118 / 157
Winteror
第97話
しおりを挟む
今日も僕より先に家を出て、僕より後に帰ってくる。
「おかえり。」
僕は夜ごはんを準備して帰りを待つ。
「ただいま!」
ごはんを見て、目を輝かせる。
「いただきます。」
ふたりでごはんを食べる。代わり映えのない日々。周りの子どもたちが目まぐるしく成長していくのを、僕たちは見守る。変化を求めない性格。こんな僕が、君の配偶者で良いのだろうか、と思う時がある。そんな事を言っても君は、
「なんでそんなこと言うの!」
って笑ってくれるんだろうけど。
夜11時。夜ごはんを食べて、リビングでくつろぐ。
「……梨子ちゃん、疲れてる?」
「えっ、分かるの?」
「うん。お疲れな顔してる。」
そう言って、みっくんは私の頭を撫でた。
「部活で、問題が起きてさ。」
「ありゃ。」
「1年の無断欠部に副部がブチ切れたらしくて、部長が私に助けを求めてきた。そんなの自分たちで解決してよ、ってちょっと思っちゃった。」
「高校生だもんね。」
「うん。たかが高校生で無断欠部とか調子乗ってんのって感じだし、副部もそれごときでブチ切れる意味、って感じ。」
イライラした。なかなか強くならないし、仲は悪いし、幽霊部員も多いし。
「……はぁ。顧問なんて断れば良かった……。」
涙が出そう。私は、みっくんの膝に寝そべった。
「梨子ちゃん、膝枕好きだよね。」
「うん、好き。」
「僕もう梨子ちゃんの頭の感触覚えたもん。」
「嫌じゃない?」
「嫌なわけない。しっかり者の梨子ちゃんが、本当は甘えん坊さんなの、僕はよく知ってるから。」
「……えへへ。」
「またテニス部員がやらかしたら、僕に愚痴ってね。」
「……ありがと。」
私のネチネチした愚痴を、みっくんは嫌な顔ひとつせずに聞いてくれる。うんうんって頷いて、梨子ちゃん頑張ってるねってなでなでしてくれる。優しさで私が消えてしまいそうなくらいに優しい。私はそんなあなたに頼りっぱなしなのに。家事もしないのに。あなたが私と居て、メリットなんてあるのかなぁって、こんな私があなたの配偶者で良いのかなぁって思う時がある。そんな事を言ったらあなたは、
「そんなの僕のセリフだよ。」
って微笑んでくれるんだろうけど。
「もう寝よっか。」
みっくんが、私の目尻を撫でながらそう言った。
「……梨子ちゃん。無理はしないでね。お仕事が大変そうで、僕は心配。」
みっくんの優しい声に、涙が出た。あ、だからみっくんは私の目尻を撫でたのか。
「よしよし……。」
みっくんのお腹に顔を埋める。
「大丈夫大丈夫。梨子ちゃんなら大丈夫だよ。」
この無責任で根拠のない慰めが、いつも私の心を軽くする。過多に私に期待して、私を信じて、私は壁を乗り越えられると思ってくれる。私はそれに安心する。
「う、うっ……。」
「頑張らなくて良いんだよ。」
「っ……みっくん……好き……。」
「うん、僕も。梨子ちゃんが大好き。……お仕事が大変なら、産休と育休が取れるようにしようか。」
変化を求めない性格。君の幸せに、変化なんていらない。
○本日の出演キャラ
・渡辺蜜樹(28)
・渡辺梨子(25)
To be continued…
「おかえり。」
僕は夜ごはんを準備して帰りを待つ。
「ただいま!」
ごはんを見て、目を輝かせる。
「いただきます。」
ふたりでごはんを食べる。代わり映えのない日々。周りの子どもたちが目まぐるしく成長していくのを、僕たちは見守る。変化を求めない性格。こんな僕が、君の配偶者で良いのだろうか、と思う時がある。そんな事を言っても君は、
「なんでそんなこと言うの!」
って笑ってくれるんだろうけど。
夜11時。夜ごはんを食べて、リビングでくつろぐ。
「……梨子ちゃん、疲れてる?」
「えっ、分かるの?」
「うん。お疲れな顔してる。」
そう言って、みっくんは私の頭を撫でた。
「部活で、問題が起きてさ。」
「ありゃ。」
「1年の無断欠部に副部がブチ切れたらしくて、部長が私に助けを求めてきた。そんなの自分たちで解決してよ、ってちょっと思っちゃった。」
「高校生だもんね。」
「うん。たかが高校生で無断欠部とか調子乗ってんのって感じだし、副部もそれごときでブチ切れる意味、って感じ。」
イライラした。なかなか強くならないし、仲は悪いし、幽霊部員も多いし。
「……はぁ。顧問なんて断れば良かった……。」
涙が出そう。私は、みっくんの膝に寝そべった。
「梨子ちゃん、膝枕好きだよね。」
「うん、好き。」
「僕もう梨子ちゃんの頭の感触覚えたもん。」
「嫌じゃない?」
「嫌なわけない。しっかり者の梨子ちゃんが、本当は甘えん坊さんなの、僕はよく知ってるから。」
「……えへへ。」
「またテニス部員がやらかしたら、僕に愚痴ってね。」
「……ありがと。」
私のネチネチした愚痴を、みっくんは嫌な顔ひとつせずに聞いてくれる。うんうんって頷いて、梨子ちゃん頑張ってるねってなでなでしてくれる。優しさで私が消えてしまいそうなくらいに優しい。私はそんなあなたに頼りっぱなしなのに。家事もしないのに。あなたが私と居て、メリットなんてあるのかなぁって、こんな私があなたの配偶者で良いのかなぁって思う時がある。そんな事を言ったらあなたは、
「そんなの僕のセリフだよ。」
って微笑んでくれるんだろうけど。
「もう寝よっか。」
みっくんが、私の目尻を撫でながらそう言った。
「……梨子ちゃん。無理はしないでね。お仕事が大変そうで、僕は心配。」
みっくんの優しい声に、涙が出た。あ、だからみっくんは私の目尻を撫でたのか。
「よしよし……。」
みっくんのお腹に顔を埋める。
「大丈夫大丈夫。梨子ちゃんなら大丈夫だよ。」
この無責任で根拠のない慰めが、いつも私の心を軽くする。過多に私に期待して、私を信じて、私は壁を乗り越えられると思ってくれる。私はそれに安心する。
「う、うっ……。」
「頑張らなくて良いんだよ。」
「っ……みっくん……好き……。」
「うん、僕も。梨子ちゃんが大好き。……お仕事が大変なら、産休と育休が取れるようにしようか。」
変化を求めない性格。君の幸せに、変化なんていらない。
○本日の出演キャラ
・渡辺蜜樹(28)
・渡辺梨子(25)
To be continued…
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ペットになった
ノーウェザー
ファンタジー
ペットになってしまった『クロ』。
言葉も常識も通用しない世界。
それでも、特に不便は感じない。
あの場所に戻るくらいなら、別にどんな場所でも良かったから。
「クロ」
笑いながらオレの名前を呼ぶこの人がいる限り、オレは・・・ーーーー・・・。
※視点コロコロ
※更新ノロノロ
美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness
碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞>
住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。
看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。
最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。
どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……?
神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――?
定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。
過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語
紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。
しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。
郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。
そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。
そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。
アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。
そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる