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第8話『スピードが好きです』
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俺は、大人版俺に、無事接近することに成功した。
「じゃあな、そうたくん。俺は今からバイトだ。」
「あ、はい。さよなら。」
ふう……なんだかどっと疲れた……。正体バラさずに話すことは、難しいものなんだな。よし、帰るか。乃彌はまだ家にいるのだろうか。
ガチャッ
あ、ドアが開いている。
「た、ただいまぁ……。」
ただいま、か。ばあちゃと住み始めて久しぶりに「ただいま」を言っても、同じ気持ちになったのだろうか。いや、ならないだろうな。
「おかえり~!早かったね?一緒に買い物行く?」
乃彌を見ると、昨夜のことを思い出す。
「はい。」
「移動手段は徒歩のみだけどいい?」
「大丈夫です。」
「帰りは荷物いっぱいあるけど?」
「持ちますよ……。」
「ありがとー!」
テンション高いなぁ……。
近所のスーパーにて。
「あ、ちょっとトマト取ってくるから、歯磨き粉探してて!」
乃彌はちょこちょこと走っていった。トマトを取りに行くのに急ぐ必要はないだろ。俺は歯磨き粉か……歯磨き粉、歯磨き粉……あった。あ、10数年経っても歯磨き粉のメーカーはそんなに変わらないのか。違和感がなさ過ぎて15年後だというのを忘れそうだ。スーパーの形状もそう変わらないなぁ……いや、買い物カゴは歩いてるけどな……。
「ごめんごめんお待たせ!あ、歯磨き粉それにしたの?僕もそれ好きー!」
そう言って乃彌はニコニコした。あれ……この感じ……あ、小2の頃に母さんと買い物に来たときと似てるんだ……
「あ、卵取り忘れちゃってた!取ってくるね!奏太はシャンプー探してくれない?」
「うん!」
「ごんめんねー!あ、シャンプーそれにしたのね!母さんもそれにしようと思ってたのよー!」
懐かしいな……母さんはあの頃、俺にとって必要だったんだな。
「奏太、なんか買いたいものある?」
買いたいもの?
「いえ、特に。」
「じゃあ、お会計ねー。」
俺たちはレジに向かった。結構並んでるな……。
「奏太、こうやって誰かと買い物来るの久しぶりでしょ。」
「はい。」
「どうだった?」
どうだったって言われても……なぁ……普通だよ。
「特に……。」
「嫌だった?」
そんなことは無い。
「いえ、全然。」
「そう?良かった!また荷物持ってもらえる!」
まさか……。
「それが目的ですか?」
「うーんどーかなぁー??」
明らかにそうだろ……。まぁ、力の無い男にはなりたくないから別に良いけどよ。
家に帰ると、ちょうど正午をまわったところだった。
「お昼ご飯食べなきゃだねー。」
「俺作ります。」
「ありがとー!」
さてと……食材は結構あるから、何でもいいが……。
「何食べたいですか?」
「え!?」
目をキラキラさせるなっ。
「んー……じゃあ、オムライスがいいな!」
オムライスか……初挑戦だな……。
「作り方調べるよー!」
おぉ……あ、心読めるのか。ちょっとでも気が利くと感動してしまった……。
「感動してよー!はいよ。」
スマホを渡された。うーん、そんなに難しくはなさそうだ。
「ご飯炊くねー。」
「はい、お願いします。」
「ごちそうさまぁー!いやー!奏太はほんとに料理上手だねー!初挑戦だなんて嘘なんじゃないの?ってくらい美味しかった!」
テンション高すぎだ。うるさい。
「あ、ありがとうございます……。」
「さーてと!何する?暇だよ?遊ぶ?遊ぶ?」
遊びたいんだな……。
「遊びましょう。」
「うん!明日から勉強だしねー!」
そう言って乃彌はトランプやらオセロやらをカバンから取り出した。どれだけ持ってきてるんだよ……。
「どれするー?」
「あぁ……トランプで。スピードが好きです。」
「スピード!よし、しよう!!!」
それから、俺たちはほぼ一日中遊んだ。そして、夜ご飯を食べて、お風呂に入って(さすがに別々で)、寝た。ちょっと離れて。
「ひどい!もうちょっと近づいてよ!」
「乃彌が寝相よく寝るという約束ができるなら近づきます。」
「あぁ……無理……かな。」
続く!
