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第2章
第三話 ⑦ ~怜音先輩とお話をしました~
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第三話 ⑦
放課後。
SHRを終え、学級日誌は詩織さんにお願いした俺はそのまま新聞部の部室へと向かっていた。
とりあえず、昼休みの段階で、怜音先輩に俺の話を聞いてもらう下地は出来ている。
正直なところ。これが一番の難関だと考えていた。
話半分で聞き流されてしまう可能性もある。と思っていた。だが、俺自身含め、腹案に対して彼女から一定以上の興味を引き出すことが出来ている。
あとはどれだけ俺が、彼女の興味をさらに引き出せるかにかかっている。
そう考えていると、『新聞部』と書かれた札がついている部屋へとたどり着いた。
「ふぅ……」
俺はひとつ息を吐き出し、ドアをノックする。
「生徒会副会長の桐崎です!!怜音先輩に話が合ってきました!!」
と挨拶をする。
「うん。扉は空いてるから入ってきていーよー!!」
中から怜音先輩の声が聞こえてきた。
俺は扉を開けて中に入る。
「失礼します」
中には怜音先輩の他にも何人かの部員が居た。
その全てが、俺の事を興味深そうに見ている。
「やぁ、よく来てくれたね桐崎くん。まずは新聞部の部長として歓迎してもらうよ」
「歓迎ありがとうございます。怜音先輩」
俺は彼女に一礼する。
「そこに椅子とテーブルがある。まぁ座ってくれよ」
「わかりました」
俺は先輩に促され、椅子へと座る。
生徒会のパイプ椅子とは違い、新聞部は立派な椅子だった。
「あはは。生徒会よりいい椅子だろ?」
「そうですね。何脚か貰っていいですか?」
と、俺が冗談を言うと、怜音先輩は笑ってくれた。
「さて、場も和んだことだし。桐崎くん。」
話を聞かせてもらおうか?
と、空気が変わる。
よし。ここだ。
俺はひとつ。自分の中でスイッチを切り替える。
「そうですね。まずは予算についてです」
「うん。そうだろうね」
「最初に言っておきます。今、生徒会にはお金が無いんですね」
ザワリ……
俺の言葉に、新聞部の空気が乱れる。
「近年の増加する部活動予算が原因で、前年度繰越金が底をついてしまいました。おおよそ100万円程の金額が足りてません」
「ふぅん。それで?」
君は新聞部を含めて予算の減額をする。って言うのかな?
俺は怜音先輩の威圧的なその言葉に首を振る。
「ははは、まさか。そんな事をしたら首が何個あっても足りませんよ」
「だけど、実際問題。お金が無いのは事実なんだろ?どうするつもりだい?」
俺はここでニヤリと笑う。
「俺が生徒会に入った時に、この足りないお金の話はされましてね、蒼井会長から言われたんですよね」
『この足りないお金を用意する為には、僕が夜の街で身体を売るしかない』
とね。
ザワ……
ザワリ……
新聞部の空気がさらに乱れる。
「見目麗しい我らが会長です。夜の街でお金を稼ぐのは難しくないかとは思いますが、さすがに自分も心が痛みましたね」
そこで、俺は考えたんですよ。
何とかする案。と言うものを。
俺がそこまで言うと、怜音先輩はニタリと笑う。
「いい導入だよ。桐崎くん」
「ありがとうございます」
それで、案というのはなんなのかな?
怜音先輩の言葉に俺は指を三つ立てる。
「まず一つ目は『出来高制』を導入します」
「へぇ。プロ野球選手とかで良く聞くアレだね?」
「はい。簡単に言えばそうです。そして、基本となる予算は部員数×1万円に設定しました。この時点で野球部の予算は前年より20万円の削減です」
「それだと野球部は激怒するだろうね?野球部には君の親友も居るだろう?」
「えぇ。野球部には親友が居ますし、バスケ部には彼女が居ます」
「お金の問題はシビアだよ?友情や愛情にヒビが入ってしまうかもしれないね?」
「そうですね。そこで出来高制ですよ。簡単に言えば試合に勝てば臨時収入として5000円を出します。そうすれば年間40勝すれば去年と同額の予算が手に入ります」
「ふぅん。なるほどね。だけど、それだと生徒会の金銭不足の根本的な解決にはなってないよ?」
それはどうするつもりなんだい?
