追放の破戒僧は女難から逃げられない

はにわ

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ゴブリン その2

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「あ・・・あああ」


手首が従来からあり得ない角度まで捻じ曲げら得たリーダー格の男は、声にならない声を上げようと口を大きく開いた。

その瞬間


「おおっと」


リーガー格の男が掴みかかったのとは別の小柄の男が、その口を背後から塞ぐ。
そして素早く首に腕を回すと、そのままキュッと鮮やかにリーダー格の男を絞め落としてしまった。


「えっ・・・」


残された二人の神官の男達は、あまりに早い展開に唖然としてしまう。
自分達よりも遥かに小柄で弱く、憂さ晴らしをさせてもらう存在だと思っていた相手に、一瞬にしてリーダー格の男がやられてしまったのだから。


「悪く思うなよ。先に手を出したのはソッチだからよ」


「!?」


残った二人の耳元に、いつの間にか小柄の男達の一人が立って囁いた。

声に反応して二人とも思わず振り向こうとするが、先ほどの同じように素早く首元に腕を回され、そして呆気なく絞め落とされる。

この間、最初にリーダー格の男が絡んでから十数秒。
三人の酔っ払いどもは、自ら絡んだ小柄の男達になすすべもなく返り討ちに遭っていた。それも物音をろくに立てることもなく、実に鮮やかな手腕によってだ。
元より酒場には人が多くは無かったが、他の客は誰一人として荒事があったことに気付いていない。


「・・・人が便所に行ってる間に、何やってんだお前ら?」


そこへやってきたのは、スキンヘッドの男だった。
年齢は30代後半ほどで、小柄の男達と同じような体格だが、右耳に複数にピアスをつけており、首筋にタトゥーが入っている厳つい見た目をしている。
眼光は鋭く、他の小柄の男達に比べて風格があった。


「いやね、ヘッド。こいつらが俺らに絡んできたんスよ。正当防衛っす」


「酒場にいると多いっすよねホント。見た目で判断してすぐ喧嘩売ってくるやつ」


男達の言い分を聞き、ヘッドと呼ばれた男はチラリと気絶した男達を見た後、はぁと小さく溜め息をついた。


「お前らな、これから大仕事だって時に問題起こしてんじゃねぇぞ」


ヘッドの言葉に、男達は肩を窄める。


「けどねヘッド。大仕事前だからこそ、おきたくもなるじゃないですか」


「へへっ、男娼もいいが、やっぱイキの良いやつをヤルのが良いんすよ」


ヘッドは呆れ顔で再度溜め息をついてから「目立たねぇようにやれよ」とだけ言い、踵を返した。


「流石ヘッド。話がわかるぜ」


後に残った男達は歓喜しながら、気絶した三人の神官達を運び、街の隅へと消えていく。
それを後ろ目で見ながら


「まさか皇族御用達の特殊部隊が、ゲイで強姦癖があるなんて・・・こんなん知られたら国がひっくり返る大騒ぎだな・・・」


と、ヘッドは頭を振って呟いた。

このヘッドも、小柄の男達も、街のゴロツキではない。帝国ドレークの皇族直属の特殊部隊である。
小柄の男のみで編成される特殊部隊『ゴブリン』は、このヘッドによって統括されているが、皇族の命を受け暗躍する部隊でありながら、隊員の素行がいささか悪いのがネックだった。
だが、その素行の悪さを加味しても、皇族が利用するだけの十分な実力と実績が彼らにはある。

そんな『ゴブリン』達は、ルドルフの命令でシュウ襲撃のためにアンドレアまでやってきていた。
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