傍観していたい受付嬢

湖里

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始まり

日常

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前々から、思っていたこと。それは少々、受付嬢の地位が高すぎる気がする。
「ミッシェル。今度の月例会は強制参加だそうだ。ちゃんと来いよ?」

いつもの様にクリスタ王国にある最大のギルド【銀の盃】で受付嬢として働いていた。
#01 ミッシェル=ニル
【銀の盃】唯一の受付嬢 SSSランク

「レオディオ…。何度も言ってるけど、月例会に私が行く必要はないと思うの。」
ギルドマスターであり、私の相棒でもあるレオディオに言うとケタケタと笑われた。

「そんなこと言ってもなぁ。この世界にSSSランクなんて10人もいないぜ?ミッシェルはその一角なんだからな。」

02# レオディオ=サルーゼ
【銀の盃】ギルドマスター Xランク

前世の漫画や物語では、ギルドマスターは基本やる気ゼロの気だるげキャラなのだが、彼は違う。
かと言って、戦闘狂と言うわけでもない。どちらかと言うと、お母さんキャラである。
要するに面倒見が良いのである。

「それならば、Xランクの人はこの世界に3人しかいませんよ?」
幼なじみと言うことで、頭をよく撫でてきますがずっと撫でられていれば腹がたちます。
頭の上に乗っているレオディオの手を払い除ければ、何をするんだと恨みがましい目で見られた。
それは私がするべき目である。お前がするな。

「んー、だとしても、だ。……どうやら今度、勇者召喚についての会議らしいからな。国王陛下のご命令だ。」
さっきまでのおちゃらけた雰囲気を壊てし、スッとこちらを見つめてくる。
そして、私に向かって肩をすくめてみせた。
「残念だが、殿下の命令無視なんて出来ないからな。引っ張ってでも連れてくことになるからな。」

「うぇー。」
嫌だとブーイングをすれば、今度は軽くチョップされた。コイツのチョップはなかなかに痛い。Xランクなだけはあるよな。

「貴方のチョップは痛いのよ。もう少し手加減してちょうだい。」
思ったことをそのまま話せば、少し申し訳なさそうに優しく、優しく頭を撫でられた。
だ、か、ら、頭を撫でられるのも嫌なんだって。

その気持ちを込めて、もう一度手を払えば両手で顔を持ち上げられた。
そのまま、上を向けられる。
キレイな銀髪に涼し気な水色の瞳に私の灰色の瞳が映る。

本当にコイツは顔だけはいいよな。
この世界に来て、学校に行っていたころもコイツの隣にいただけで数々の試練を乗り越えてきたと思う。

「___と言うか、いい加減に離しなさいよ。レオディオには、執務室にやるべき書類が置いてあるわ。」
アホなことをしているレオディオを足で軽く蹴りながら急かすと、残念そうに唇を尖らせた。

「ちぇー。大抵の女ならここで顔を赤くして、俺の言うこと聞いてくれるのに…。」

性格悪いな、オイ。
そのまま、レオディオは1階から2階に上がっていき、執務室に行きながらブツブツと文句を言っていた。

どうせ、女の子らしいところもないですよーだ。
レオディオにイライラしながら、受付口に行けば総帝がボーッと立っていた。

「……あ、ミッシェル。久しぶりだね。」
フードを被って顔は見えないが、彼は私とレオディオの同級生である。
コチラもクールと言うわけでなく、心優しく何処かのんびりとしている。

03# コーリド=アーマン
【銀の盃】総帝 Xランク

「ほんとに久しぶりよ、総帝。一体どこに行っていたの?」
このギルドに所属だが、時々1ヶ月ぐらい何処かに行ってしまうことなんてしばしばある。

周りから見たら、重度の変人として見られているやつだ。
「ん~、ちょっとだけね?ダンジョンに行ったんだ。」
このような感じである。
「ふぅーん。元気にしてるならいいけれど……。しばらくはここに居るの?」

ふわぁあ、と欠伸をしている総帝に聞けばコクリと頷きが帰ってきた。
「勇者召喚もあるしねー。もしかしたら、教育係になる可能性もあるし。」

教えるの下手くそなんだけどなぁ。と嫌そうな顔をしているが、彼がほんとに嫌だと思うなら消えるなり、裏工作するなり、何なりするのでまだ容量範囲なんだろう。

「そーいえば、レオディオどこに居る?」
「2階にの執務室。誰もいないはずだから、久しぶりに挨拶してきたら?」

私の提案に乗り気なのかそのまま上へ行ってしまった。

さて、私も仕事をしなくては。
休憩気分であった気持ちを、頬を叩いて切り替えさせる。
そして、今来ている簡易ドレスに汚れがないのかしっかりと確認をする。

受付嬢とは、そのギルドのいわば顔なので馬鹿なことはできない。

今一度、気持ちを引き締めて前を向く。そして、受付にようがある人たちの方へ歩いていった。

今日も、この国は平和である。
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