「そこでふたつ目とみっつ目の案になります。まずはスパチャを導入します。投げ銭機能ですね」
ザワ……
「生徒会の部室の前に募金箱を用意します。そこには『部活動支援募金』という名目で支援金を募ります。支援する部活動と自分の名前と金額を記入すれば、横領の防止にもなりますし、自分が応援してるぞってわかりますので」
「なかなか面白いことを考えるね。それで、みっつ目はなんなのかな?」
「みっつ目が新聞部の皆さんに頑張ってもらいたいことなんですよね。簡単に言えば今よりももっと部活動の事を書いてください。あとは生徒会の様子なども書いてもらいましょう。我が生徒会には綺麗どころが揃っています。『美少女生徒会の日常』なんてコーナーがあっても良いと思います。あとは文芸部のコラムなどを載せても面白いと思います。そうすることで、広報を活性化させて、部活動内容や生徒会の活動状況などを学園全体に広められれば、支援金を出してくれる生徒も増えます。そして、その支援金の何割かを新聞部に還元するようにすれば、怜音先輩たちの利益になります」
俺がそこまで話すと、先輩はニタリと笑う。
「なるほどね。出来高制を導入せることで部活動の活性化を図り、その様子を我々が学園に波及する事でその活動内容を生徒たちが知ることが出来、そうすることで支援金を得やすい環境にしていく。そのサイクルが君の言う腹案か」
「はい。あと、もしこの案に乗っていただけるなら、お願いしたいことがもうひとつだけあります」
「なんだ、言ってみな?」
「予算会議をリアルタイムのオンライン配信をしようと思っています。ですので、その場で新聞部が生徒会のバックに居る。と明言したいんですね」
「へぇ……なるほど」
そこまで言うと、怜音先輩は腕を組んで思案する。
「……桐崎くん」
「なんですか?」
「君が言う今のやり方では、『生徒会に』お金が入るための行為が弱いように思える。いくら我々が生徒会の日常を書いても、いくら君の生徒会に可愛い女の子が多くいても、なかなか難しいんじゃないのか?そうなると、結局は破産しそうな気がするな?」
「そうですね。ですので、オンラインなんですよ」
俺はそう言うと、悪い笑みを浮かべる。
「きっと今みたいなことは、絶対に誰かから追求されます。そのタイミングで自分が言うつもりです」
『生徒会には予算足りないんです。このままだと、出来高が払えなくなることもあると思います。俺が生徒会に入った時に蒼井会長から言われました。お金が足りなければ、僕は夜の街に行くよ。と。そうはしたくありません!!どうか、皆さん……蒼井会長を助けてくれませんか?』
とね。
俺がそう言うと、怜音先輩は大爆笑をした。
そして、笑いが収まるのを待って、先輩は言った。
「桐崎くん。君は悪い男だね?」
「いえ、俺は悪くありません。悪いのは予算を増額しろと言い続けて来た部長達ですから」
俺は両手を広げて、やれやれと首を振る。
「桐崎くん。昼休みに君に言った言葉があったね?」
「はい。ありましたね」
期待はずれなら、ペテン師と呼ぶと。
「君は『女たらしのハーレム王』じゃないね」
「撤回してくれるんですね。ありがとうございます」
頭を下げる俺に、怜音先輩が笑いながら言った。
「まったく。君はとんでもない『ペテン師』だよ」
と。
放課後。
SHRを終え、学級日誌は詩織さんにお願いした俺はそのまま新聞部の部室へと向かっていた。
とりあえず、昼休みの段階で、怜音先輩に俺の話を聞いてもらう下地は出来ている。
正直なところ。これが一番の難関だと考えていた。
話半分で聞き流されてしまう可能性もある。と思っていた。だが、俺自身含め、腹案に対して彼女から一定以上の興味を引き出すことが出来ている。
あとはどれだけ俺が、彼女の興味をさらに引き出せるかにかかっている。
そう考えていると、『新聞部』と書かれた札がついている部屋へとたどり着いた。
「ふぅ……」
俺はひとつ息を吐き出し、ドアをノックする。
「生徒会副会長の桐崎です!!怜音先輩に話が合ってきました!!」
と挨拶をする。
「うん。扉は空いてるから入ってきていーよー!!」
中から怜音先輩の声が聞こえてきた。
俺は扉を開けて中に入る。
「失礼します」
中には怜音先輩の他にも何人かの部員が居た。
その全てが、俺の事を興味深そうに見ている。
「やぁ、よく来てくれたね桐崎くん。まずは新聞部の部長として歓迎してもらうよ」
「歓迎ありがとうございます。怜音先輩」
俺は彼女に一礼する。
「そこに椅子とテーブルがある。まぁ座ってくれよ」
「わかりました」
俺は先輩に促され、椅子へと座る。
生徒会のパイプ椅子とは違い、新聞部は立派な椅子だった。
「あはは。生徒会よりいい椅子だろ?」
「そうですね。何脚か貰っていいですか?」
と、俺が冗談を言うと、怜音先輩は笑ってくれた。
「さて、場も和んだことだし。桐崎くん。」
話を聞かせてもらおうか?
と、空気が変わる。
よし。ここだ。
俺はひとつ。自分の中でスイッチを切り替える。
「そうですね。まずは予算についてです」
「うん。そうだろうね」
「最初に言っておきます。今、生徒会にはお金が無いんですね」
ザワリ……
俺の言葉に、新聞部の空気が乱れる。
「近年の増加する部活動予算が原因で、前年度繰越金が底をついてしまいました。おおよそ100万円程の金額が足りてません」
「ふぅん。それで?」
君は新聞部を含めて予算の減額をする。って言うのかな?