次回第9話『ダメ人間か……?』
「じゃあな、そうたくん。俺は今からバイトだ。」
「あ、はい。さよなら。」
ふう……なんだかどっと疲れた……。正体バラさずに話すことは、難しいものなんだな。よし、帰るか。乃彌はまだ家にいるのだろうか。
ガチャッ
あ、ドアが開いている。
「た、ただいまぁ……。」
ただいま、か。ばあちゃと住み始めて久しぶりに「ただいま」を言っても、同じ気持ちになったのだろうか。いや、ならないだろうな。
「おかえり~!早かったね?一緒に買い物行く?」
乃彌を見ると、昨夜のことを思い出す。
「はい。」
「移動手段は徒歩のみだけどいい?」
「大丈夫です。」
「帰りは荷物いっぱいあるけど?」
「持ちますよ……。」
「ありがとー!」
テンション高いなぁ……。
近所のスーパーにて。
「あ、ちょっとトマト取ってくるから、歯磨き粉探してて!」
乃彌はちょこちょこと走っていった。トマトを取りに行くのに急ぐ必要はないだろ。俺は歯磨き粉か……歯磨き粉、歯磨き粉……あった。あ、10数年経っても歯磨き粉のメーカーはそんなに変わらないのか。違和感がなさ過ぎて15年後だというのを忘れそうだ。スーパーの形状もそう変わらないなぁ……いや、買い物カゴは歩いてるけどな……。
「ごめんごめんお待たせ!あ、歯磨き粉それにしたの?僕もそれ好きー!」
そう言って乃彌はニコニコした。あれ……この感じ……あ、小2の頃に母さんと買い物に来たときと似てるんだ……
「あ、卵取り忘れちゃってた!取ってくるね!奏太はシャンプー探してくれない?」
「うん!」
「ごんめんねー!あ、シャンプーそれにしたのね!母さんもそれにしようと思ってたのよー!」
懐かしいな……母さんはあの頃、俺にとって必要だったんだな。
「奏太、なんか買いたいものある?」
買いたいもの?
「いえ、特に。」
「じゃあ、お会計ねー。」
俺たちはレジに向かった。結構並んでるな……。
「奏太、こうやって誰かと買い物来るの久しぶりでしょ。」
「はい。」
「どうだった?」
どうだったって言われても……なぁ……普通だよ。
「特に……。」
「嫌だった?」
そんなことは無い。
「いえ、全然。」
「そう?良かった!また荷物持ってもらえる!」
まさか……。
「それが目的ですか?」
「うーんどーかなぁー??」
明らかにそうだろ……。まぁ、力の無い男にはなりたくないから別に良いけどよ。
家に帰ると、ちょうど正午をまわったところだった。
「お昼ご飯食べなきゃだねー。」
「俺作ります。」
「ありがとー!」
さてと……食材は結構あるから、何でもいいが……。
「何食べたいですか?」
「え!?」
目をキラキラさせるなっ。
「んー……じゃあ、オムライスがいいな!」
オムライスか……初挑戦だな……。
「作り方調べるよー!」
おぉ……あ、心読めるのか。ちょっとでも気が利くと感動してしまった……。
「感動してよー!はいよ。」
スマホを渡された。うーん、そんなに難しくはなさそうだ。
「ご飯炊くねー。」
「はい、お願いします。」
「ごちそうさまぁー!いやー!奏太はほんとに料理上手だねー!初挑戦だなんて嘘なんじゃないの?ってくらい美味しかった!」
テンション高すぎだ。うるさい。
「あ、ありがとうございます……。」
「さーてと!何する?暇だよ?遊ぶ?遊ぶ?」
遊びたいんだな……。
「遊びましょう。」
「うん!明日から勉強だしねー!」
そう言って乃彌はトランプやらオセロやらをカバンから取り出した。どれだけ持ってきてるんだよ……。
「どれするー?」
「あぁ……トランプで。スピードが好きです。」
「スピード!よし、しよう!!!」
それから、俺たちはほぼ一日中遊んだ。そして、夜ご飯を食べて、お風呂に入って(さすがに別々で)、寝た。ちょっと離れて。
「ひどい!もうちょっと近づいてよ!」
「乃彌が寝相よく寝るという約束ができるなら近づきます。」
「あぁ……無理……かな。」
続く!
次回第9話『ダメ人間か……?』
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