追放の破戒僧は女難から逃げられない

はにわ

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暴行中

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シュウという男は情欲が強い。
それは彼の根底にある体から溢れるエネルギーを持て余している・・・という状態が原因だ。持て余したエネルギーは何かに発散しなければ激しいストレスとなって情緒不安定になるという、元聖職者にそぐわぬ実に困った腕白っぷりであった。
彼が生まれ故郷で喧嘩小僧をやっていたのは育ちの悪さだけではなく、そういった性質があったのも原因である。

そんなシュウは不幸にもそのエネルギーを飲酒、賭博、性交と主にこの三つで発散するということを覚えてしまったのだが、それとは別の発散方法も知っていた。

『暴力』である。
少年時代に暴れていた頃全快にしていた力への衝動は、大人になった今でも実は無くなっていたわけではなかった。
機会さえあればここぞとばかりにシュウの狂暴性はナリを表すのである。


「ぎゃひぃぃぃぃぃ!」


山賊が更に一人、また一人とシュウによって打ち倒されていく。
体を蹴られればアバラや足、あるいは防いだ腕の骨が折れ、攻撃魔法を唱えようとすれば石つぶてで顔面を強打、次の瞬間には手刀で喉を潰された。


「な、なんだアイツは・・・」


仲間が次々と倒されていく様子を呆然と眺めながら、山賊のリーダーは声を洩らす。
神官のような身なりをしているが、シュウの戦い方は山賊の彼から見てもえげつないものだった。
慈悲は欠片もなく、強打による昏倒などという甘い処置では済まされない。基本的には五体のいずれかの骨を折られるか視界、ないし声帯を奪われることで物理的に戦闘不能にさせられる。
命こそ奪っていないが、慈悲と言えるところがあるとすればそこだけだ。正しく半殺し、といったところだろうか。


「この化け物め!!」


弓矢と攻撃魔法で複数の山賊が遠距離から集中的に攻撃を浴びせるが、シュウはシュバッと瞬時に高い跳躍でそれを軽々と避けてしまう。
そして空中でどうやってか三角跳びの要領で助走をつけて一気に落下したかと思うと、攻撃を仕掛けてきた山賊達を変則的な飛び蹴りで粉砕した。


「あだばぁ!」


巨象に体当たりされたかのように全身複雑骨折した山賊は泡を吹いて失神する。
それを間近で見ていた他の山賊は失禁してへたり込んでいた。

もう誰もシュウに攻撃を仕掛けようとはしなかった。
どう仕掛けても相手は攻撃を察知し、ハチャメチャな高機動で回避してカスリもしない。山賊にしてみれば完全に規格外の化け物である。
勇者パーティー『光の戦士達』に属し、何年も強力な魔族との戦闘に参加していたシュウには、数に物を言わせるくらいしかできない山賊程度の攻撃など止まっているも同然であった。

襲撃してきたのは山賊達のほうであるが、今となってはもはやシュウによる弱い者虐めと言えた。山賊達も流石に戦意を喪失するが、シュウは構うことなく突っ込み一人また一人と壊していく。


「なんだこいつは!寄るな悪魔め!!」


間近に迫るシュウに恐怖を抱いた山賊が叫んだ。
シュウは戦闘中だというのに笑っている。完全に娯楽で『狩り』を楽しんでいる顔だった。
それを見た山賊はもう恐怖しか抱かず、誰一人として戦意など残っていない。

シュウは過剰な暴力性を持っている。
溢れんばかりのエネルギーの発散の手段として飲む、打つ、買う以外に稀に暴力を用いる。もちろん外聞が悪いので機会は限られるが、『大義名分を持ったとき』に限りここぞとばかりにその欲求を解放するのだ。
『光の戦士達』と教会を追放されたその夜、酒場で暴れたのもそれである。
か弱い女性を助けるという目的もあったが、それを『大義名分』として暴れたいという欲求もあったのだ。

不運なことに、本日山賊達はシュウに『大義名分』を与えてしまった。
山賊のリーダーは本能的にシュウのイカれっぷりを察していたが、残念ながらシュウとの争いを止めることは出来なかった。いや、どうあっても最初に馬車を止めた時点でシュウは難癖をつけてでも暴れたかもしれない。山賊はただ存在しているだけで悪なのだから。


「はぁ~・・・シュウ様・・・勇ましいですわ」


馬車からフローラはシュウの戦いっぷりをうっとりした表情で眺めていた。
シュウは自身の暴力性については当然ながら人には知られないようにしていたが、シュウのストーカーとなっているフローラにはバレてしまっている。
その上でフローラはシュウの戦いぶりを見惚れてこそいても非難することはない。言う間でもないが彼女もまたイカれていた。

二人とも元聖職者でありながら、実のところ聖職者にそぐわぬ性格の持ち主である。
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