傍観していたい受付嬢

天族と国

脱出ゲーム並みだよ

「や、やめてくださいっ！」
「おい、誰か押さえつけろっ！」

ガンガンと壁に体当たりを続けていれば、ついには従者が牢屋の中に入ってきた。
「おい、やめr______」
「はっ！」
私の方を掴んできた従者の剣を奪って、鳩尾に一発蹴りを入れる。
当たりどころが悪かったらしく、そのまま倒れたまま動かなくなった。気絶したのだろう。
そのまま、近くにいた奴らをぶった斬って、怪我を追わせれる。
そのまま、腕についている魔力吸収器を外すために腕をぶった切る。
「【神の羽衣よ、我が怪我を治し清め給え。】」

すぐに腕は元通りになり、走って階段を登る。
魔力は使えるようになったがいかせん、転移をするほどの魔力はない。
先程の魔法で四分の三以上を使ってしまった。
フラフラと体がするが、階段を上がれば多くの人がいた。

「いやいや……、まさか自身の身さえ使うとは思いませんでした。」
多くの兵の中に出てきたのは、ニコニコと笑うイゼフだった。
「ははっ。魔力吸収器を着けるなら、首に付けるべきでしたわね。」
挑発するように、トントンと自身の首を見せつける。
「いやはや……、その通りでしたね。」

今までの宰相服に細身の剣、日本刀と言うものである。前世では見たことがあるが、この世界では見たことはなかった。
あるんだな。

_____ミッシェル！ミッシェル！今どこにいるっ！返事をしろ！

_____レオディオ！分からない。でも、イゼフ……マルクに嵌められた。

_____ああ、ユキ=トードがこっち来たぜ！

_____保護しておいて。


簡単にレオディオと念話していれば、イゼフが斬りかかってきた。
「っ！」
「僕の前で、余所見とは……よほどの死にたがりなのですか？」
先程、どこぞの兵から奪った剣で受け止めればピシリとヒビが入った。
「嘘でしょっ！？」
日本刀が西洋の一般ソードに勝つもんなのっ！

慌てて、横にそれてかわす。
「【アイスメイク、日本刀】」
スラリと淡い水色の日本刀を掲げれば、驚いたようにイゼフが目を見開いた。
「おや、ここらではあまり有名ではないと思ったのですが……。」
「知識は十分にありまして……よっ！」

今度はこちらから、イゼフに向かって斬りかかればうまい具合にいなされる。
「ユキ…君、をっ！逃された、り！邪魔ばかり、します、ねっ！」
「そもそもっ、捕まえないで、下さいませっ！」

______ｶﾞﾝｯ!
周りを魔法で拘束しながら、イゼフの行動一つ一つに注意して刀を向ける。

_____ミッシェル！もうすぐ付くからっ！

レオディオの声に安堵したときだった。









「スキあり。」
ザクリと左足に、日本刀が刺さった。
「う、……はっ！」
自身の氷の刀でイゼフの顔めがけて突き立てる。
頬が深く切れただけで、私の傷ほどイゼフに攻撃ができたわけではなかった。

ブスリ、と日本刀が抜かれればダラリと赤い血が足からたれてきた。

「脱出ゲーム……より無理ゲーですの。」
乾いた笑いが口からこぼれた。