俺は怜音先輩の威圧的なその言葉に首を振る。
「ははは、まさか。そんな事をしたら首が何個あっても足りませんよ」
「だけど、実際問題。お金が無いのは事実なんだろ?どうするつもりだい?」
俺はここでニヤリと笑う。
「俺が生徒会に入った時に、この足りないお金の話はされましてね、蒼井会長から言われたんですよね」
『この足りないお金を用意する為には、僕が夜の街で身体を売るしかない』
とね。
ザワ……
ザワリ……
新聞部の空気がさらに乱れる。
「見目麗しい我らが会長です。夜の街でお金を稼ぐのは難しくないかとは思いますが、さすがに自分も心が痛みましたね」
そこで、俺は考えたんですよ。
何とかする案。と言うものを。
俺がそこまで言うと、怜音先輩はニタリと笑う。
「いい導入だよ。桐崎くん」
「ありがとうございます」
それで、案というのはなんなのかな?
怜音先輩の言葉に俺は指を三つ立てる。
「まず一つ目は『出来高制』を導入します」
「へぇ。プロ野球選手とかで良く聞くアレだね?」
「はい。簡単に言えばそうです。そして、基本となる予算は部員数×1万円に設定しました。この時点で野球部の予算は前年より20万円の削減です」
「それだと野球部は激怒するだろうね?野球部には君の親友も居るだろう?」
「えぇ。野球部には親友が居ますし、バスケ部には彼女が居ます」
「お金の問題はシビアだよ?友情や愛情にヒビが入ってしまうかもしれないね?」
「そうですね。そこで出来高制ですよ。簡単に言えば試合に勝てば臨時収入として5000円を出します。そうすれば年間40勝すれば去年と同額の予算が手に入ります」
「ふぅん。なるほどね。だけど、それだと生徒会の金銭不足の根本的な解決にはなってないよ?」
それはどうするつもりなんだい?
「そこでふたつ目とみっつ目の案になります。まずはスパチャを導入します。投げ銭機能ですね」
ザワ……
「生徒会の部室の前に募金箱を用意します。そこには『部活動支援募金』という名目で支援金を募ります。支援する部活動と自分の名前と金額を記入すれば、横領の防止にもなりますし、自分が応援してるぞってわかりますので」
「なかなか面白いことを考えるね。それで、みっつ目はなんなのかな?」
「みっつ目が新聞部の皆さんに頑張ってもらいたいことなんですよね。簡単に言えば今よりももっと部活動の事を書いてください。あとは生徒会の様子なども書いてもらいましょう。我が生徒会には綺麗どころが揃っています。『美少女生徒会の日常』なんてコーナーがあっても良いと思います。あとは文芸部のコラムなどを載せても面白いと思います。そうすることで、広報を活性化させて、部活動内容や生徒会の活動状況などを学園全体に広められれば、支援金を出してくれる生徒も増えます。そして、その支援金の何割かを新聞部に還元するようにすれば、怜音先輩たちの利益になります」
俺がそこまで話すと、先輩はニタリと笑う。
「なるほどね。出来高制を導入せることで部活動の活性化を図り、その様子を我々が学園に波及する事でその活動内容を生徒たちが知ることが出来、そうすることで支援金を得やすい環境にしていく。そのサイクルが君の言う腹案か」
「はい。あと、もしこの案に乗っていただけるなら、お願いしたいことがもうひとつだけあります」
「なんだ、言ってみな?」
「予算会議をリアルタイムのオンライン配信をしようと思っています。ですので、その場で新聞部が生徒会のバックに居る。と明言したいんですね」
「へぇ……なるほど」
そこまで言うと、怜音先輩は腕を組んで思案する。
「……桐崎くん」
「なんですか?」
「君が言う今のやり方では、『生徒会に』お金が入るための行為が弱いように思える。いくら我々が生徒会の日常を書いても、いくら君の生徒会に可愛い女の子が多くいても、なかなか難しいんじゃないのか?そうなると、結局は破産しそうな気がするな?」
「そうですね。ですので、オンラインなんですよ」
俺はそう言うと、悪い笑みを浮かべる。
「きっと今みたいなことは、絶対に誰かから追求されます。そのタイミングで自分が言うつもりです」
『生徒会には予算足りないんです。このままだと、出来高が払えなくなることもあると思います。俺が生徒会に入った時に蒼井会長から言われました。お金が足りなければ、僕は夜の街に行くよ。と。そうはしたくありません!!どうか、皆さん……蒼井会長を助けてくれませんか?』
とね。
俺がそう言うと、怜音先輩は大爆笑をした。
そして、笑いが収まるのを待って、先輩は言った。
「桐崎くん。君は悪い男だね?」
「いえ、俺は悪くありません。悪いのは予算を増額しろと言い続けて来た部長達ですから」
俺は両手を広げて、やれやれと首を振る。
「桐崎くん。昼休みに君に言った言葉があったね?」
「はい。ありましたね」
期待はずれなら、ペテン師と呼ぶと。
「君は『女たらしのハーレム王』じゃないね」
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頭を下げる俺に、怜音先輩が笑いながら言った。
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