瀬戸口家のペットは人外生物のすーちゃん

うかかなむらる

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14 本当の自分

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 終礼開始のチャイムが鳴る。
「あー。やば。6時間目完全にサボったわ。」
「……美術?」
「よく覚えてんね。」
「うん。……教室戻る?」
「お前が良いなら。」
「すーはもう大丈夫。」
「じゃあ戻るか。いや、でも今はだるいな……終礼終わった頃でいい。」
「うん、分かった。」
便器に蓋をして座る叶矢の膝の上で、スコルピーはあぐらをかいている。
「もう気分悪くない?」
「大丈夫。……助けに来てくれてありがとう、きょうや。」
「……泉歌の方が良かったって思ってるだろ。」
「そんなこと思わないよ。」
「そ。でも、泉歌のこと大好きだよな。」
「……きょうやも好きだよ。」
「……なんだそれ。あぁ、性別とか無いもんな。」
2人は、ただボーッとした。
 叶矢は、担任の吉野先生に「トイレで寝てました。」と伝え、スコルピーと家に帰った。
「ただいま~。……あれ、お腹空いたって言わないんだ。」
「……あぁ、たしかに。」
「……食欲無い?」
「……うん。」
「どれだけ強烈な味だったんだよ、あいつの血。」
「……なんかね、まずかった……。」
「かわいそうに。」
 数時間後。泉歌、帰宅。叶矢は再び猫をかぶる。
「泉歌、おかえり。」
「おかえりー!」
「ただいまです!……すーちゃん、痩せました?」
「あぁ、実はね。」
叶矢は、今日の出来事を話した。
「ええっ!?大丈夫でしたか!?」
泉歌は、スコルピーを抱き上げる。
「……怖かった……。」
泉歌に頭を撫でられながら、スコルピーは俯いた。
「それに、なんだか雰囲気が変わりました?」
「そう?」
「そっちが本当のスコルピーなんじゃない?思い出したんだよ、きっと。元の自分をさ。」
「そうですか。」
泉歌が微笑んだ。
「では、夜ご飯は何が食べたいですか?」
「それが、食欲が無いらしいんだよ。」
叶矢がそう言い、スコルピーが頷く。
「えっ、そうなんですか?では……おかゆを作ってみましょうか?」
「おかゆ?」
「はい、お腹に優しいごはんです。お兄ちゃんは何か食べたいものがありますか?」
「うーん……泉歌が作りたいもので。」
「そうですか。では、作ってきますね、すーちゃん、お兄ちゃん。」
泉歌はスコルピーを机に乗せ、早速台所に入った。スコルピーは叶矢に近づく。
「きょうや。」
「ん。」
スコルピーが叶矢の指にしがみつく。
「どうした。」
「……なんとなく。」
 夕飯時。泉歌がスコルピーに問う。
「食べられそうですか?」
「……無理。」
「食べられないか……。」
食べることを考えると気持ち悪くなってくるのだ。スコルピーは、じっとテーブルに座って、2人を眺めていた。
 そして、今日もスコルピーは泉歌の部屋で眠る。
「大丈夫ですか?」
「……ちょっと気分悪い……。」
「そうですか……今日はゆっくり休んでください、すーちゃん。」


To be continued…
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