落とした。
「このタイミングで困りました・・・けど、ホワイトキングが真実の愛に目覚めたというのであれば、応援しなければなりませんね・・・」
「ただ情欲が暴走した突発的なものだと思いますけど・・・」
フローラが頬を赤らめて浮かれたような表情で言うと、それに対してシュウが自分のことを棚に上げて冷静に突っ込みを入れた。
とはいえホワイトキングの愛が一時的なものとしても、馬が冷静になって再び足になってくれるのを待つほど悠長に構えていられない。こうしている間にも追っ手が来ている可能性があるうちは、徒歩でも距離を稼いでおかなくてはならないのだ。
(しかし・・・フローラは大丈夫なのだろうか?)
フローラは聖女としての務めで騎士団に随伴して戦地や被災地へ足を運んでいる。他の聖女たちと比べて格段に外の世界に慣れているはずではあるのだが、それでもこれまでシュウが経験してきたような本格的な旅となると、やはりいくらかの不安が残った。
聖女時代のフローラは務めの過程の中で野宿することになったとしても、至れり尽くせりでだいぶ快適に眠ることが出来た。だがこれからやることになるだろう冒険者のするような本格的な野宿となると、不快的な環境で焚火の番をしながら交代で眠ることだってあるのだ。そんな環境にフローラが耐えきれるかがシュウには不安だった。
「シュウ様。もしかして私のこと、逃避行の逆境に耐えられるかどうか不安に思ってませんか?」
「むっ・・・それは・・・」
フローラにズバリと心の内を見透かされたシュウは、すぐに返事をしようとして言い淀む。
「大丈夫ですよシュウ様。私、例えともに地獄を歩むことになろうとも、シュウ様のお傍を離れるつもりは一切ございません」
不安に思っているシュウに対し、フローラは胸を張って堂々と宣言する。
今はまだ現実を知らぬから、言葉だけなら「大丈夫だ」と、そう言い切ることも難しくはない・・・
「それに、私シュウ様と二人きりの過酷な旅というものにも少し憧れていたんです。飢えも寒さも不衛生も、ともに苦を感じながらお互い支え合うことで心も体も結びつくような絆が生まれそうじゃないですか」
『ぞわり・・・』
(ちょっと・・・いや、結構重くない?)
フローラの言葉を聞いたシュウはヒいた。
それだけではない。そう語るフローラの目を見たシュウは何となくだが直感したのだ。
「フローラは本当に何が合っても心を折らずに自分についてくる」と。
というかむしろ「何があっても自分を放してはくれない」とさえ感じていた。
悪夢を見た影響だろうか。
見えない触手でシュウを雁字搦めにし、本当に地獄まで付き纏うような雰囲気がフローラから伝わってきたのだ。
シュウは心強いを通り越して、恐怖すら感じて冷や汗を流す。
例え二人の肉体が滅び、魂だけになっても解放してくれないのでは・・・なんとなくシュウはそんなことを思った。
「どうしました?」
そんなシュウの心の内がわかっているのかいないのか。フローラが小首を傾げて微笑みながらシュウに訊ねる。
「いえ・・・なんでもありません・・・」
シュウは答えながらも、自分はやっぱりとんでもない修羅の道を歩み始めてしまったのではないかと、超絶今更ながらに思うのだった。
だが例によって朝食を食べ終わった頃には頭の切り替えを済んでしまい、そのことは頭の片隅に追いやられてしまう。
こうしてシュウ達の徒歩での逃避行が始まった。
快速の足であるホワイトキングをアテにすることが出来ないことを知り、シュウ達は仕方なしに他の足を探そうと朝食中に宿屋に店主に乗合馬車がないか訪ねた。
だが回答は前述の通り。
元々山奥のド田舎であるが故にあまり乗合馬車がやってくることはなく、しかも次に来るのは逃げて来た帝国方面行きだと言う。残る手段は徒歩で地道に行くしかない、ということがわかってシュウはガックリと肩を落とした。
「このタイミングで困りました・・・けど、ホワイトキングが真実の愛に目覚めたというのであれば、応援しなければなりませんね・・・」
「ただ情欲が暴走した突発的なものだと思いますけど・・・」
フローラが頬を赤らめて浮かれたような表情で言うと、それに対してシュウが自分のことを棚に上げて冷静に突っ込みを入れた。
とはいえホワイトキングの愛が一時的なものとしても、馬が冷静になって再び足になってくれるのを待つほど悠長に構えていられない。こうしている間にも追っ手が来ている可能性があるうちは、徒歩でも距離を稼いでおかなくてはならないのだ。
(しかし・・・フローラは大丈夫なのだろうか?)
フローラは聖女としての務めで騎士団に随伴して戦地や被災地へ足を運んでいる。他の聖女たちと比べて格段に外の世界に慣れているはずではあるのだが、それでもこれまでシュウが経験してきたような本格的な旅となると、やはりいくらかの不安が残った。
聖女時代のフローラは務めの過程の中で野宿することになったとしても、至れり尽くせりでだいぶ快適に眠ることが出来た。だがこれからやることになるだろう冒険者のするような本格的な野宿となると、不快的な環境で焚火の番をしながら交代で眠ることだってあるのだ。そんな環境にフローラが耐えきれるかがシュウには不安だった。
「シュウ様。もしかして私のこと、逃避行の逆境に耐えられるかどうか不安に思ってませんか?」
「むっ・・・それは・・・」
フローラにズバリと心の内を見透かされたシュウは、すぐに返事をしようとして言い淀む。
「大丈夫ですよシュウ様。私、例えともに地獄を歩むことになろうとも、シュウ様のお傍を離れるつもりは一切ございません」
不安に思っているシュウに対し、フローラは胸を張って堂々と宣言する。
今はまだ現実を知らぬから、言葉だけなら「大丈夫だ」と、そう言い切ることも難しくはない・・・
「それに、私シュウ様と二人きりの過酷な旅というものにも少し憧れていたんです。飢えも寒さも不衛生も、ともに苦を感じながらお互い支え合うことで心も体も結びつくような絆が生まれそうじゃないですか」
『ぞわり・・・』
(ちょっと・・・いや、結構重くない?)
フローラの言葉を聞いたシュウはヒいた。
それだけではない。そう語るフローラの目を見たシュウは何となくだが直感したのだ。
「フローラは本当に何が合っても心を折らずに自分についてくる」と。
というかむしろ「何があっても自分を放してはくれない」とさえ感じていた。
悪夢を見た影響だろうか。
見えない触手でシュウを雁字搦めにし、本当に地獄まで付き纏うような雰囲気がフローラから伝わってきたのだ。
シュウは心強いを通り越して、恐怖すら感じて冷や汗を流す。
例え二人の肉体が滅び、魂だけになっても解放してくれないのでは・・・なんとなくシュウはそんなことを思った。
「どうしました?」
そんなシュウの心の内がわかっているのかいないのか。フローラが小首を傾げて微笑みながらシュウに訊ねる。
「いえ・・・なんでもありません・・・」
シュウは答えながらも、自分はやっぱりとんでもない修羅の道を歩み始めてしまったのではないかと、超絶今更ながらに思うのだった。
だが例によって朝食を食べ終わった頃には頭の切り替えを済んでしまい、そのことは頭の片隅に追いやられてしまう。
こうしてシュウ達の徒歩での逃避行が始まった。
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