追放の破戒僧は女難から逃げられない

はにわ

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逆転

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「ぐぐっ!?」


フローラが使用している拘束魔法《バインド》は、侍従の首にも巻き付いていた。
満足に言葉を発することが出来ないので、魔法を使っての反撃はおろか防御ですら封じられている状態である。
無理に魔法を使おうとすれば、フローラの意思で動くバインドがより侍従の首を絞めることになるだろう。
むしろこのままでは意識を保つことさえ難しい。


「下手に動かないで下さいね。首の骨が折れるかもしれませんよ?」


ニッコリと微笑みながらフローラは警告するが、侍従は苦しすぎるせいか、それとも声が聞こえていないのか、リアクションをすることはなかった。

しかし、苦しんでいる侍従を見てもフローラの表情は変わらない。
自分を人質に取ることで、シュウを危険な目に遭わせた侍従に激しい怒りを抱いていたからだ。


「バカな・・・私の障壁が・・・」


侍従はうわごとのように言う。
絞めつけられている苦痛もそうだが、フローラを捕らえていた自分の魔法障壁が破られたことの衝撃が大きかったようだ。


「ただ神に祈ってるように見えました?残念。私、ずっとギリギリまで貴方の障壁を分析してたんです」


フローラがニコニコ笑いながらそう言うのを聞いて、侍従は目を見張った。
ルドルフの護衛も兼ねているこの侍従は、ドレーク帝国でも上位に入る魔法の使い手である。
そんな彼は自分オリジナルの魔法障壁に絶対の自信を持っていたのだ。
何重にも独自の異なる性質の障壁魔法を織り交ぜた魔法障壁は、力づくでも分析にかけてもそうそう破られないはずだった。

だが、それをフローラは短い時間の間にやってのけたのだ。


「確かに複雑な術式が織り交ぜられていて、中々素晴らしい障壁でした。ですが、キレイ過ぎて単純ですね。もっとギミックに拘らないと、コツがわかれば解析はアッと言う間でしたよ」


「なっ・・・」


侍従は絶句する。口で言うのは簡単だが、フローラの言うことを実践するのは並大抵のことではないからだ。

だが、フローラはシュウに魔法について厳しい特訓を受けている。
超がつくほど高効率の回復術を会得するには、微細な魔力のコントロール力だけでなく、読み取る力も当然ながら必須となるが、それも超一流と言えるの腕前になるほどに叩き込まれていたのだ。

フローラは祈っているフリをして、ずっと侍従の張った障壁の解析に努めていた。
結果、時間こそかかったが、侍従の慢心からの油断を引き出し、見事不意を突くことに成功したのだ。

シュウはフローラが祈っているフリをして障壁を無効化しようとしていたことに気付いており、フローラへの信頼がギリギリのところで彼らを勝利に導いた。

ルドルフは戦闘不能。侍従は拘束済み。
絶体絶命の危機からの大逆転であった。
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